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過去に囚われた復讐の輪廻と、目指すべき未来。(和訳:Kid Cudi & JAY-Z "Guns Go Bang)

written by @raq_reezy

こんばんは。

今回は、ネットフリックスで公開される映画『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野』のサントラ集から、ジェイZとキッド・カディによる「Guns Go Bang」を解読していきたいと思います。

映画音楽プロデューサーのジェイメス・サミュエルによってプロデュースされた本曲は、ジェイZのバース部分のとんでもない迫力のビートが癖になる一曲です。

また、映画『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野』は、ジェイZが音楽監督を務めるなど関わった西部劇の映画です。主人公の父親を殺害した犯罪組織のボスが解放されたことを知り、主人公がギャング団を再結成して復讐するという物語となっています。

*本記事の公開時点では、ネットフリックスで公開されています。本記事は映画の公開前に書いています。

なかなか派手そうな映画。

ということで、この映画にあわせてつくられたサントラ集から、ジェイZとキッド・カディのコラボを解読していきます。二人でのコラボは、ジェイZの『The Blueprint 3』に収録されている「Already Home」以来でしょうか。

当時、キッド・カディは、カニエと契約したばかりの頃で、さっそくジェイZに紹介されて『The Blueprint 3』の製作に参加し、緊張がとんでもなかったということをインタビューで話していました。

時は経ち、キッド・カディは鬱の治療期間なども超えて、ラッパーとしてもベテランとなってきました。そんなキッド・カディとジェイZのコラボを楽しんでいきましょう。

今回解読する内容
Kid Cudi & JAY-Z - "Guns Go Bang"
Produced by Jeymes Samuel

1バース目(Kid Cudi)

Avalon be damned
Venture foreign lands
I laid my sword in the sand
I've made my peace with man

和訳:
いまいましいアヴァロン
見知らぬ土地を探索する
俺は剣を砂の上に置いた
俺は他の人間たちとの平和を手に入れた

【解読】

*アヴァロンは、アーサー王物語に登場する伝説の島です。戦で重傷を負ったアーサー王が癒しを求めて訪れ、ここで眠りについたとされています。グラストンベリー修道院の墓地にアーサー王の古墓が見つかったことから、アヴァロンはグラストンベリーではないかと言われています。

*「剣を砂の上に置いた」などのリリックからも、キッド・カディはアーサー王物語などを意識しながら「戦いの後の様子」を描いていると考えられます。

They lay a violent feast
As far as my eyes can see
I seek a Golden Fleece
One day you'll make your peace, so

和訳:
あいつらは暴力的な饗宴を行う
俺の目で物が見える限り
俺は金羊毛を探している
いつの日かお前も平和を見つけるだろう

【解読】

*金羊毛は、ギリシャ神話に出てくる秘宝です。翼を持つ金色の羊の毛皮のこと。コルキスの王が所有しており、眠らないドラゴンによって守られていたとされています。

コーラス(Kid Cudi)

Don't tempt my hand, I'm just a man
A deadly scene, a weathered bein'
Men must cry where soldiers lie on threatened land
My guns go bang

和訳:
俺の手を誘惑するな、俺はただの人間
風化した致命的なシーン
戦士たちが眠る脅かされた土地では涙を流さざるをえない
俺の銃が火を吹く

【解読】

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