vol.6:バイトと学業を両立できない

今回のお悩みはこちら。

このマシュマロでは状況がよくわからなかったので、追加で質問を投げたところ、ご返答をいただきました。上記の1通目を含め、ステータスを整理します。

■現状のステータス

・現在、専門学校2年生
・卒業後は、専門学校の提携校(海外)へ3年次編入したいと思っている。つまり留学したい
・留学先は韓国
・留学したいのは「培った語学力を活かした仕事」をするため
・将来の目標も就きたい職業も決まっていない。コネもない
・語学力がない現時点では就職活動はしたくない
・今から就職活動をしても遅いと思っている
・親は留学に反対
・留学させてもらえる条件は「学費を自分で貯めること」
・上記の理由で、バイトは必須
・しかし、病んでいて(疲れていて?)バイトと学業が両立できない
・学費は2年で42万円(本来は1年42万円×2年=84万円だが、42万円は奨学金で賄うため)。42万円貯める必要がある
・まだお金は一切貯まっていない
・提携校のシステムを使って留学するなら来年(2020年3月?)しかないので、それまでにバイトで貯めるしかない

■残る疑問

・そもそも、提携校は大学? 専門→3年次できる?
・今のバイトでだいたい月いくらくらい稼いでいる?
・「学費は1年42万円」「本来は2年で84万円だが、1年分(42万円)は奨学金でまかなう(確かツイキャスでコメントがあった)」「生活費として奨学金を借りる」奨学金は学費? 生活費? 結局トータルでいくら必要? 
・学業が疎かな状態でも借りることができる奨学金→貸与型奨学金?

◆まずは状況整理

まずはノートを買って状況を整理しましょう。そのうえで、やりたいこと、やるべきこと、その目標達成のために今自分がするべきことを洗い出しましょう。

というのも、この問題は「バイトと学業が両立できない」ことではない気がします(タイトルにしておきながら)。

マシュマロを合計3通いただいて、問題が伝わりきっていないということは、相談者さん自身が問題を整理しきれていないということです。また、状況に応じた適切な判断ができていない、それをするための選択肢の洗い出しもできていないということです。

まずは自分の状況を書き出しましょう。そのうえでどんな選択肢があるか洗い出しましょう。それぞれのメリット・デメリットを書き出し、現在の状況(体調、経済面、将来の展望)などを踏まえ、ベストな選択肢をチョイスしましょう。

◆「留学でどうにかなる」という幻想

一番気になるのは「目標設定のない留学」という点です。将来、韓国語を使った仕事をしたいと思っているけれど、具体的に就きたい職業も決まっておらず、そんな留学のためにバイトを強いて、体調を崩している、という印象です。

そして、不安ななか「留学をしたらどうにかなる」「喋れるようになったら好きな仕事ができる」と、すがりたい気持ちも、わからなくはありません。しかし、大前提として、大学は何かを専門的に学びに行くところで、語学を学びに行くところではありません。「韓国が好き」という情熱を失う必要はありませんが、一度冷静に考えてみる必要はあると思います。

これには、経験者のユーザーさんから貴重なコメントをいただきました。

韓国の大学に留学中ですが、韓国への語学留学はおすすめしません。韓国語を話したいからという理由で語学留学をして、将来に何かを見いだせたという子を見たことがありません。
韓国語書籍・ドラマの翻訳をやっています。韓国語を使う仕事に、韓国語がどれくらいできるかは、たぶん求められていません。ドラマの翻訳は、一目で中学生にでもわかるように。書籍翻訳は、原文を崩しすぎず、日本人の生活になじむよう、豊富なボキャブラリーが必要です。
韓国で働くにしてもそんなに完璧な韓国語じゃなくても通じるし、留学で学べる言葉はたかが知れています。何の目的も持たずに「行きたいだけ」は、途中で頑張れなくなるかもしれないので、計画を立たほうがいいと思います。

