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鳥かごの鍵 1

いつもより早く目が覚めた。
時計を見るとまだ7時だった。

今日も新しい1日が始まる。

フッと窓の方を見ると、
カーテン越しの外が少し暗い。

今日は曇り空みたいだ。
曇りの日は朝から憂鬱。

私の住んでいるアパートの隣の大きな白い家の男の子がまた母親に、
「早く学校に行きなさい」と怒られているのが聞こえる。

今日は9時に家を出れば仕事に間に合う。
出勤まで2時間もあるとダラダラしてしまうので朝から疲れてしまう。
寝坊してあと30分しかないと急いで支度した方が、
朝からエンジン全開で疲れない気がする。
でも毎日寝坊という訳にはいかないので、
いつもは7時40分に目覚ましをかけている。

私は布団の中から手を伸ばして、
机の上からテレビのリモコンを取り、
電源を付ける。

大きなニュースもなく、
政治家がまたお酒の席でハメを外して失言したことや、
不倫だ浮気だと芸能人の不貞を責め立てるニュースが流れている。
朝からそんなニュースは見たくない。
私はテレビの電源を切り、お湯を沸かしてコーヒーを飲む、
カーテンを開けて窓の外の薄曇りの空を見て、
「今日も平和だ。」と独り言をつぶやく。

フッとスマホを見るとLINEが入ってる、
彼からのLINEだった。

「今日は仕事が早く終わるから夜ごはん一緒にどう?」

彼とはもう2年付き合っている、
私は今年で28歳になる。

結婚を考えたことは何度もある、
結婚を考える時は仕事が上手く行かない時、
「仕事から逃げる為に結婚するの?
それでいいの?彼のこと本当に好き?
一生を共に過ごせる?」
こんな疑問が心の底から浮かんで来て、
なかなか前に進めない。

誰かと一緒に住むと、
自由な時間が無くなる。
家事は私がすべてやらないといけない。
窮屈な暮らし…こんなイメージがなかなか消えない。

好きな人と一緒に暮らせるならなんでもいい!
っていう歳でもないことが悲しい。

「カチャ!カチャ!」

振り返ると、飼っているインコが鳥カゴのドアを口ばしでつっついていた。

「お腹すいたの?」とインコに話しかけて、
私はエサをあげる。

結婚に踏み切れない相手なら次の恋に行った方が良いことは、
心のどこかでわかっている。
しかし、1年が過ぎるのは早く、
彼といると居心地が良くそのままずるずる2年が過ぎた。

彼が好きなのか?
1人だと寂しいので一緒にいるのか?
恋しているのか?愛しているのか?
わからない。

彼が結婚のことをどう思っているのもかわからない。
彼は時々何を考えているのかわからないことがある。

「うん!いいよ、じゃ駅に19時でいい?」

と返信すると返事はすぐに帰って来た。

「いいよ。じゃ今夜ね。」

彼は会社の寮に住んでいる、大手企業に勤めていて、
イケメンではないが、さわやかで優しい人だ。

つづく




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