なんでもではなくなったEvernote/テーマ・レビュー2019/思考の癖に気をつける/恐れずにこの世界と向き合うすべ

 Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~ 2019/01/21 第342号


はじめに

はじめましての方、はじめまして。 毎度おなじみの方、ありがとうございます。

現状、ゲラ原稿が返ってくるのを待っている段階です。さすがに「メッチャ暇」というほどではありませんが、メインプロジェクトがぽっかり一つ空いているので、その間に「かーそる第三号」の制作を進めています。

頂いた原稿をBCCKSのエディタに流し込み、レイアウト上の調整を行って、皆で最終確認してから出版という流れで、今は「流し込み」の工程を実施中です。

これまで二冊を作ったので、基本的な手順は理解していますが、さすがに前号の作成からかなりの期間が空いているので、ポツポツ忘れていることも出てきています。その辺は、前号のファイルなどを見返して進めています。

おそらく、その辺の手順をまとめて、マニュアルを作っておくのが良いのでしょう。そうすれば、こうして期間が空いても同一の手順をきちんと繰り返せますし、他の人にお願いすることになってもスムーズに進められるでしょう。

その辺は、進めながらおいおい考えていきたいところです(と言いながら、スルーすることが多いので注意)。

とりあえず、完成&出版の目標は2019年2月です。が、一ヶ月くらいは遅れるかもしれませんのであしからず。

追伸:第三号も、きっと面白いですよ。

〜〜〜Youtubeの禁止動画〜〜〜

YouTubeのガイドラインが更新されて、危なっかしい動画の投稿が禁止されたようです。

◇危険なチャレンジやいたずら動画を禁止に。YouTubeのガイドラインが改訂 - Engadget 日本版
https://japanese.engadget.com/2019/01/17/youtube/

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 今回の改訂では、「危険なチャレンジと悪ふざけ」に関するポリシーを更新。子供に「深刻な精神的苦痛」を引き起こしたり、「重大な身体的危害」があると思わせたりする行動を含む、危険または有害なすべてのチャレンジやいたずら動画を禁止することが明記されています。
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この辺りの話については、以前から「やがて悲しきインターネット」タグでも書いていますし、どこかでもう一度まとめたいと思うのですが、基本的にはこれまでが自由すぎたのでしょう。

市場経済的視点が入ってくることで、必然的にそれを整備するためのルールも必要となります。

もちろん、そこには言論の自由という微妙な問題も関わってくるわけですが、だからといってそれを避けて「なんでもOK」としてしまうのは、知性の怠惰であるような気もします。正面から向き合っていく必要がある問題なのでしょう。

でもって、もう一つ、Youtubeというプラットフォームがあるからこそ、こうした禁止のガイドラインが機能する、という別の側面についても考えたいところです。

個々の発信者が自分のWebサイトで動画を発信しているなら、こうしたガイドラインは実際的な意味を持たないわけですが、Youtubeなら、運営側が動画を削除したりアカウントを削除したりといった、実際的な処置をとれます。それは良いことでもあるでしょうし、やっぱり問題もあるでしょう。

そのような側面も含めて、「Webで情報発信すること」について改めて考察してみたいものです。

〜〜〜ノートブック分冊問題〜〜〜

今年の冒頭に「読書手帳」を紹介しました。読書の記録を書き留めるための手帳です。

現状、その手帳には、本当に少しずつではありますが、書き込みを増やしています。悪い感触はありません。しかし、不具合はあります。しかも、簡単に予想できた不具合です。

読書手帳には、比較的サイズの大きいノートを選択したのですが、それとは別に私は何かについて考えるためのノートも作っています。今はモレスキンのラージがその役割を担っています。

すると、持ち歩くノートが二つとなり、しかもそれぞれに少し大きいので、なかなか厄介なのです。

こうなると、欲望は効率化に向きます。「これがら、一冊だったら……」

しかし、両方混ぜてしまうと、ページ消費の速度があがり、たぶん一年は持たなくなってしまうでしょう。となると、なんとかして二冊を一冊のような形で持ち歩けるノートカバーを……、というところでモレスキンの新商品を見かけました。

