年次レビューのやり方と結果

Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~ 2018/12/31 第429号

はじめに

はじめましての方、はじめまして。 毎度おなじみの方、ありがとうございます。

奇しくも、今年は12月31日が月曜日です。なので、今年最後のメルマガが大晦日に配信です。なんとなくキリが良くて嬉しいですね。

さて、本号ですが、毎年恒例の年末特別号として「今年一年の振り返り」をお送りします。

全体は二部のパートに分かれていて、前半は「年次の振り返り」のやり方について、後半は実際の「私の活動の振り返り」となっています。

きっと師走でみなさん忙しいでしょうから、「はじめに」はガツンと省略して、いきなり本編からお送りしましょう。一応今週のQ(キュー)だけはそっと添えておきます。

Q. 今年一年は、どんな一年でしたか?

では、いきなり本編です。

――――――――――――――――
2018/12/31 第429号の目次
――――――――――――――――

○「年次レビューの方法」
○「Googleカレンダーの振り返り」
○「Evenroteの振り返り」
○「Evernoteとほぼ日手帳」の違い
 年次レビューの実施法を紹介します。

○「2018年の活動結果」
 年次レビューの結果を報告します。

※質問、ツッコミ、要望、etc.お待ちしております。

――――――――――――――――――――――――
○「年次レビューの方法」

私の今年の振り返りを行う前に、それをどうやって実施するのかを紹介しておきます。

基本的には三つの工程を経ます。

・活動の確認
・成果の確認
・課題の確認

まず、活動の確認です。自分がこの一年間で何を行ったのかを、記録を元に振り返っていきます。人間の記憶は、基本的には当てにはなりませんが、記録のようなトリガーがあれば、それなりのことは思い出せます。

記録として有用なのは、カレンダー・手帳などの予定ツールか、日記やノートなどの記録ツールです。BlogやSNSなどへの投稿も、自分の活動を振り返るのに役立つでしょう。

そのような記録を見返しながら、この一年で自分が何を行ったのかを振り返ります。

行った活動の中には、自分の「目的」に沿ったものもあるでしょうし、そうでないものもあるでしょう。この場合の「目的」は多様に捉えてもらって構いませんが、私であれば執筆業をやっていくことや、平穏な家庭を維持していくといったものがそれに当たります。

逆に、「パズドラでランク660に達した」などは、活動ではありますが、振り返りで検討したいようなものではありません。つまり、これは「成果」ではありません。

ギチギチに定義する必要はありませんが、それでも本当にすべての活動を振り返るのは不可能なので、「成果」に的を絞って考えていきます。

■理想と現実

さて、ここで登場するのが「理想」です。こうなったらよかったのに、本当はもっとこうしたかった。そういう理想があり、かつ「成果」とずれているならば、そこには課題があることになります。

「もう少し執筆量を増やせたらよかった」
「もう少し本の販売が増えたらよかった」
「もう少しメルマガ購読者さんが増えてくれたら嬉しい」

上記は、仕事に限定していますが、それ以外の領域でも何かしらの「理想」はあるでしょうし、それが達成できていないなら「課題」もまた存在することになります。そして、その「課題」にどう取り組めばよいのかを考えるのが次のステップです。つまり、来年の「目標」の設定です。

というように、基本的に一年の振り返りというのは、次の年の目標設定とシームレスにつながっています。「振り返って、終了」というのではなく、「じゃあ、次はどうするか?」を考えるためのアプローチです。

もちろん、単に振り返るだけでも、全然OKではありますが(きっとそれでも、次の行動に影響は生まれると想像します)、「じゃあ、次はどうするか」を考えておくと、振り返りの意義みたいなものも高まっていくでしょう。

逆に、「少しでもこうしたい、こう変えたい」みたいな欲望がぜんぜんない方は、振り返りなど行わず、ただ前を見て進んでいかれるのがよろしいでしょう。この辺は、相性というか「求めているものと、そのための手段」のマッチングなので、別に必ずやらなければいけない、というものではありませんし、実行したらそれで「成功」が手に入るというわけでもありません。

あくまで、来年という一年を、今年よりは少し良くするために、あるいはそれを目指す指針を得るための作業です。それ以上でも、それ以下でもありません。この辺をあまり硬く考え過ぎると、振り返りそのものが義務的に感じられ、つらさが出てきます。そんなつらさを背負いこむくらいなら、綺麗さっぱり振り返りなどしない方が賢明でしょう。その点は、留意しておきたいところです。

というわけで、以上が振り返りの骨子でした。続いて、実際に私が行った振り返り手段を紹介してみましょう。

――――――――――――――――――――――――
○「Googleカレンダーの振り返り」

私は、二つの記録ツールで振り返りを行いました。

一つはGoogleカレンダーです。基本的に大きなイベントごとは、必ずGoogleカレンダーに登録するので(でないと絶対に忘れる自信があります)、逆に言えばGoogleカレンダーは大きなイベントの履歴としても使えます。

