愛される端末とブック・フェロモン #burningthepage

本は死なない』の第五章「競争の始まり」より。

だが、アマゾンを「愛する」のは実は難しい。

アマゾンという企業を信頼することはできるかもしれない。でも、たとえばアップルと同じように愛するのは難しい。著者は面白い指摘をしています。そして、私も同感です。

たしかに、アマゾンという企業にはそうしたブランド・フェロモンはありません。前面に出てどうこうというよりも、インフラ的な立ち位置だからでしょうか。あるいはカンバンとして掲げるビジョンが地味なせいなのかもしれません。

理由はどうあれ、今のところアマゾンは、信頼され・よく利用される企業にもかかわらず、ユーザーから愛されることはあまりなさそうです。

そのことを踏まえれば、アマゾンから発売されるスマートフォンは、きっとiPhoneのように流行的消費される可能性は低いでしょう。つまり、大ヒットはしない、ということです。

一部のユーザー(2割ぐらい?)を除けば、多くの人は本当の意味での細かき機能の差など気にしません。ブランドイメージが、判断の綱を握っているのです。

機能は、そのブランドイメージを支えるものであって、機能そのものがジャッジメントの要因になっている事例は想像しているよりもずっと少ないでしょう。メーカーは、そういうことにさっさと気付くのが賢明です。

著者はそこから話を広げ、「開封の儀」などに触れながら、熱狂的なユーザーに愛されるような、魅力的な電子書籍端末の登場を期待しています。そんなものが登場しうるのかはわかりませんが、もし登場したらキャズムを越えることは十分考えられるでしょう。

もちろんそうした端末の鍵を握っているのは、デザインです。広義のデザイン。

たぶんこの話はフラクタルで、一冊の電子書籍についても同じことが言えるでしょう。表紙を含めたデザインは、単にストア上でのアイキャッチ力を高めるだけでなく、突き抜けた存在になるためのハシゴでもあるのです。

いかにブック・フェロモンを出すか。

そういうこともパブリッシャーとしては考える必要があるのでしょう。

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倉下忠憲

『本は死なない』を読む

ジェイソン・マーコスキーの『本は死なない』の感想を綴っていくマガジン。
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