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緩めない人

なんだか今日はとてつもなくダルい。
そう思って、ひたすら布団にゴロゴロしていた。

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元々ゴロゴロするのは大好きだった。
ひとり暮らしの時は誰かとの約束さえなければ、やらなければならない持ち帰り仕事も、溜まっている掃除・洗濯なんかもそっちのけでダラついていた。

まころ(息子・2歳10ヶ月)を出産して以降、休みの日は特にだが
「(平日は保育所に行っている)まころとしっかり遊ばないと!」
「3食ご飯作らないと!」
「週に1回くらいは(夫婦どちらかが子どもの相手をしているうちに)キレイに掃除しないと!」
「布団も干さないと!」

という思考に支配されがちだった。

「ゴロゴロするなら子ども達のお昼寝タイムに!」
と思えるようになったのすら最近で、それまでは
「寝ているスキにやれることやっとかないと!」
と思っていた。

自分の休みたい、という気持ちに蓋をして。

ゴロゴロするときには「風邪気味やから」とか「お出掛けが続いて疲れてるから」とか、理由が必要やった。
そして休んでいるときに夫から「どうした?」と聞かれると、言い訳がましく説明していた気がするし、何なら逆ギレしていた気もする。

なにせ自分自身が、休むことを許せていなかったのだから。

 * * * * * * *

それはたぶん、自分の母親の面影を追っていたからなのだろう。
母は私が子どもの頃から、教師としてフルタイムで仕事をしていた。
なので休みの日にも自宅でテストの採点などの仕事もしていたし、平日出来ない家事もまとめてやっていた。
休みの日だからと言って、理由もなく母がゴロゴロしているところをあまり見たことがなかったのだ。
そして私自身も、あまりにゴロゴロダラダラしていると母に咎められていたように思う。

だからゴロゴロしないでしっかり家事育児をする母親=いい母親という思い込みが、自分の中にガッツリ埋め込まれていたのだと思う。

 * * * * * * *

それが今日は、なんだか自然とゴロゴロしていた。
起きるのも遅く、気付いた時にはしけちゃ(夫)が朝ご飯を作ってくれていた。
食べた後もゴロゴロしているうちに、台所の片付けと洗濯も終えてくれていた。
辛うじてきぷく(娘・8ヶ月)の離乳食&授乳・オムツ交換・眠いのサインには気を配っていたけれど
まころの遊ぼうのお誘いには寝転んでだったり、起き上がる元気のあるときだけ対応して、あとはTVの力を借りたり、しけちゃに任せたりしていた。
そんな私にまころは「おかあちゃん、だいじょうぶ?」と声を掛けてくれ、きぷくはいつも通りひとり遊びし、疲れたら私の胸の上に乗せてトントンするだけでコテンとお昼寝してくれた。

家族が居てもこれでもいいんだよな、むしろありがたいもんだな、とひとりしみじみしていた。

 * * * * * * *

緩めなくなっていたのは、他でもない自分が着けた足枷のせいだった。
でももう、気にする必要はない。

もっともっと、緩もう。
もっともっと、軽やかになろう。

そしてもっともっと、自分を生きよう。

ここまで読んでくれたあなたは神なのかな。