そこでまず、Scrapboxに「2018年の振り返り」というページを作成し、そこに1月から12月までの行を作りました。そして、Googleカレンダーを1月から見返しながら、イベントをピックアップし、Scrapboxに書き込んでいきます。

カレンダーでは、日付の情報も残っていますが、そこは気にしません。あくまで一年の概要を振り返りたいだけなので、イベントの情報は月だけをピックアップします。

また、詳細がわからないものは、キーワードだけを書いておきます。たとえば、寄稿原稿の締切日がカレンダーに載っていたとしたら、その連載の開始月を明らかにしたいところですが、残念ながらカレンダーにはそれが載っていなかったとします。が、別の場所を調べれば発見はできるので、とりあえず「○○の連載は何月から?」という記入だけをしておいて、次の月に進みます。

週次レビューなどでも同様ですが、こういうのは細部に嵌り込むと、延々と脱線が続いてしまうので、細かい調べ物は後からまとめてすることにして、まずは概要を掴まえてしまうのが肝要です。

で、それを12月まで進めたら、次はEvernoteの振り返りです。

――――――――――――――――――――――――
○「Evenroteの振り返り」

私のEvernoteには、多くの記録が集まっています。レビュー時に読み返すのに最適なツールです。

一昔前は、その役割はアナログの手帳が担っていました。ほぼ日オリジナルのときもあれば、ほぼ日カズンのときもありました。多少手間はかかるものの、やはり一年を「一冊」で振り返れるのは魅力的です。

しかし、いつからか、その役割はEvernoteに移行しました。一日一ページの手帳を模して、一日一ページのノートを作るやり方です。その習慣も長く続いてきたのですが、最近のEvernoteの低迷から、次はScrapboxにしようか、それともアナログの手帳に戻ろうかとも思案しています。

が、とりあえず、今年の記録はEvernoteに集まっています。そこで、Evernoteの振り返りです。

振り返りたいのは、一年分の記録ですから、1月1日以降に作成されたノートを見返せばよいでしょう。

Evernoteは、単純なキーワード検索だけでなく、少し高度な検索も可能です。たとえば、created:20180101 と検索すれば、created:20180101以降に作られたノートだけを抽出してくれます。また、作成日だけでなく更新日でも同じ検索ができます(その場合は、updated:20180101 とします)。

こうした検索の強さは、やはりEvernoteが優位です。Scrapboxではこうはいきません。逆に言うと、こういう検索を使わないなら、Evernoteに上がる軍配はあまりない、ということなのですが、そこは掘り下げないようにして、先に進みましょう。

※Evernoteの検索構文については以下をどうぞ
https://scrapbox.io/rashitamemo/Evernoteの検索構文

created:20180101 で検索したところ、2319個のノートが見つかりました。私が一年間に作成したノートの総数です。はっきり言って、少ないものです。

私は10年ほどEvernoteを使っており、ノートの総数は7万を超えています。ひどく単純に計算しても一年で7000ほどのノートが増えているわけで、それと比べれば、2000は貧弱な増加数と言わざるを得ません。如実に、私がEvernoteに保存するものが減っているのです。

おそらくは、Webクリップの減少が大きな要因でしょう。昔はやたらめったらクリップしていましたが、最近は単に見ただけのものはPokcetにアーカイブするようにしていて、重要なもの以外はEvenroteに保存されていません。

また、一行だけのアイデアメモを保存することも減りました。これは他のツールが出てきたことが理由ですが、掘り下げは後述します。

とりあえず、この二つが減ったせいで、私のEvernoteのノート増加数はかなり緩やかになりました。一年で2000個なら、残り三万の上限(Evernoteは10万ノートまでしか保存できません)に達するまで、15年ほど余裕があることになります。さすがに15年経てば、何かが変わっていることでしょう(Evernoteが存続していることを願いますが)。

というわけで、ノート数の振り返りだけでも、いくつかの指針を得ることはできましが、が、本題はこれからです。

今年一年で作成した2000個ほどのノートを、サラサラとスクロールしながら確認していきます。一つひとつ細かく中身をみることはしません。あくまでタイトルだけを確認し、気になるものがあったら詳細を読む、という段階的な手順を採ります。

なにせ1ノート1秒で確認しても、2000秒(約33分)かかりますし、それが10秒になれば20000秒(約333分)です。

ほぼ日手帳であれば、どうあがいても一年分の記録は365ページ以上にはなりません(手帳を二冊以上使っている場合は別ですが)。その意味で、はじめから有限化が行われています。しかし、デジタルではその有限化が非常に緩いので、まともに読み返したら、時間があっという間にパンクします。意識的に、抑えて読み進めることが必要です。

