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鳥かごの鍵 26

「ごめん、ここまで来ちゃって、
でも連絡ないから不安で…」

なつが驚いている、そりゃ驚くよね。

私と月の顔を交互の見ている。

「二人で話せるかな?」
と月が聞いて来た。

私は彼がどこかで見ているかもしれないと思い、
「なつごめん詳しい話しは明日する、今日は帰るね。」

そう言って私は月の手を引っ張って走り出した。

走るなんて久振り、
でも彼が見ていたら大変、逃げないと。

私は必死だった。

少し走ると頭がくらくらした、
何も食べていないから?
寝不足だから?
原因はわからない。

私は全力で走った、
すると、急に目の前が暗くなり、
私の意識は無くなった。

「大丈夫?」という月の声で目が覚めた。

気が付くと私は自分のベッドで寝ていた、
私が起き上がると、
ベッドの横に月が座っていた。

「えっ?私どうして家にいるの?
どうやって帰って来たの?
なんで家がわかったの?」

私は月に聞いた。

「急に倒れたからタクシーで帰って来たんだよ。」

月が私の手を見ている。

「そのケガどうしたの?
なんで最近連絡くれないの?この前、俺何かした?」

「違うの色々あって…」

私は彼と目が合わせられない。

「俺に話せないこと?
力になれるかもしれないから話してよ。」

私は涙が止まらなかった、
月は私を優しく抱きしめた。

もう隠しきれない。

私はゆっくり彼のことを話した。

月は黙って聞いてくれた。

「ごめんなさい、彼がいることなかなか言えなくて…
彼と別れたいの、
でも今の彼は何も話しを聞いてくれないと思う、
もう少し彼が落ち着いたら話そうと思ってるの…」

「わかった、俺から彼に話してもいいけど、
そんなことしたら逆効果になりそうだよな…
力になれなくて、ごめん。」

「ううん、今の彼に何話しても無駄だから、
気持ちだけでもうれしい、ありがとう。」

私は月の顔を見ると、
月は私にキスをして来た。

「あっごめん!」

月は照れていた、
「彼を説得出来たら、付き合おう。」

私は「うん」と返事をした。

「コーヒーでも入れるね。」

「いいよ、まだ寝てなよ!」

「私が飲みたいの。」

私は立ち上がった、まだくらくらする、
私は洗面所で泣きはらした顔を軽く洗った。

顔を拭きながら、
なんで月はここの住所がわかったのか?
部屋の鍵はどうやって開けたのか?
不思議に思った、
そして、私が部屋に戻ると月はいなかった。

「どこに行ったの?」

私はそう言って振り向くとそこには、
彼が立っていた。

つづく

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