お金を失っても残るもの

2年ほど前、香港のベンチャー企業から、原宿にある日本のセレクトショップとの売買契約の交渉を仲介して欲しいという依頼が入った。

自分にとって、売買契約の仲介交渉は初めてだったが、何となく面白そうだなと思い、仕事を受けることにした。

私のほうから企業側にアポを取り、香港企業とのミーティングをセッティング。日程に合わせて香港企業の経営者Aさんが来日し、交渉に臨むことに。

Aさんは日本語が話せないので、私と通訳を交え、交渉したのだが、彼が本気であることが先方にもしっかり伝わり、交渉は思いのほかうまくいった。正式契約は後日となったが、かなり手応えがあり、このままいけば契約締結は間違いないだろう。

そこで私は、ちょっと早い祝勝会として、Aさんを日本の居酒屋に連れていくことにした。選んだお店は当時人気沸騰中だった塚田農場。そこで私はAさんといろいろな話をした。

ちなみにAさんは香港で消防士をしていたのだが、今回のビジネス挑戦のために辞めていた。私はAさんに質問した。

「交渉がまとまるかわからない中、安定した職業を捨てて、怖くないのかい?失敗したらどうするんだい」

この質問に対するAさんの答えは明確だった。

「怖い?何も怖くなんかないよ。僕はまだ若い。やりたいことが見つかったならチャレンジしなくちゃ。もし失敗しても無くなるのはお金だけだ。経験は残るじゃないか。」

笑顔でこう答えるAさんを見て、とてもすがすがしい気持ちになると共に、身が引き締まる思いがした。

まだまだ自分も終わってはいない。さぁチャレンジを続けなければ!

お気持ちだけで十分。大変光栄でございます。それでもという奇特な方がいらっしゃったら、どこか本当に困っている方に寄付していただけると嬉しいデスm(__)m