20代中盤を迎えて、歳を意識したアミーネの憂鬱。(Aminé - "Dr. Whoever")

Writer:@raq_reezy

今回は、アミーネを取り上げたいと思います。

アミーネはポートランド州出身のラッパーで「Caroline」がビルボードで最高11位を記録しました。

2017年にリリースした1stアルバム『Good For You』はゴールドディスクとなっています。

そんなアミーネが今年リリースした2ndアルバムが『OnePointFive』です。

今回は、そのアルバムから1曲目の「Dr. Whoever」を解読・和訳していきたいと思います。

イントロ(Rickey Thompson)

Sad on your muthafuckin b-day? Bitch, what the fuck?!
Don’t you realize you poppin'?
Every time you walk in the room you break necks. Necks?!
But you tellin' me you sad on your muthafuckin' b-day?

【意訳】
お前自身の誕生日なのに悲しんでるってか。なんてことだ。
お前は売れてるのを自覚しているか?
部屋に入ってくるたび、お前は首を痛める。首!?
だけど、お前は誕生日なのに悲しいって俺に言うのかよ

*イントロはリッキー・トンプソンの声が使われています。リッキー・トンプソンはノースカロライナ州出身の元Vinerで、現YouTuberです。リッキー・トンプソンの声は、アルバムの他の曲でも使われている他、「Reel It In」のミュージックビデオにも登場しています。

1バース目(Aminé)

I sit here and tell you my problems, that’s how this work, right?
I’m s’posed to be open and honest, but I got time, right?
My niggas having seshes and I’m doin' sessions
Can’t man up if masculinity your only weapon

【意訳】
俺はここに座って、俺の問題を伝える、それが正しいやり方、そうだろ?
俺は正直に自己開示するべきだ、俺には時間もある、そうだろ?
俺の友だちは飲んだり吸ったりばかりしていて、俺はセッションをしてる
男らしさだけが武器なら、男としての責任を果たすことはできない

*この入りからは、アミーネが内向的なことを歌っていくことが予想できます。ヒップホップのステレオタイプなイメージでは、ラッパーは、男らしくて、飲んだり吸ったりばかりするものですが、アミーネはそういったステレオタイプのラッパーと自分との違いをここに落とし込んでいます。

*最近は、こうした内面的な内容を歌うラッパーが増えています。本マガジンでも一度取り上げていますので、もしよければ以下もあわせてお読みください。

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Man, I’ve thought about suicide a hundred times
But, I'd hate to disappoint and see my momma cry
Birthdays these days be the worst days
'Cause I know I’m gettin' older and not happie

【意訳】
俺は100回くらい自殺を考えた事がある
だけど、俺はみんなをがっかりさせて、ママが泣くところを見たくない
最近では誕生日が最悪の日だ
だって、俺は歳をとって、ハッピーじゃなくなっていくって知ってるから

*イントロの伏線が回収されています。アミーネは1994年生まれで現在24歳です。このくらいの年齢になると、若者と中年の狭間になっていくため、歳をとることが憂鬱になっているようです。

Me and my father love each other but we barely show it
He hates that I left home and the lawn is now his to mow it
He look at my generation and think that fashion's over
I kill my sister if she ever model Fashion Nova (true)

【意訳】
俺と父親は、お互いに愛しているけれど、それを見せることはほとんどない
彼は、俺が家を出たから、自分で芝刈りをしなければいけないことを嫌がってる
彼は、俺たちの世代を見て、ファッションというものが終わったと思ってる
妹がFasion Novaのモデルをしたら殺してやる

*アミーネの父親は、あまり感情を表すタイプの人ではないようで、アミーネはいつも「父親に認めてもらわなきゃ」という感情を持って育ってきたことを明かしています。

I'm always on a flight, or I'm in a hurry (yeah)
I miss when losin' my virginity was my only worry (yeah)
Back when puttin' on a condom had me really scary (scare)
And milkshakes were the only time we'd eat a cherry

【意訳】
俺はいつも飛行機に乗っているか、急いでいる
童貞を卒業することだけが悩みだった頃を懐かしく思う
コンドームをつけるだけで、すごくビビってた頃さ
俺たちがチェリーを食べるのはミルクシェークのときだけだった

*ミルクシェークは女性の体のスラングであり、チェリーは女性器の一部のスラングです。アミーネの高校では、セックスなんて気持ち悪いからしない!と普段は友だち同士で強がりながらも、やりたいという、そんな状況だったようで、「チェリーを食べるのはミルクシェークのときだけ」というのは、それを表現したラインなのだそうです。

