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「『週末ジャズ』セッションデー」


 米子でセッションを開催するのは久しぶりで、実は昨日4月13日が今年初めての米子セッションでした。私たちのセッションは「『週末ジャズ』セッションデー」と銘打っていて、ネーミングに或る意味を込めています。それはこうです。1週間、平日を頑張って過ごした終わりに、週末は心地良い空間で仲間同士、心地良い時を過ごしてもらいたいとの願いを込めて、ジャズセッションの場を創ることができれば、と。演奏者もそうでない人も、みんなが互いを尊重し合い、労をねぎらって楽しみましょうと。

 私の大好きなジョージ・ベンソンのアルバムに『メロウなロスの週末』(原題『Weekend in LA』)というアルバムがあります。1977年録音。当時は「邦題がダサい」と話題になりましたが、ライブの雰囲気がとってもいいのです。音源からはLAの夜風の暖かさと週末の寛いだ雰囲気が感じられて、こんなライブがあれば「1週間の疲れも忘れるだろうな」と思いました。そんな雰囲気のセッションになればと思っています。「メロウな米子の週末」ってか😅

 13日、この日のセッションはたくさんの若いミュージシャンやリスナーの人たちに来場していただきました。そして、なんと、「セッションに参加するのは初めて」という方が複数おられたのです。私たちホストとしてはとても嬉しい瞬間ですし、同時にぐっと気持ちが引き締まる瞬間でもあります。実は「カフェ・ブージーズ」さんより以前の会場でも「初めてセッションに参加します」という方々をよくお迎えさせていただいてました。やはり、当たり前ですが、初めて参加される方はとっても緊張されているんです。そりゃ、誰だってそうでしょう。自分だってそうだった訳だから。緊張するけど、そうした方々は、一方で「挑戦」されているんですね。私は、そこが素晴らしいのだと思います。

 ジャズに限らず、何事も挑戦するということは、人が自身の殻を突き破って成長するという意味で、とても大切なことだと思っています。そのような大切な場に立ち会えるという喜びは何にも変え難いものがあります。「セッションやってて良かったなー」と思える瞬間です。ですので、私たちホストバンドは、今出せる最高のものを出し切って、全力でサポートさせていただいています。「今、この瞬間を共有して音楽を創っていけたら」と、そういう思いです。緊張の一瞬がほぐれたら、あとは楽しみ尽くせばいい。

 初めてセッションに参加したベーシストの女性は、最後に曲が8ビートの曲で、最初は参加するのを躊躇されていました。4ビート、ボサノバと、とても安定したリズムで綺麗なラインを弾かれていたけれど、8ビートはどう弾いていいのか、いま一つよく分からないとのこと。「オーラスに好きな曲をやれば?」と提案させていただいて、しばらく、好きな曲を選んでおられるのかと思いきや、いつの間にかホストバンドのベーシストと8ビートのベースの入れ方を話し合っていて、どうやら8ビートの曲で参加してみられるとのことでした。曲の途中、ホスト・ベーシストからエレベを受け取ったその方が、当初は躊躇した8ビートのラインを入れ始めました。恐る恐る弾かれていたのは、多分最初の1コーラスだけだったと思います。2コーラス目からは的確な音とリズムをバシバシと決められるようになりました。しかも、ただ音を入れているだけではなくて「groove」しているのです。これはもう、センスと言っていいと思います。的確なアドバイスをされたであろうホストバンドのベーシストもさすがでした。

 もう一人の男性ボーカルの方もセッション「初挑戦」でした。お部屋ではよく歌っておられるとのことですが、セッションなど生バンドをバックに人前で、というのは初めてとのことでした。選ばれた曲は「Fly me to the moon」「The shadow of your smile」。いずれも映画主題歌のスタンダードの名曲で、ボサノバの名曲でもあります。keyは「黒本」通りでOKというありがたいお言葉に甘えて、ホストでサポートさせていただきました。歌を聴いていて、「この方は本当にジャズがお好きなんだな」と思いました。そういう想いが込められていたのです。私はその「想い」を感じ取ることができました。そして、感受性豊かなほかのホストメンバーも感じ取っていたようで、サポートも実に力が入っていたように思います。

 こうような「挑戦」が生まれながらも、肩肘張らず、ナチュラルにその挑戦を参加者全員で後押しできるような雰囲気が、「『週末ジャズ』セッションデー」にはあると自負しています。というのも、セッションに毎回参加していただいている方々が、その「いい雰囲気」づくりに大きく貢献してくださっているのです。ホストバンドだけでは決してその雰囲気はつくることができない。いつも参加してセッションを楽しんでいただいている方々がいるからこそ、初めての挑戦で、そっと背中を押してあげることができる雰囲気を生み出せていると思います。その意味でも、「よなごまちジャズプロジェクト」も含め、その一環である「『週末ジャズ』セッションデー」は、参加者全員で創造する「作品」だと思っています。素晴らしい経験をさせていただいた皆さまに改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。


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