◇モレスキンファンにぜひ注目してほしい新作ノートブック3冊 | Moleskinerie
http://moleskinerie.jp/2019/01/190110.html

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 これまで1日1ページのデイリーダイアリーが一番分厚いモレスキンでしたが、さらにその上をいく「400ページ」のノートブックが登場しました。
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なんと400ページです。これなら「読書手帳」と「アイデアノート」を一緒にしても、一年耐えられそうな予感があります。でもって、それは「知的生産手帳」へと昇華されることでしょう。

しかしながら、まだ「読書手帳」にどんなフォーマットが必要なのかは明確ではないので、その辺を明らかにするために、二冊の手帳を持ち歩くことにします。

〜〜〜Scrapboxが分かれていること〜〜〜

引き続き、分かれている話。

現状私個人のScrapboxは、大きく三つあって、そのうち物書きの仕事として活躍しているのが、

・ワークスペース用(private)
・アイデアメモ用(public)

の二つです。

効率を考えれば、この二つのプロジェクトは混ざっていた方が良い気はするのですが、ワークスペース用では書籍の原稿などまだ多くの人には見せられないものも保存しているので、パブリックに開いているメモとは相性が悪く、現状ではこの二つは分離しています。

で、この状態は足りない状態というか、欠落状態だとずっと考えていたのですが、案外分かれていることにもメリットがあるのではないかと、つい最近思い至りました。

というのも、アイデアメモ用のプロジェクトを触っていると、時間がものすごい勢いで吸い取られていきます。書き留めたメモはたくさんあり、整理したいメモも大量にあります。そうしたものが、これから原稿を書こうと思っているときに目に入ってしまったら?

あまり良い結果を引き出さない予感があります。

なので、原稿を書く場所と、アイデアメモを育てる場所は、とりあえず切り分けておくことにします。

〜〜〜ダンスと読書〜〜〜

4月から、大きい方の姪っ子が中学生になるということで、クリスマス+お年玉+誕生日をかねて図書カードをプレゼントしました。彼女は読書が好きなようで、そういう若い人に図書カードを送るというのは、なかなか嬉しい気持ちがするものです。

今どきの中学一年生にとって、5000円の図書カードがどれほどの高価さかはわかりませんが、私が中学生だった頃は、きっと大喜びしていたと思います。

さて、彼女は読書だけでなく、ダンスも好きなようえ、レッスンにも通っています。その事実について思いを馳せると、少し奇妙な感覚がしてきます。おそらく、私の中に「本を読む人間は体を動かすことをあまり好まず、ずっと家の中で本を読んでいるのが好きなのだ」、という先入観があるからでしょう。言い換えれば、読書好き=インドア派という思い込みがあるのです。

もちろん、事実はまったく違っています。アウトドア派でも、本を読むことが好きな人はいっぱいいます。体を動かすのが好きな人が、部屋に籠もって読書をすることも珍しくありません。あまりに単純な構図が、私の頭の中に潜んでいたのでしょう。

そもそも、世界的なバレリーナが読書好きというなら違和感がないのに、たとえばHipHopダンサーが読書好きなら違和感があるのだとしたら、それは偏見以外の何ものでもありません。しかも、非常に愚かしい偏見です。

おそらく私の頭の中には、まだまだ私が気がついていないそうした偏見がたくさん巣を張っているのでしょう。でもって、それは私が気がついていないがゆえに、世界との関わり合いの中でしか発見できないのだと思います。