I think learnin' how to eat pussy from someone who eat pussy
Is better than learnin' from someone who doesn't
And that's word to my ex and that's word to my tongue (yeah)

【意訳】
プッシーを食べたことがある奴から、プッシーを食べる方法を学ぶのは、
プッシーを食べたことが無いやつから、プッシーを食べる方法を学ぶよりも良いことだと思う
これは俺の元カノや、俺の舌への言葉さ

*アミーネ自身によるラップ・ジーニアスの解読を読むと、女性同士でも性体験をしたことのある女性(fluidな人間)と関係を持つ方が、視野が広がるという意味のようです。あまり詳しくないので、間違いがあれば正していただきたいのですが、「fluid」というのは両性愛(バイセクシュアル)ではなく、時と場合によって恋愛対象が変わることを言うようで、アミーネの元カノであるケラーニが、そうしたセクシュアリティであることをオープンにしています

And that's word to the woman
Who had my heart beatin' drums (drums, drums)
Yeah, love is what I cherished and Miss Parrish (yeah)
Flew all the way to Paris and we made out on my terrace (yeah)
I kept it on the low low, 'cause I was in love (love)
And the shade I had in my room was already enough ('nuff)

【意訳】
それから、俺の心臓のドラムを鳴らした全ての女性たちへの言葉だ
そうさ、愛は俺が大切にするものだ、ミス・パリッシュさ
パリまで飛んで、俺のテラスでいちゃついた
俺は目立たないようにした、俺は愛していたから
それに俺の部屋には十分に影が差していたから

*引き続き、ケラーニ(・パリッシュ)の話をしています。アミーネは、ケラーニとの関係をなるべくプライベートに保っていました。それは『The Shade Room』のようなゴシップ誌に取り上げられて関係を損ないたくなかったからだと言います。最後の行の「俺の部屋の影(the shade I had in my room)」は『The Shade Room』を暗喩しています。

I'm goin' on some dates and I'm makin' some plans
But it's hard to find some love if the girl is a fan (fan)
And after we fuck, she want a picture with me
She got me feeling like Paper Boi, but I cry when she leaves, yeah

【意訳】
俺はいくつかのデートに行って、いくつかのプランを立てている
だけど、女の子が自分のファンだと、愛を見つけるのは難しい
関係を持った後には、彼女は俺と写真を撮りたがる
彼女は俺をPaper Boiのような気分にさせる、だけど彼女が帰ると俺は泣く

*ケラーニと別れた後、アミーネは数人の女性とデートをしているようですが、その相手が自分のファンであるが故に上手く行かない様子が歌われています。アミーネは恋愛をしたいけれど、相手は有名人であるアミーネと関係を持ちたいという様子なのでしょう。

*Paper Boiは、ドナルド・グローヴァー(チャイルディッシュ・ガンビーノの俳優名)が主演するドラマ『アトランタ』に登場する、ギャングスタ・ラッパーです。アミーネは、Paper Boiが直面する問題を見ていて、共感するところが多いのだといいます。

サビ(Aminé)

These intros ain't meant to be bangers
They meant for you and me so we'll never end up as strangers
Will Ferrell's ass can't even handle this weather
Tune in your speakers and please be my Dr. Whoever
I said, I said, these intros ain't meant to be bangers
They meant for you and me so we'll never end up as strangers
Will Ferrell's ass can't even handle this weather
Tune in your speakers and please be my Dr. Whoever

【意訳】
このイントロは、バンガーとしてつくられたわけじゃない
お前と俺が、赤の他人で終わらないようにつくられたんだ
ウィル・ファレルのケツだって、この天気をどうにも出来ない
スピーカーにチューンインして、俺のDr. Whoeverになってくれ

*アミーネがこのイントロ曲「Dr. Whoever」をつくった理由は、自分の内面をみんなと共有して、自分をもっと理解してもらいたいからです。「Dr. Whoever」は直訳すると「誰でもいいから博士」という意味になりますが、この曲を聴いた誰でもいいから、リスナーに対して、彼のカウンセラーになってほしいと頼んでいるというようなイメージになっています。

*ウィル・ファレルはアメリカのコメディアンです。

2バース目(Aminé)

Boy, you lookin' big mad
When you see a young brotha up in first class (yee!)
And you damn right my ego like Lavar Ball (yuh)
They hate to see a black man who can't get blackballed (skrr!)

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