見出し画像

鳥かごの鍵 29

息子が落としたのかな?
私はキーホルダーをエプロンのポケットに入れて、
家に戻った。

いつも通りの1日。

風が少しあると洗濯物がすぐに乾く。

私は洗濯をたたみ、夕飯の準備をして子供の帰りを待つ、
今日はサッカーの日、土でドロドロになって帰って来るから、
まずはお風呂に入れないと!

息子が帰って来てバタバタとお風呂、ご飯を済ませて、
9時にはどうにか息子を部屋に行かせた。

そして10時近くに主人が帰って来た。

「ただいま。」

「お酒臭い!」

「そりゃそうだ!酒飲んだもん!」

主人は軽く酔っていた。

「あかり、ちょっと座れよ。」

主人はダイニングテーブルを指差している。

私はほろ酔いの主人に水を渡して椅子に座る。

「なー俺たちこのままでいいのか?」

「何よ急にどいう意味?」

「俺たち夫婦は破綻してるだろ!
もう愛情も無いし、夜も…ないだろ…
このまま生活を続けてもお互い幸せにはなれない、
だから俺たち離婚しないか?」

突然の話しで私はびっくりした。

「離婚って本気?子供はどうするの?」

「これから弁護士立てて話し合わないか?」

「他に女でもいるの?」

「いるわけないだろう!
ただこのままの関係を引きずるのが嫌なんだよ。」

「突然言われても、少し考えさせて。」

「もちろんだよ、考えてくれ。」

主人はそう言うと部屋を出てお風呂に向かった。

この話しをする為のお酒飲んで来たのかな?

「離婚」

現実に離婚となると、
お金の問題や子供の問題があるので、
私から言い出す勇気がなかった。

離婚したらどうするの?
私は働くってこと?
今38歳、働けるのかな?

不安だな…

私は自分の部屋に行って色々考えた、
いくら考えて不安は消えなかった、
私は不安を抱えたまた眠りについた。

翌日

主人と息子を送り出して、
家事を急いで終わらせ、
離婚についてネットで調べる。

離婚するのは大変だと言う記事ばかり。

やっぱり離婚は大変なんだな…

私は椅子から立ち背伸びして、
エプロンのポケットに手を入れると、
昨日、庭で拾った、
三日月の形のキーホルダーが入っていた。

息子に聞くのをすっかり忘れていた。

そのキーホルダーを良く見ると、
切れ目があった。

私はキーホルダーを左右に引っ張ると、
それはUSBメモリになっていた。

息子の物だと思っていたけど主人のだったのかな?

でも主人は庭に行かないから、落とすわけないし・・・

大切な物なら私に聞いてくるはずだし・・・

私は恐る恐るPCにそれを刺してみた。

ファイルを開くとそれにはたくさんの写真が入っていた。

つづく



もっと飛躍する為の活動資金宜しくお願い致します。