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子供の性格って、変えられる?(その1)

お子様に接していて、たとえば「忍耐がない。」とか「〇〇が足りない。」など困っていらっしゃることはありませんか?
「これって性格なのかしら?」「育て方がまちがっていたのかな?」などだれしも子育てでの悩みは必ずあるものです。

ところで、その性格って、遺伝で決まるのかそれとも後天的な環境で決まるのかどちらだと思いますか?
これは、昔から議論されてきたことで、双子などの研究で何が遺伝で、何が後天的な影響なのかがだんだんわかってきました。

その答えの1つが、米国ワシントン大学セントルイスのロバート・クロニンジャー博士の7因子モデルです。

クロニンジャー博士の7因子モデルでは、人間のパーソナリティを7つの因子から成り立つものとして考え、そのうち、4つの因子(気質)が遺伝的な影響を強く受け、3つの因子(性格)が環境的な影響を強く受けのに分けられます。

気質①新奇性探究・・・新しいものにとびつこうとする性質。好奇心、衝動性に関係する。
  ②損害回避・・・損害を避けようとする性質。心配性
  ③報酬依存・・・人からほめられたり、認められたい気持ちが強い性質。
  ④固執・・・1つのことをねばり強く続ける性質。

医学的・脳科学的な理屈としては、たとえば神経伝達物質の1つであるセロトニンが不足すると、イライラ、向上心低下、意欲低下、不安や、うつ症状
などが引き起こされ、その分泌量は、運動や睡眠・体調・食事などによっても変化するが、絶対的な量自体は遺伝によって決まっており、もともと分泌量が遺伝的に少ない傾向の人は、不安になりやすかったり、性格が心配性の傾向が強くなる、などです。
しかし、ここでは、医学的なアプローチは横に置いておいて、その対処法についてお話します。

上にあげた4つが、遺伝的に強く影響するもので、これら4つが、どのくらいの強さ・弱さでそれぞれが組み合わさっているかで、その人の個性・(一般にいわれる)性格(3因子の”性格”ではない)の骨組みが決まってくるということです。

ここで、大切なことは、それぞれの因子・特徴は、あくまで「傾向」であって、いいも悪いもありません。
それぞれの特徴を知り、それをよくない方向にできる限り顕在化させないようにし、より良い方向にもっていくことが大切なのです。

たとえば、④の固執の特性が長所としてはっきされれば、粘り強く1つのことに集中して成し遂げようとしますが、短所として育ってしまうと、融通が利かず、しつこく行動の転換ができない堅物になってしまいます。
逆に「固執」の特性が弱い人は、長所として育てれば、柔軟性があり、行動の機転が利く人になり、短所として育ってしまうと我慢ができないひとになります。

そして、この「気質」は、生まれつきの特性であり変えることはできないということです。
ですので、生まれつき「固執」の特性が弱い子供に対して、「なんであなたは、粘り強くできないの。」「1つのことをしっかりと最後までできないと、ろくな人間になれないよ。」「だからあなたはだめなんだ。」などど本人には、どうすることもできない生まれつきの性質を頭から否定をするとそれが短所として育ってしまいます。

大切なのは、それらの特性を自分自身で認め、受け入れ、そしてそれをプラスに働くようにもっといくことが必要です。
思春期に入ったお子様は、それが自分でできるようにそっとサポートを親がしてあげること、思春期前のお子様には、その特性をまずお母様が認め、受け入れて、それが長所に働くようにサポートをしてあげながら、必要な考え方を教えてあげることが大事です。
そして、その根底に必要なのがお母様の無条件の愛です。
子供に対して、「がんばったら、愛してあげる。」「成績がよかったら、ほめてあげる。愛してあげる。」では、がんばれなかったお子さんは、自己否定に入ってきます。(後述の自尊心(自己愛)の形成に大きく影響してきます。)

そして、その4因子をまとめて、よき方向にもっていくために必要なのが、環境的影響の強い「性格」の3因子です。

(その2へ続く)



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