本を読むことも、その関わり合いの一つですが、それだけではないでしょう。

〜〜〜気になる本〜〜〜

最近見つけた本を紹介します。

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 時間と共に変貌する言葉たち。最終形態はどこにあるのか。鴎外、漱石、一葉、鏡花、啄木、谷崎、賢治、芥川、川端、多喜二、太宰…。多くの作家たちが言葉と格闘し、その文言は時に生き物のように変貌していった。その軌跡から「小説」を探る。
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 選挙結果からパートナー選びまで。脳は“顔ぢから”に操られている。認知科学、脳科学、心理学、コンピューターサイエンスによる最前線。
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 たった5つの冴えたやり方 私たちは物事を判断するときに、知らず知らずのうちに思考の罠に陥ってしまっている。 どのようにすれば物事を正しく判断できるのだろうか。 社会心理学の第一人者による意思決定の教科書。
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― 「答え」より「問い」が書いてある雑誌が読みたい
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さて、今週のQ(キュー)です。正解のない単なる問いかけなので、頭のウォーミングアップ代わりにでも考えてみてください。

Q. いま5000円の図書カードをゲットしたら、何を買いますか?

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週も「考える」コンテンツをお楽しみくださいませ。

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2019/01/21 第342号の目次
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○「なんでもではなくなったEvernote」 #Re:ゼロからはじめるEvernote生活
 一周回ったEvernoteの使い方について。

○「テーマ・レビュー2019」 #物書きエッセイ
 今年、どんな本を書いていくのかを考えました。

○「思考の癖に気をつける」#エッセイ
 自分の思考が自分に与える影響って大切です。

○「恐れずにこの世界と向き合うすべ」 #今週の一冊
 Rashitaの本棚から一冊紹介するコーナー。今回は『Factfulness』を取り上げます。

※質問、ツッコミ、要望、etc.お待ちしております。

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○「なんでもではなくなったEvernote」 #Re:ゼロからはじめるEvernote生活

以前からご紹介していますが、今年のEvernoteの運用は、「作成日順」ソートを中心としています。

以下のようなデイリーノートが365枚並んでおり、

1月18日
1月17日
1月16日
1月15日

それぞれの日に作成したノートは、デイリーノートとデイリーノートの間に追加されます。

1月18日
1月17日
1月16日に作成したノートA
1月16日
1月15日に作成したノートB
1月15日に作成したノートA
1月15日

作成日のメタ情報は、作成した瞬間に固定され、意図的にいじらない限りは、そのまま固定され続けます。どれだけノートに編集を加えても、ノートの並び順が変わることはありません。

このことによって、一つの変化が生まれました。ノートの修正がやりやすくなったのです。

たとえば、「無題ノート」問題があります。たいていは写真が一枚だけ入ったノートで、FastEver 2で撮影→送信を済ませたノートのタイトルがそうなっています。

「無題ノート」のままでは中身がわからないので、ぜひともタイトルを修正したいところなのですが、ソートが「更新日順」となっていると、その操作でノートが上にあがってしまいます。これが、微妙に嫌なときがあるのです。

ノートを作成したその当日に、タイトルを修正するなら大きな問題はありません。しかし、少し忙しくして3日とか4日くらい「無題ノート」の修正ができず、昼食を撮影しただけのノートが複数枚溜まってくると、微妙なのです。そうしたノートのタイトルを修正して、上にあげてしまうと「邪魔」に感じられてしまうのです。

この感覚があるおかげで、ノートタイトルを変更せずにそのまま放置しておくことが度々ありました。ここに若干の問題があります。

更新日順のソートにおいて、ノートリストの上部は、「新規作成されたノート」か「つい最近タッチしたノート」が滞在するスペースとなります。そして、「超」整理法(≒押し出しファイリング)では、そのノートたちが重要であるという前提があります。あるいは、重要というよりも、「次回以降使われる可能性が高い」と言い換えた方がいいかもしれません。

どちらにせよ、そうしたものが上に集まっているから、効率的に情報を見つけられる環境ができるわけです。

しかし、四日前の食事の写真などは、再利用の可能性は著しく低いもので、そうしたものがリストの上部にきてしまと、これは純然たるノイズでしかありません。だから、更新したくなくなるのです。

でもって、これは「無題ノート」だけに限りません。

ノートの本文でちょっと気になる誤字などがあった場合でも、それを修正するとノートリストの上部に移動してしまうので、「だったら、まあいいか」と放置されてしまうのです。

