マガジンのカバー画像

鳥かごの鍵

33
彼氏がいるのに、7歳下のイケメンに恋してしまう。 揺れる気持ちと罪悪感との闘い。 鳥かごとは? 鍵とは? ドキドキしながら最後まで読んで下さい。
運営しているクリエイター

記事一覧

鳥かごの鍵 33 (終)

鳥かごの鍵 33 (終)

私は月から目が離せない。

心臓が止まりそうだった、
いや一回止まったのかもしれない。

月にそっくりな人だった、
夢の中の月は21歳だった、
目の前にいる月は30歳を超えている。

あれは夢で今は現実!

頭が混乱している、
そして月も驚いた顔をして私を見ている。

「星なの?」

そう言って月は私を抱きしめた。

「やっと会えた。」

月は私にキスをした。

私は恥ずかしくて顔が真っ赤になった

もっとみる
鳥かごの鍵 32

鳥かごの鍵 32

離婚して1年が過ぎた。

あの白い大きな家は売って、
元旦那さんは恋人とマンションに住んでいるけど、
最近は別れ話が出ているらしい。

私は息子と郊外のマンションに引っ越して来た、
自然の多い場所で息子も気に入っている、
昔よりゲームをやる時間が減り、
外に遊びに行くことが多くなった。

私は昔の家で唯一好きだった庭がなくなり、
狭いベランダで花を育てるだけでは物足りなくて、
近所の園芸ショップで

もっとみる
鳥かごの鍵 31

鳥かごの鍵 31

私は主人と離婚することにした。

主人の浮気相手は駅の近くにある内科の受付の女の子だった。

私は慰謝料をたくさん貰えることになった。

主人は浮気していることを隠して離婚しようと考えていたようだ、
私に浮気のことがバレて主人の計画は狂ってしまった。

離婚は主人がすべて悪い訳ではない、
私も主人もお互いを思いやる気持ちが足りなかった。

私はいつの間にか、
旦那なら、父親なら、男ならと彼を束縛し

もっとみる
鳥かごの鍵 30

鳥かごの鍵 30

夜、主人が帰って来た。

今夜は主人に話しがあったので、
早めに子供を寝かせていた。

「おかえり、話しがあるんだけど座って。」

「昨日の話しの続き?」

「そう、離婚の話し。」

長い話しになると思い私はコーヒーを入れ、
主人の前にコーヒーを置いた。

「あなた私と離婚したらどうするの?
この家で1人で暮らすの?」

「こんな広い家じゃ暮らさないよ、
マンションに引っ越すよ。」

「1人で?」

もっとみる
鳥かごの鍵 29

鳥かごの鍵 29

息子が落としたのかな?
私はキーホルダーをエプロンのポケットに入れて、
家に戻った。

いつも通りの1日。

風が少しあると洗濯物がすぐに乾く。

私は洗濯をたたみ、夕飯の準備をして子供の帰りを待つ、
今日はサッカーの日、土でドロドロになって帰って来るから、
まずはお風呂に入れないと!

息子が帰って来てバタバタとお風呂、ご飯を済ませて、
9時にはどうにか息子を部屋に行かせた。

そして10時近く

もっとみる
鳥かごの鍵 28

鳥かごの鍵 28

頭がぼーっとする。

今までの出来事は夢?

「ママ、ごはんは?」

「えっ?ママ?・・・・」

「あかり、早く起きろ何時だと思ってるんだ!」

私は起き上がり時計を見ると、6時10分過ぎだった、
30分の寝坊だ!

一気に現実に戻った!
私は急いで朝ごはんを作り始めた。

「もうこんな時間だから朝ごはんはいらないよ、
専業主婦は遅刻も無くてお気楽でいいな。」

主人はいつものように嫌味を言って玄

もっとみる
鳥かごの鍵 27

鳥かごの鍵 27

私は驚いて声が出ない。

月はどこに行ったの?
彼はどうやって入って来たの?