語学を使った仕事というと、「通訳者」「翻訳家」が浮かぶと思います。しかし、3つ目のアドバイスの通り、「通訳者」は通訳の、「翻訳家」は翻訳のプロフェッショナルとしてのスキルが必要です。彼らは、ただ語学が堪能な人ではありません。

通訳者で有名な方に、橋本美穂さんという方がいます(この方は英語です)。こちらの動画で、そのすごさがわかると思います。

このような語学力を、レベル表にあてはめると、以下のようになります(オンライン英会話ならQQ English!キャプチャ)。

相談者さんが編入し、韓国の大学を卒業できた時点で、レベル8(大学上級レベル)もしくはレベル9(大学院レベル)でしょう。その後就職し、レベル10(ビジネスレベル)に到達することができても、語学力だけでごはんは食べていけません。この場合、

・マーケティングの知識・経験+語学力
・営業のスキル・実績+語学力

というように、メインのビジネススキル+αとして、レベル10の語学力があるという構図です。

これが「通訳者」「翻訳者」になれば、専門知識+ネイティブレベルの語学力(表でいうレベル12)が求められます。

◆目的なく学んでもいい言語

大前提として、好きな言語を好きなように学べばよいと思います。ただ、キャリアのことを考えた場合、目標がなくとも学んでおいて損がない言語と、そうでない言語(趣味程度で十分なもの)があるでしょう。

学んでおいて損はない言語は、単純に、世界で多く使われている言語です。これは母語人口というよりは、商業活動で多く使われていることが重要なので、今回はWIP Japanの「世界の言語ランキング(インターネット上の言語使用人口)」(2017年12月31日時点)を見てみます。

全世界インターネット利用人口のTOP3は以下です。

1. 英語 10億5,276万人(25.3%)
2. 中国語 8億463万人(19.4%)
3. スペイン語 3億3,789万人(8.1%)

これらの言語は、使えると有利なので、学んでおいて損がない言語でしょう。

また、アフリカの発展がめざましいことから「フランス語」も使用率が上昇すると考えられています。

一方、韓国語はどうでしょうか。

全世界インターネット利用人口はTOP10しか発表されておらず、韓国語はランクインしていません。

母語人口では、集計された31言語中、韓国語は14位、7,500万人。単純計算で、中国語の5%、英語の14%の市場しかないことになります。

そうなれば尚更、語学力以外の専門知識、戦略が必要なことがわかります。ただでさえ、日本人にとって韓国語は習得しやすい言語。なんなら、日本語が堪能な韓国人の方々もたくさんいる。

そのなかで自分が、どんな”売り”を市場に提示していくのか――まずは、韓国留学によって自分が手に入れたい成果、それをどう繋げていきたいかを整理しましょう。

◆就職活動は今からでも遅くない

私自身、短大2年の前期に交換留学し、9月に帰国、そこから合同説明会に出向き、内定をもらった経験があります。なので、相談者さんの「今から就職活動をしても遅い」は事実ではありません。

そこから察するに、私はこちらのユーザーさんのコメントに賛同する部分が大きいです。

「就活怖い」「就職怖い」は、留学や院入学を考える遠因となりうる。モラトリアム的な…。

というのも、私も結局「就職怖い」と怖気づいてしまって、せっかくいただいた内定を蹴ってしまったのです(苦笑)。当時は自分を正当化するためにいろいろ理由付けをしました。でも、思い返せば「社会人ってすごい責任問われる立場じゃん… 私そんなのになれんのかな? 無理じゃない?」とビビっていただけでした。だから、気持ちはよくわかります。