■不十分なタグ

幸いなことに、Evernote for Macでは、タグの操作は「更新日時」に影響を与えません。たとえば、「未処理」タグがついてあるノートからそのタグを剥奪し、「処理済み」というタグを加えても、ソート順に変化はないのです。だから、「更新日順」ソートのときは、タグを積極的に使っていました。

しかしそれでは、十分な処理とは言えません。タイトルや本文をいじれないのは、二速以上にシフトチェンジすることを禁止されているフェラーリに乗っているようなものです。存分に暴れ回ることができない不足感がずっと付きまといます。

「作成日順」のソートは、その不足感をあっさりと解消しました。現状は、どれだけノートに編集を加えても、順番が動くことはありません。そもそもノートリストの上部に特別な意味がなくなっているので、どこに位置しているのかは大して意味がなくなっている、というのが本当のところでしょう。

なので現状は、閲覧したノートに気になることがあれば、積極的に編集を加えるようにしています(している、というかそうなっています)。もちろん、合わせてタグも使っています。

そういう作業をしていると、徐々にノートの情報が整備されていく感覚が味わえます。まるで、Scrapboxでリファクタリングしているかのように。

■なんでも、は、なんにも

Evernoteは当初から、「なんでも情報を保存できるツール」を謳っていました。

デジタルのWebクリッパーから、スキャナーとの連携によるアナログ(画像)の読み込み。小さな一行メモから、本格的なドキュメントファイルまで。あらゆるものを保存できることに疑いはありません。Evernoteは「なんでもノート」です。

しかし、「なんでも」は、危うさも含んでいます。

私「今日の晩ご飯何がいい?」
妻「なんでも」
私「じゃあ、麻婆豆腐?」
妻「麻婆豆腐はちょっと」
私(なんでも、じゃないじゃん……)

上はよくある話ですが、「なんでも」は実体を直視するのを避けて、お茶を濁すような側面があります。端的に言えば、大雑把なのです。

Evenroteは、たしかに「なんでも」保存できるツールです。しかし、「なんでも」であるがゆえに、それが何なのかがはっきりしないまま、タスクとログとアイデアというまったく性質の違う情報を保存し、しかも単一のアプローチで片付けさせようとする状況が続いてきました。

情報の性質が違えば、扱い方も異なります、そのための環境も違ってきます。しかし、Evernoteには、それを許容する機能がありません。特にEvernote for Macでは、あるノートブックは更新日順で、別のノートブックは作成日順にする、といったことができないのです(※)。
※これができていれば、また違う運用方法もありえたでしょう。

だから、ログ向きに使い方をチューンすればアイデアが扱いづらくなり、アイデアを扱うようにチューンすれば、今度はログが扱いにくくなる、といったことが起きます。「なんでも」できるツールは、中途半端になりがちなのです。

しかし、WorkFlowyやDynalistが登場し、さらにScrapboxが現れ、いくつかの役割をEvernoteから剥ぎ取っていきました。

それは少し悲しい事態なのかもしれませんが、代わりにEvernoteは「なんでも」の重荷を背負いこむ必要性から解放されました。言い換えれば、Evernoteの役割がこれまでよりもはっきりしやすくなりました。当然、それに適した使い方もやりやすくなったわけです。

昨今のEvernoteは、ユーザー離れも起こしており、どうしても先行きが心配になってきますが、10年という年月が経ち、ユーザーの経験値も貯まり、さらに他のツールが出てきたことで、ようやく改めてEvernoteの使い方について考えられるようになってきたのではないかとも感じます。

なので本稿では「#Re:ゼロからはじめるEvernote生活」というタグを立ててみました。またしばらくEvernoteについて書いていくと思いますが、その際は「Evernote単体」の話ではなく、他のツールとの緩やかな連携にあるEvernoteの使い方の話になると思います。

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倉下忠憲

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倉下忠憲

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