「やっぱり俺を裏切ってたんだな!」

「ち、ちがうのよ!」

彼の手を見ると包丁が握られている、
私は怖くなり外に逃げだした。

私は裸足でアパートの階段を駆け下りた。

外は真っ暗でいつも見る景色と違っていた、
私は全力で走った、でも全然前に進めない。

体が重く思うように動かない。

私はがんばって前に進もうとして

もっとみる
鳥かごの鍵 26

鳥かごの鍵 26

「ごめん、ここまで来ちゃって、
でも連絡ないから不安で…」

なつが驚いている、そりゃ驚くよね。

私と月の顔を交互の見ている。

「二人で話せるかな?」
と月が聞いて来た。

私は彼がどこかで見ているかもしれないと思い、
「なつごめん詳しい話しは明日する、今日は帰るね。」

そう言って私は月の手を引っ張って走り出した。

走るなんて久振り、
でも彼が見ていたら大変、逃げないと。

私は必死だった

もっとみる
鳥かご鍵 25

鳥かご鍵 25

私は重い体を引きずり、
仕事に向かった。

なつは私がケガしていること、
元気が無いことを心配していたが、
今はこの状況を人に説明できるほどの元気はなかった。

どうにか仕事をこなして私は家に帰って来た。

彼とどうしたら別れることが出来るのか?

私は月とお揃いで買った三日月の形のキーホルダーを見ながら考えていた。

月に会いたい。

でも彼がどこかで見ているかもしれない、
そう考えると月と会う

もっとみる
鳥かご鍵 24

鳥かご鍵 24

彼はずっと私を見ていたんだ!

彼を問いただそうとしても、
頭が混乱して言葉が出て来ない、
何が起こっているのか理解が出来ない。

彼はいつから私を監視していたの?

怖い。

私は恐怖で震えた。

今まで感じたこのと無い血の気が引くような、
深い恐怖に襲われた。

「ごめん言い過ぎた。」

そう言って彼が私を抱きしめる、
「もう大丈夫、俺たちやり直せるよ。」

私は彼を突き飛ばした。

私は涙が

もっとみる
鳥かご鍵 23

鳥かご鍵 23

私は彼が落ち着くように、冷静に話した。

今の彼に何を言っても怒るだけ、
冷静に聞いてくれない。

これから先、私達はどうするのか?
納得できる回答を聞くまで彼は帰ってくれないだろう。

「嘘をついてごめんなさい。
彼とはSNSで知り合ったの。今日が会うのは初めてで、
友達だから、恋愛感情は無いわ。」

私は彼が怖くて嘘を付いた、
自己防衛の為の嘘の上塗り。

「友達には見えなかった。
あいつはお

もっとみる
鳥かごの鍵 22

鳥かごの鍵 22

私は家に入り窓を開けて風を入れた、
これから重い話しになる。

少し前までの幸せな気持ちから一気に気分は下がっていた。

「今日はどこに行ってたんだよ?」

「今日は色々と…。」

「ふ~ん、色々ね、あの男と?」

「えっ誰?」

「あいつだよ、背の高い若いやつ。」

「なんで知ってるの?」

「俺はなんでも知ってるよ。」

彼は私と目を合わせないで、
窓の外を見ながら話している。

「もう俺のこ

もっとみる
鳥かごの鍵 21

鳥かごの鍵 21

私達は軽くご飯を食べて、
ゆっくりコーヒーを飲んだ。

「今日は本当に楽しかった、
私の好みのお店色々調べてくれてありがとう、
全部が私の好みでビックリしたよ。」

「喜んでもらえて良かった。
また会えるかな?」

月が聞いてきた。

「うん、もちろん。またランチしよう。」

私が言うと、月は嬉しそうに笑った。

時計を見ると20時を過ぎていた。

私達はお店を出て、駅に向かった。

「明日仕事で

もっとみる
鳥かごの鍵 20

鳥かごの鍵 20

私達はお店のすぐ裏にある公園に向かった、
そこは公園というより広い緑地だった。

公園の奥に歩いて行くと、
大きな噴水のある場所があった。
私達は噴水の前にあるベンチに座り、
話すことにした。

「実は私、月のこと少し前から知ってたの。」
私は重い口をどうにか開き話し始めた。

「えっ本当に!なんで?」
月は驚いた顔をしている。

私はカフェのこと、
ブレスレットのこと、
ロコモコ丼の写真のことを

もっとみる