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中絶と不義—リーズンの告白を読む (REASON - "Slow Down" ft. Alemeda)

Writer: @vegashokuda

Top Dawg Entertainment (TDE)リーズン(REASON)がアルバム『New Beginnings』をドロップ! 2018年にリリースされた『There You Have It』はミックステープの再リリースなので、これが正式なデビュー・アルバムのようです。おめでとう、リーズン!

今回はそんな『New Beginnings』から「Slow Down」のリリックを解読していきます。曲名のとおり穏やかな曲調ながら、リーズンが2つの告白をするヘビーな内容の曲です。

イントロ(REASON)

(Your call has been forwarded to an automated voice messaging system)
(310-909)
Yeah, yeah
Soul
Look

【意訳】
(このお電話は自動音声メッセージに転送されました)
(310-909)
イェー イェー
ソウル
聴け

*留守電に転送されるという、意味深なイントロで幕を開けます。

1バース目(REASON)

Times is gettin' darker, my time gettin' borrowed
My nieces getting smarter, they startin' to feel that shit, look
I tell 'em, "Uncle busy," they don't wanna hear that shit, look
I say, "See you tomorrow," that promise never garnered

【意訳】
時は暗くなり 俺の時間も迫っている
姪たちは賢くなり 感づき始めている
「おじさんは忙しいんだよ」と彼女たちの為を思って言う
「また明日ね」という約束は回収されぬまま

*どういうわけか姪たちと会う時間が確保できない、といったくだりで1バース目は幕を開けます。

I never told nobody this, but I lost a son
Or maybe it was a daughter
Look, I say "it" 'cause if it's real, I gotta face that part of
My deepest fears that's growing near, they call that feeling karma
I'd have to be a father

【意訳】
誰にも言ったことがないけど 俺は息子を失ったんだ
あるいは「それ」はもしかしたら娘だったかもしれない
「それ」と言うのは もしそれが本当なら
自分に忍び寄る深い恐れ つまりカルマに向き合わなければならないから
俺は父親にならなきゃいけなかったんだ

*息子かもしれないし娘かもしれない「それ」が意味することは一つ、リーズンと女性との間に出来た子供を中絶したということです。

And look at how I did all these bitches, look, I mean women
All throughout my life, drunken and scattered nights
She don't believe in abortion, pressure forced her
So she sacrificed, and all for what?
A little head or nut and bragging rights

【意訳】
俺がビッチ いや 女性たちにどうしてきたか見てみろよ
人生ずっと 飲んだくれて滅茶苦茶な夜を過ごしてきた
彼女は中絶なんて望んでなかった プレッシャーがそうさせたんだ
それで 彼女は何のために犠牲を払ったんだ?
オーラルセックスか射精と自慢する権利

*「ビッチ いや 女性たち」と言い直している点から、女性との接し方を改めようとしている様子が読み取れます。

*結果として、「彼女」はリーズンの快楽のために大きな犠牲を払うことになりました。

Something that I made myself forget so I could pass the nights
But how she sleeping? She prolly ain't sleepin' or barely
I never once felt guilty, maybe that's the part that scares me
Maybe that's the part that is fucked up
Need to grow up

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