なので、さまざまな心情があるとはおもいますが、単純に事実だけで言えば、今からでも就職活動できます。そして内定ももらえるでしょう。

今サクッと検索しただけでも、リクナビが以下の合同企業説明会を予定しているようです。

■7月28日(日)・8月6日(火)
 企業発見&選考準備★LIVE / 合同面接★LIVE
 場所:大阪

■8月10日(土)
 企業発見&選考準備★LIVE / 合同面接★LIVE
 場所:東京

合同企業説明会はおそらく、この調子で秋口まで続きます。小さいものも含めると、毎週のように開催されています。

ただし、これは「何が何でも就職しろよ」というメッセージではありません。就職には、それなりのメリットがあると思うからです。

私が尊敬している方たちには、社会人になってから留学した(数年企業に勤めて、留学費用を貯め、20代後半~30代前半で院留学したなど)方が多いです。そのようなケースを見ていると、「□□大学でこの研究をしてキャリアに役立てたい」「今後のキャリアアップのために必要だから、MBAを取得したい」というような、具体的な目標を持っている方ばかりでした。実際に職に就いたことで、不足しているものの輪郭が明確になり、それを補ったり発展させたりするというビジョンを描いていた方たちです。

一方、学生時代や、その延長で留学した方は、学歴と達成感は手に入れたものの、それを具体的なアクションやビジョンに落とし込んでいるかといえば、そうでない方が一定数いる印象です。あくまで個人的で身勝手な意見ですが、「1年200万円の学費+生活費諸々を親に出してもらって、最終的にその選択をするのか…」ということも、ざらにあります。

これについては、留学経験者の方からも意見をいただきました。

アメリカ、中国、台湾と短〜中期の留学をしましたが、語学はあくまでツールでしかないです。何を話せるか、何を知っているか、何を考えているのかが大切です。具体的に知りたいこと、考えたいことがないと、身のある学びになりづらいです。

相談者さんの目標は、少なくとも現段階では、具体性がありません。そのため、まずは就職してみるという選択肢もありかと思います。

社会人になったら留学できないなんてことはない!今の時代全然大丈夫だと思ってます🙋

また、現時点の"緩い"目的を考えると、ワーキングホリデーという選択肢もあります。これについては、ワーホリの経験者の方からもメッセージをいただきました。

28歳のとき、ワーキングホリデービザでオーストラリアへ行きました。ワーホリの良い点は、多少の預金と心意気があれば1年間、ほかの国で住めること(国によって違いはありますが)。
私の場合、20万程度の預金で出発しました。日本のエージェントを通し、語学学校3ヶ月+ホームスティ1ヶ月で、約60万円かかりましたが、現地にはいくらでも安価な学校があります。語学学校は人脈作りのために入学しました。
職場は、ローカルの友人を作るためジャパニーズレストラン以外で探しましたが、最初は語学力でうちのめされ、トライアルで皿洗い。28歳で皿洗いをやるとは思ってもみませんでした。
最後はイタリアンレストランで、現地のイタリア人たちと働きました。ローカルのお客さんがくるお店だったので、語学はここで学んだと言っても過言ではないくらいです。
経験はいろいろな形になり得ます。本当に実現したいことであれば、もったいない理由で決して諦めないでほしいなと日々思っています。今の気持ちも、頑張ってる仕事の分も、ぜひ叶えてもらいたいです。

注意すべき点は、オーストラリアと韓国では状況が異なる点です。給料1つとっても、オーストラリアは「世界一最低賃金の高い国」と言われており、時給は約1,600円~。一方、韓国は安く、約640円~のようです。そのため、出発時の預金は余裕があるほうがいいでしょう。

それを考えると、目標がないまますぐ旅立つよりも、

① いったん就職しながら語学力UP
② 1年間ワーホリに行ってみる
③ ①・②で具体的な目標設定ができたら留学を決意(ワーホリで気が済んだら就職)
④ 準備(資金が必要であれば再就職するなど)
⑤ 留学

というルートで、具体的なビジョンを描きながら、しっかり準備し、最終的には自分のやりたい職業に繋げていくこともできるのではないかな?と感じました。

もし①の段階でビジョンが見えたら、②で留学に行ってもよいのではないかと思います。

◆それでも「留学する」なら貯金計画を

もし相談者さんがきちんと目標を見出し、「やっぱり来年4月から行きたい」と考える場合は、現実的な貯金計画を立てましょう。

マシュマロのメッセージからは、結局いくら必要なのかがわからないのですが(学費のみで42万円なの? これプラス生活費がいるの?)、いったん「42万円貯めなければならない」という言葉を信じ、計算してみましょう。

