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魔女の館の秘密 12

「こんなところにドアがあったの?」

「なみさん開けてみたら。」

「えっ!!何が入ってるの?

私は怖くて開けることが出来なかった。

その時、

「すみません!」

お店の入り口で声がした。

「はーい」

私は急いでお店の入り口に向かった。

「予約していた田中です。」

50代ぐらいの男性と女性だった。

「はい、いらっしゃいませ。
ごゆっくり見て下さい。
何かありました声かけて下さい。」

私はそう言ってお客様から離れて、
葵くんのところに戻ろうとすると。

「じゃ、また来ます。」

と言って葵くんは帰ってしまった。

話し続きだったのに、
あのドアの中は何があるの?

私の心はもやもやしていた。


お客様は気に入った食器がいくつもあり、
悩んでいる様子だった。

私は小さなドアを開けるか悩んでいた。

葵くんが大袈裟に言うから、
怖くなったけど、
開けたらただの物置ってこともあるよね。

でも開けて何かいたらどうする?
私が開けるか迷っていると、

「すいません、長居してしまって。」

奥さんらしき人が謝って来た。

「いえいえ、ごゆっくりで大丈夫ですよ。」

「二人で念願のカフェをやるんで、食器にもこだわりたくて。」

「お二人でカフェなんて素敵ですね、憧れます。」

「ありがとう。」

私は邪魔にならないように奥の部屋の掃除をしていた。
小さなドアを開けるか迷いながら…



「すみません。」

「はい。」

「このティーカップとお皿を20セット頂きます。」

「はい、ありがとうございます。
じゃここにお名前をお願いします。」

それは綺麗なブルーの花模様のカップだった。

「キレイなブルーですね!」

「ここの商品は他ではない物ばかりなのよ、
どこで仕入れているのかは秘密らしいのよ。」

「秘密?そうなんですか…」

「あなた老眼鏡持って来た?」

男性は自分のカバンの中から老眼鏡をだして、
女性に渡した。

「ここに名前を書けばいいの?」


「はい、お願いします。納品の日にちについては、
担当からメールさせますね。」

「急いで無いから大丈夫よ、
入院してるそうでお大事にして下さい。」

「はい、もう元気なのですぐに退院できると思います。」

「それなら良かった。」

そんな会話をしながら二人を車まで見送った。


私はお店に1人になった。

小さなドアの前に立ってドアを開けるか考えた・・・

でも開ける勇気はなく。

お店を軽く掃除をして家に帰った。

つづく


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