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鳥かごの鍵 33 (終)

私は月から目が離せない。

心臓が止まりそうだった、
いや一回止まったのかもしれない。

月にそっくりな人だった、
夢の中の月は21歳だった、
目の前にいる月は30歳を超えている。

あれは夢で今は現実!

頭が混乱している、
そして月も驚いた顔をして私を見ている。

「星なの?」

そう言って月は私を抱きしめた。

「やっと会えた。」

月は私にキスをした。

私は恥ずかしくて顔が真っ赤になった。

「いつか会えるって信じていたんだ!」

「本当に月なの?」

「そうだよ、俺だよ。」

私は信じられなかった、
しかし腕を見ると皮のブレスレットをしていた。

私は涙が溢れて来た。

「私も会いたかった。」

そう言って月にキスをした。


その日の夜、

私たちは現実世界で始めて会うことになった。

月のおすすめのカフェはおしゃれだった。

向き合って座るのは恥ずかしいので、
私たちはカウンターで並んで座った。

あの奇妙な夢の話しをした、
私たちは同じ日に同じ夢をみていた。

そして驚いたことに月にも奥さんがいた、
私たちはお互い窮屈な暮らしをしていた、
そして月の家の庭にも三日月の形のUSBメモリが落ちていて、
その中に奥さんの浮気の証拠があったそうだ。

私たちは「鳥かご」から出て自由になれた。


今日は満月、夜空から明るい月がこちらを見ている。

そして私の隣にも月がいる。

「ねー星野あかりって名前、
昭和の歌手見たいじゃない?」

「うるさい!」

「月島あかりのほうがおしゃれじゃない?」

そういって月は後ろから抱きついて来た。

そして私の指に指輪をはめた。

「えっ何?」

「結婚しよう。
これからはずっと一緒に暮らそう。」

「うん、結婚する!」

「じゃ決まり!」

私たちは結婚した。

幸せは長続きしないと言う人がいるけど、
私は幸せが一生続くって信じている。

夜空に月がある限り私の幸せは続いていく。


おわり




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