10元で開く新しい扉
『ああ、お腹すいた。』
そう思い、近くにあった食堂に飛び込む。
どこにでも食堂があり、吟味しなくても外れがないのがありがたい。
メニューを開き、目を走らせる。
同じ漢字表記といえど、想像のつくものから意表をつかれるものまで幅広く、興味本位でいろいろ試してみるのが楽しい。
『よし、今日はこれにしてみよう。』
店員さんを呼び、「西紅柿炒鶏蛋」と書かれた部分を指さす。
しばらくして、白いご飯と共にトマトと卵の炒め物が運ばれてくる。
赤と黄色、緑のコントラストが目にもおいしい。
『いただきます。…はふっ……。』
口の中にトマトのしっかりとした酸味と旨味と甘味がぶわりと広がり、ふわふわとした卵の食感がたまらない。
意外な組み合わせ、なのに、おいしい。
たまらず、ご飯も一緒にかきこむ。
毎日食べても飽きがこないバリエーションの豊富さと、するりと舌に馴染む味。
そこに、長い歴史をもつこの国の懐の深さを見ているのかもしれない。
ここまで読んでくれたあなたは神なのかな。