とりあえず、そうして中くらいの速度でスクロールを進め、大きなイベントがあったら、先ほどのScrapboxページに追記していきます。Googleカレンダーで詳細がわからなかったものも、Evernoteの振り返りであれば、わかることは少なくありません。

なにしろ、私のEvernoteには、自分が書いたブログ記事もすべて保存されていますし、私は大きなイベントがあるとほぼブログ記事を書くので、ここを一通りチェックすれば、一年間の活動は(プライベートを除けば)、だいたいチェックできます。

そうしたチェックを経てできあがったものが、以下のリストです。

1月
 体調不良
2月
 R-styleにて「Scrapbox企画」連載
3月
 『「目標」の研究』がKindleの月替わりセールに
 noteにて「働く人のMP戦略」マガジン開始 https://note.mu/nokiba/m/m3221b02820a1
4月
 7wrinerβ版公開
5月
 特になし
6月
 のきばトークが金曜日14:00〜に移動
 Evernote10周年
7月
 『Scrapbox情報整理術』発売
 YouTubeにScrapboxの説明動画をアップ
8月
 Scrapbox Drinkupイベント(東京)
 『Scrapbox情報整理術』電子書籍版発売
 『Scrapbox情報整理術』出版記念セミナー
 Scrapboxの公開プロジェクト「考えて、生み出す技術」始動
 StudyWalkerにて連載開始
 シゴタノ!でScrapbox入門連載開始
9月
 ごりゅご.com Castに出演 https://anchor.fm/goryugocom/episodes/Rashita-e259pr
 『Evernote豆技50選』がPrime Readingの対象に(6ヶ月間)
10月
 Scrapbox Drinkup(京都)に参加
11月
 メガネ新調
 『知的生活の設計』出版記念イベント参加
12月
 特になし

これを元に一年の振り返りを進めていきたいところですが、先にTipsの話を終わらせておきましょう。

――――――――――――――――――――――――
○「Evernoteとほぼ日手帳」の違い

今回、一年分のノートを振り返ったとき、当然のように時系列の古い順(一月一日〜)に見返していったのですが、スタート直後に「2018年三大テーマ」というノートに遭遇しました。今年の冒頭に作った、私の一年間の目指すところを記したノートです。

きっとそのときの私は意気揚々とそのノートを作ったはずですが、12月の私はそのノートの存在をすっかり忘れていました。覚えていれば、一年の振り返り時には確実にそのノートからチェックしていたはずですが、存在自体を忘却していたのではそれも叶いません。

というか、12月の私どころか、2月の私ですらすっかり忘れていた可能性が高いです。なぜなら、そのノートを開いたのは、今年になって(おそらく)二度目だからです。つまり、最初に作成して以来、こうしてノートを振り返るときまで、まったく開かれていませんでした(そういうノートを、「開かずのノート」と名付けることにしましょう)。

思い返してみると、ほぼ日手帳の頃は、こんなことはありませんでした。三大テーマは毎年設定していて、手帳の最初の方のページに記入し、インデックス用の付箋を付けて、いつでも参照できるようにしていました。実際、毎日見返すことはなくても、折に触れて目に入ることはありましたし、月次レビューでもちょいちょいチェックしていました。

が、Evernoteでは、まったくそんなことは起きなかったのです。これを由々しき事態と考えるかは、価値観次第ですが、デジタルノートが抱える一つの課題ではあるでしょう。

また、ほぼ日手帳では、12月31日のデイリーページの次からノートページが始まります(そうなっている手帳は多いでしょう)。

で、私は一月一日に、そのノートページの冒頭に「今年一年について」というフリーライティングを書いていました。抱負というほどたいしたものではありませんが、その年をどう過ごしていこうかと考え、書き記す雑文です。

普通に手帳を使っていると、一年の最後の日に、自然とその「今年一年について」のページが目に入ることになります。そのページが目に入ると、自然と二つの思考が促されます。一つは、「今年一年はどうだったのか」で、もう一つは「来年について」です。

「今年一年はどうだったのか」は、「今年一年について」の下に書き、「来年について」は、来年の手帳のまったく同じ場所に書き込みます。情報が実にスムーズに流れています。

どちらの場合も、「位置」が固定されるアナログツールだからこそ生じる情報との遭遇と言えるかもしれません。

仮にEvernoteで同じことをやろうとしたら、作成日順でノートをソートし、古いものが上に来るようにしなければなりません。その上で、365日分のデイリーページをあらかじめ作っておき、それぞれの作成日をそれぞれのノートが担当する日付に合わせる必要があります(10月3日のノートは、10月3日に作成されたようにメタ情報を編集しておく、ということ)。

