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トラップ・ハウスとベッドのシーツと私 (03 Greedo - "Trap House" ft. Shoreline Mafia)

Writer: @vegashokuda

映画『ポケットいっぱいの涙』(原題:Menace II Society、1993年)の舞台としても知られる、ワッツはジョーダン・ダウンズ出身の03グリード(03 Greedo)。そんな彼のアルバム『Still Summer In The Projects』が、4月19日にリリースされました! 同アルバムでは、YGとの仕事で知られるマスタード(Mustard)が全曲をプロデュースしています。

早速ですが、今回は同アルバムからのシングルでもある「Trap House」の歌詞を読み解いていきたいと思います。

イントロ(03 Greedo)

Yeah, trap house
I'ma hang out in the trap house
(Mustard on the beat, ho)
I'ma take you there

【意訳】
イェー、トラップ・ハウス
トラップ・ハウスで遊ぶぜ
(マスタード・オン・ザ・ビート、ホー)
そこに連れてくぜ

*「トラップ・ハウス(trap house)」とは、ドラッグの精製・密売所のことです。そこから派生して、主にアトランタのラッパーがやるヒップホップのサブ・ジャンルの名前にもなっていることは、皆さんご存知のとおりです。

サビ(03 Greedo)

No sheets on top my bed (Trap house)
When I be here in the morning (Trap house)
No sheets on top my bed (Trap house)
In the morning (In my trap house)
No sheets on top my bed (No sheets)
When I be here in the morning
She's only here when I want it

【意訳】
俺のベッドにシーツは掛かってない(トラップ・ハウス)
朝、俺がここに居る時は(トラップ・ハウス)
ベッドにシーツは掛かってない(トラップ・ハウス)
朝には(俺のトラップ・ハウスでは)
俺のベッドにシーツは掛かってない(シーツなし)
朝、俺がここに居る時は
彼女は俺が居てほしいときだけここに居る

*「トラップ・ハウス」というタイトルだからドラッグ・ディーリングを題材とした曲かと思いきや、そのトラップ・ハウスを舞台にした情事の曲のようです。ベッドのシーツが剥がれるほどに激しいのでしょうか?

1バース目(Rob Vicious)

*このバースは、LAを拠点に活動する4人組のラップ・グループ=ショアライン・マフィア(Shoreline Mafia)のメンバーであるロブ・ヴィシャス(Rob Vicious)によるものです。同コレクティブはこれまでにミックステープを3作品とEPを1作品しており、2017年のデビューしたばかりですが、すでに大手アトランティック・レコードと契約している注目株です。

Hit her at the trap house, I'ma blow her back out
Hell nah, we can't kick it, baby, don't you try to pass out
I can't even trust you, gotta fuck you with my MAC out
100s in the safe, baby, I can't leave the cash out

【意訳】
トラップ・ハウスで彼女とヤる 俺はその子をイかす
おい、やめてくれ ベイビー、気を失うのはよせよ
お前のことは信じられない MACを出しながらヤるしかない
金庫には100ドル札の束 ベイビー、現金を失うわけにはいかない

*ロブは女の子との時間を楽しみつつも、彼女のことを全面的には信じられず、万が一のことを考えながらコトに及んでいます。

Mask on, mask off, Rob be getting crack off
Fuck me and my niggas, baby, we gon' have to crack off
Sleeping in the trap house, fucking in the blackout
Still up in the Pyrex, I'm just tryna get her track out

【意訳】
マスク・オン、マスク・オフ、ロブはイっちまう
俺と仲間とヤってみろ ベイビー、ヤバいことになるぜ
トラップ・ハウスで寝て、暗闇の中でヤって
それでもパイレックスの時間になったら彼女を追い出すのさ

*1行目の「マスク」は文字どおりのマスクではなく、避妊具のことではないかと推察されます。一方、これをスキーマスクと捉えても、犯罪を働く(マスク・オン)→帰ってくる(マスク・オフ)→セックスに興じる(ロブはイっちまう)と解釈が成り立ちます。

*4行目の「パイレックス」はヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が手がけていたアパレル・ブランドではなく、調理器具のメーカーです。これを使ってロブはコカインを調理するというわけです。

Rock out with them racks out and I fuck once, can't run back
In and out the trap house, I spend dollars, make funds back
Tryna bank woods, cracked out and my nigga feel me, you done that
Bitch, my name Rob Vicious, if it ain't 'bout money then fuck that (Fuck that)

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