アニメ『宇宙よりも遠い場所』

重なりあう友情の輪

女子高生四人が南極を目指す、とだけ聞くといかにも荒唐無稽というか荒っぽいストーリーのように思えるが、そんなことはまったく気にならない青春友情物語である。毎回、毎回、「ええ話やな〜」とウルウルきてしまう。

本作の軸は二つあるだろう。縦軸は、引き継がれる物語だ。母の意志があり、それを受け取る娘:小淵沢報瀬の物語がある。横軸は、響きあう物語だ。「ここではないどこか」に接続することにより日常を変えたいと願う玉木マリがいて、彼女が他の人間を巻き込んでいく。そうしてグループが形成される。その中に、どうしても南極に行きたいと望む小淵沢報瀬がいることで、二つの軸は混ざり合い、物語を大きく展開させていく。

しかも本作では、友情は二重の形で描かれる。一つは主人公たち四人、すなわち玉木マリ、小淵沢報瀬、三宅日向、白石結月で構成されるグループとその中で交わされる友情だ。そして、もう一つ、報瀬の母親である小淵沢貴子が中心であった(おそらくそうだったのだろう)グループの友情だ。報瀬はその二つのグループの橋かけ役でもあり、またその役をこなすことで母親を感じるとることができた。もし彼女がたった一人で(つまりグループ抜きで)南極にたどり着いていたら、最終回のようには笑えなかっただろう。それは彼女自身の口からも明らかにされている。

ともあれ、そんなややこしいことは考えなくても十分面白い話である。あと、主人公四人の声優さんが「すごい」を通り越して「ずるい」くらいのラインナップである。水瀬いのりさんと花澤香菜さんだけで私は致死ダメージを受けるが、そこに井口裕香さんと早見沙織さんである。追加攻撃と追い討ちでゲージをさらに2本くらいは持っていかれる感覚だ。始終耳が幸せなアニメであった。

Originally published at honkure.net on March 31, 2018.

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倉下忠憲

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