こうしておけば手帳のようにページを並べることができますし、しかも作成日をいじることで、任意の「場所」にノートを挿入することもできます。たとえば、一年の最初に「今年一年について」というノートを作り、その作成日を12月31日にしておけば、手帳とまったく同じように12月31日のデイリーページの次にそのノートを配置できます。

ただし、このやり方をする場合、そのノートブックを開くたびに、常に1月1日のページからスクロールして当日のページを見つけなければなりません(※)。1月くらいならよいでしょうが、5月とかになってくると、スクロール量がかなり増え、面倒になること請け合いです。そこで、手帳と同じようにしおり紐や付箋のような仕組みが必要となります。
※Evernoteでは、ノートブックを移動するたびにスクロール位置が最初に戻されるので「作業中」に移動したくなくなる、という問題を抱えています。

仕組みとして候補に挙がるのは、リマインダーです。

Evernote for Macでは、ノートにリマインダーをセットすると、通常のノートリストとは別の「リマインダー」リストに登録されるので、そこから即時に(≒0スクロールで)アクセス可能となります。

ただし、そのリマインダーは、しおり紐と同じようには移動できません。しおり紐なら、ページをめくって、次のページに挟み込めばそれでOKですが、リマインダーの場合は、翌日のページを見つけ、そのページにリマインドを設定し、前日のページからリマインドを削除しなければなりません。これはかなりの手間です。
※ただし、ノートのタイトルは日付で定型なのでAppleScriptなどで自動化はできそうです。

同様の手間は、ショートカットを使った場合にも生じます。サイドバーにノートを「置いておける」ショートカット機能に、それぞれの日のデイリーページを設定すれば、キーアクション一発で当日のノートにアクセスできますが、毎日「新規登録&削除」のツーアクションが必要となります。

ここで、ちょっとしたハックの出番です。

それぞれの日付のページにリマインドやショートカットを設定するのではなく、たとえば「---------------------」というタイトルの、中身が空っぽのノートを作り、そのノートに対してリマインドやショートカットを設定するのです。

そうすれば、しおり紐の移動は、そのノートの作成日の変更というワンアクションだけで済むようになります。さらに、複数のしおり紐の運用も可能です。

※サンプル画面
https://scrapbox.io/rashitamemo/Evernoteでしおり紐

ここまで準備を整えれば、Evernoteを紙の手帳とほとんど同じように運用していくことは可能でしょう。しかし、デジタルツール的な良さが失われている側面もあり、「ここまでするんだったら、紙の手帳でいいんじゃね?」という気がしないでもありません。

逆に、デジタルツール的な良さを最大限発揮させるように運用すると、「偶然的な情報との邂逅」の可能性が小さくなります。たとえば、私がイベントに関するノート全てに「イベント」というタグを付けておき、それだけを抽出すれば、検索結果は2000よりもはるかに小さいものとなったでしょう。それで、効率的な振り返りは行えますが、おそらくその場合、すっかり存在を忘れていた「2018年三大テーマ」ノートの邂逅はなくなっていたでしょう。

なかなかバランスが難しいところです。

付け加えておけば、「2018年三大テーマ」「2018年について」「2018年の振り返り」「2019年の三大テーマ」といったノートを作った場合、その保存先となるノートブックを決めるのが実は難しいものです。「2018年」「2019年」というノートブックに分けるのか、それとも「セルフマネジメント」というノートブックに統一するのか。

どのようなルールを作るにせよ、そのルールを覚えていないと、後からその情報を使うのは困難になります。そして、こうした情報はたいてい一年に数回しか利用しないので、ルールを習慣化するのはかなり難しいと言わざるを得ません。

ここまで書いてきて、「やっぱり紙の手帳を使った方がいいじゃないのか?」という気持ちがプンプン高まってきましたが、とりあえず来年どうするのかはまだ決めていません。上に書いたような、大がかりなEvernoteシステムを構築するかもしれませんし、案外Scrapboxに移行しているかもしれません。その辺の決着は、また来年に書いてみるとしましょう。

というわけで、レビュー行為については一通り書けたので、いよいよ実際の私のレビュー内容について書いていきます。

――――――――――――――――――――――――― 

この続きをみるには

この続き:5,093文字
記事を購入する

年次レビューのやり方と結果

倉下忠憲

180円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

(>_<)/
4

倉下忠憲

倉下忠憲のWRM 「読む・書く・考えるの探求」

本の読み方、文章の書き方、何かについての考え方。その実際例を、舞台裏を含めてお見せしています。本を読むのが好きな人、文章を書くのが好きな人、何かを考えるのが好きな人が楽しめるコンテンツが盛りだくさんです。毎週月曜日配信。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。