ドーナツの悲劇
年末年始のお休み以降、まころ(息子・3歳)は保育所に行きたがらない。
そこへきて、インフルエンザで6日間のお休み。
連休最終日の昨日、明日から保育所に行ける旨を伝えると
「ほいくしょいやー!いかないー!」
やんな。うん、想定内。
間が悪く、おじいちゃんにも聞かれ、おばあちゃんにも尋ねられ、熱湯に放り込まれても頑なに開かない貝殻のように、まころの心が閉じているのが見てとれる。
実家が側にあることが裏目に出たやつや。
いや、ただの家族内の連携ミスか。
そんな訳で今日も彼は家にいる。
* * * * * * *
いつもはMr.高血圧な感じて我が家でいちばん朝からシャキシャキ動ける彼が、今朝は7時半を過ぎても「まだねるーーー」とゴネていたので、体調も万全ではなさそうだ。
まあ、他の理由も心当たりはある。
この男。なんせきぷく(娘・11ヶ月)へのライバル視がすごい。
年末年始の休み中、きぷくが体調不良の機嫌不良のために四六時中抱っこされ、アレコレ世話を焼かれるのを目の当たりにしているから、余計に家から離れ難くなっている様子だ。
インフルエンザ期間中は家から出られないストレスも相まって、妹イジメがいつもの5割増しだった。そんなところマシマシにせんでよろしい。
って言うか、だんだんこれいつ終わるんやろうと不安になってくる。
先輩かあちゃんに聞いてもググってみても、そういう時期はあるみたいやし仕方ないみたいやけど「いつの間にか終った」「いっときのことだった」という意見が大半を占めている印象。
うちも秋くらいからやから4・5ヶ月のことなんやけど、時間の過ぎ去るのが早く感じる育児中において、こればかりは永遠に続いているように感じられてしまう。
自分の中の気になりごととしての優先順位が、高いからやろうか。
なんとかならんものか。
* * * * * * *
まあそんなこともあるので、今日は午後から実家にきぷくを預けて、まころとのお楽しみタイム。
まだ外に出て遊ぶほど元気はなさそうやし、何しようかな…と考えて、最近まころが大好きな『バムとケロの日曜日』という絵本の中の、ドーナツ作りの場面を気に入っているので、一緒にドーナツ作りをすることに。
ふたりで粉類の重さを測り、卵と牛乳と溶かしバターをかき混ぜ、粉類と混ぜ混ぜ。
平たく伸ばして冷蔵庫で休ませ、絵本に倣ってポコンポコンと型を抜く。
油に入れてジワッと揚げて…
とまあスムーズにいったようで、粉まみれになったり、なんやら焦がしたり、油をアワアワにさせたりしつつも、なんとかドーナツ完成。
目をキラキラさせながら、穴のあいたドーナツと向かい合うまころ。
「おいしい?」
「…(うん)!」
とニヤニヤしながら無言で貪る。
「おかあちゃん、ドーナツ」
そう言うやろうと思ってた、次は穴部分のとこの丸い小さいやつにしよか。
………。
「おかあちゃん、ドーナツ」
え?まだ食べるん?夜ご飯食べられへんくなるで?
「おかあちゃん、ドーナツ!」
うーん、ほんならこれで最後な。約束やで。
………。
「おかあちゃん、ドーナツ」
いや、もうあかんって。さっき最後なって言うたやん。
「おかあちゃん、ドーナツ!」
いやいや、もうおしまい。約束は守ろう。
「おかあちゃん、ドーナツぅ!!」
うん、ドーナツな。おいしかったな。明日の朝食べようか。
「おかあちゃん、ドーナツぅうう!!!」
うん、食べたい気持ちは分かるで。おかあちゃんもまだ食べたい。でも我慢や。
「おかあちゃん、ドーナツ!ドーナツぅうううう!!!!!」
あ、え?おかあちゃんがドーナツみたいにプックリ膨らんどるってか?誰がじゃ!!
「ドーナツ!!ドーナツ!!ドーナツぅえうううう!!!!!」
「おちっこでたぁあああ!!!!!」
幼児イスの上に立ち上がり、ギャン泣きのまころの足元はびっちゃびちゃになっていた。
こういう交渉事を粘ったときの、我が家のお決まりコース。
はいはい、着替えよ。
「おかあちゃん、だっこぉおおおお!!!」
ああ、疲れた、とビーズクッションに寄りかかりながら、まころを抱っこしていると、あっという間に眠ってしまった。
胸の上ねんねはきぷくの特許なんやけど、まあ今日はいいか。
しかもノーパンサービス中なんやけど、、、まあいいか、、、?
30分程寝て、起きたまころは可愛くこう言った。
「おかあちゃん、ドーナツ♡」
おお、まだ引きずってたか。
* * * * * * *
なんかいいおかあちゃん風に仕上げたけど、ホンマは先日のくりえさんのドーナツ記事がおいしそう過ぎて、私が食べたかっただけのやつ。
あとでシナモンシュガー振ったやつも食べよう…。
揚げながらつまみ食いしまくってたの、たぶんまころにバレてたな。
ここまで読んでくれたあなたは神なのかな。