とりあえず、8月スタートで考えてみます。

来年3月までは、あと8ヵ月あります(学費などの納入期限などがある場合、もう少し短いかも? 必ず確認してください)。

42万円÷8ヵ月=5.25万円

であることから、月平均5.25万円を稼げばいいことになります。

そして、あなたが今時給1000円で働いているとします。すると、

5万2500円÷1000円=52.5時間

あなたは月52.5時間働く必要があります。

専門学生とのことなので、学校帰りに働くと、5時間くらいでしょうか? 

いったん1日5時間で考えてみましょう。すると、

52.5時間÷5時間=10.5日

これを4週で割ると、2.625日。つまり、1日5時間のバイトを、週3日やれば、コンスタントに貯まっていくことになります。

専門学校に長期休暇があれば、

・夏休み
・年末年始

の学校がない時期に、時給のいい短期バイトで、集中的・効率的に稼ぐのもいいと思います。ただしこの期間だけで42万円は貯まらないので、やはりコンスタントな収入源(アルバイト先)は必要です。でも、学校がある時期の負担を軽減できると思います。

ノートでもいいのですが、こちらからエクセルカレンダーをダウンロードできます。実際の金額を書き込みながら、ぜひ一度具体的な計算をしてみてください。そして、計画を立てた結果、やはり体調的に無理があると感じるなら、留学という選択自体を見直してみましょう。

それとは別に、(個人的な予測ですが)学業が疎かな状態でも借りられる奨学金=貸与型ではないか?と思うので、将来的な返済計画も視野に入れ、考えてみましょう。

◆情熱はお金では買えない

ここまで現実的な話をしてきましたが、最後にこちらのマシュマロをご紹介します。

私は今、韓国の大学に留学している大学3年生です。
高校2年生の時にイジメにあい、学校に行こうとすると気分が悪くなったり、クラスメイトの顔を見るとそわそわして落ち着かなかったりと、学校に行くことが怖くなりました。テストを別室で受けたり、卒業式の練習も別日に先生と一対一でしたりと、ギリギリ進級出来るくらいの登校日数を2年間続けて高校を卒業しました。
大学では新しい環境で頑張ろうと思いましたが、運悪く同じ高校から進学した人がいて、私がイジメられていたという話が広まり、いづらくなりました。そんな時に、カウンセリングの先生から「自分が過ごす場所を変えてみたらどうか」という意見をいただき、日本から離れてみようと思い、思い切って正規留学を決めました。
自分でバイトしてお金を貯め、韓国の認定大学に留学し、今は学びたいことを見つけて勉強中です。らささんに質問された方の文章を読み、境遇は違くとも他人事とは思えず私もキャスに参加したいなと思い、その前に送らせていただきました。

変化は、理屈や現実からではなく、このマシュマロの方のような覚悟、あるいは情熱や信念から生まれるものだと思います。そうあるべきだと思います。

それは、お金では買えない大切なものです。

お金や時間という手段が手に入っても、そもそもの情熱がないなら、そこから生まれるものは大したものじゃないと私は思います。だから、「行きたい」という情熱は、ぜひ大切にしてください。

ただ、情熱を無理に焚きつける必要はありません。また、それが不安をかき消すためなら尚更、一度立ち止まって冷静になるほうがいいでしょう。

そういうときでも、自分を責める必要はありません。自己嫌悪に陥る必要もありません。情熱を燃やすときに、燃やせばいいだけの話です。

あなたは情熱を失ったわけではないことを、きちんと心に留めておいてください。

Top Photo by Element5 Digital on Unsplash

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天城らさ

マシュマロのお悩みへの返答用noteです。あくまで個人の意見ですのでご了承ください。
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