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突然10万字の原稿を書くことになったら/断片的な思いつきの扱い方:ScrapboxとEvernote/新しい朝の執筆習慣を始める/自作コマンドランチャー

Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~ 2019/07/29 第459号

はじめに

はじめましての方、はじめまして。 毎度おなじみの方、ありがとうございます。

ぜんぜん気がついていなかったのですが、『アリスの物語』がKindle Unlimitedの対象になっております。

もしかしたらずっと前から対象だったのかもしれませんし、つい最近対象になったのかもしれませんが、とりあえず、Kindle Unlimitedを利用されている方なら、もれなく(そりゃそうだ)無料で読めますので、よろしければどうぞ。

〜〜〜『真ん中の歩き方』〜〜〜

最近『Think Clearly』という本を読んでいるのですが、そこに出てきた話が、みごとに『真ん中の歩き方』に呼応する話だったので、せっかくなので「はじめに」をScrapboxに公開しておきました。

こういう感じで、ジャンルやカテゴリを気にすることなく気軽に文章をアップできるのがScrapboxの魅力でもありますね。

同じものを「note」にもアップしようかと画策中です。

〜〜〜タイムライン・マネジメント〜〜〜

たとえば10人くらいの人間を集めて、その人たちに同じタイムラインを見せることで、その情報環境の精神的影響を観察する、みたいなことはできるでしょう。たとえば、タイムラインが毎日楽しそうに過ごしている人の投稿ばかりで溢れかえっていたら、自己効用感が落ちる、とかなんとか、そういったことです。

が、問題は、現実はそんな風には動いていない点にあります。なにせ、タイムラインは自分で作るものです。「同じタイムライン」を摂取するなどということは、(麻雀の天和くらいの確率で)ありえません。

たとえば、私はタイムラインを見ていると次々に読みたい本が増えていきますが、それは私が本を読む人や編集者や出版社のアカウントをフォローしているからです。で、なぜフォローしているかというと、本が好きだからですね。いっそ、「次々と読みたい本を増やしたいから」とすら言えるかもしれません。

つまり、自分の欲望が、きちんと反映されているわけです。

そう考えると、「毎日楽しそうに過ごしている人」ばかりをフォローしている、というのもある傾向が反映されているのだと推測できます。タイムラインは、ただその傾向を増長させているだけかもしれません。

「Twitterが〜〜」とか「SNSが〜〜」などという前に、少し考えることはありそうです。

〜〜〜カフェをめぐる起伏〜〜〜

週に一度くらいのペースで通っていたカフェがあったのですが、法事やらなんやらでしばらく行けていませんでした。で、先日ひさびさに足を運んだら「閉店」の文字が……。

比較的落ち着いた感じのカフェで、集中したいときなどによく利用していたので残念です。仕方なく、とぼとぼ新しいカフェを散策し、見つけたところにえいやと入りました。

そのお店が、お昼だというのに、お客さんはほとんどおらず、しかも机が非常に大きいお店だったのです。作業するのにピッタリの空間ですね。

というわけで、閉店の落ち込みと新店発見の喜びで、精神的にはプラスマイナスゼロくらいなのですが、問題は昼間っからお客さんがほとんどいないそのカフェも、いずれ閉店するのではないか、という心配が消えないところですね……。

〜〜〜嬉しい感想〜〜〜

次のツイートを発見して、すごく嬉しい気持ちになりました。

長く読まれること。たぶん、私が一番大切にしている価値です。爆発的ながらも瞬間的でしかない人気ではなく、なんとなく長く読んでもらえること。

慌ただしく動くインターネット時代だからこそ、大切な価値だと思います。

〜〜〜毎日見るノート〜〜〜

最近、首の凝りがひどいので、Evernoteのノートに「首の凝りに注意」と書き込みました。こういうときに、毎日見るノートがあると便利です。最低でも一日一回、「そうだ、首の凝りに注意しないとな」と思い出せるようになります。

一応、Evernoteのデスクトップ・アプリケーションはずっと開きっぱなしであり、毎日触ってはいるのですが、必ず閲覧するノートは多くありません。日記代わりに使っているデイリーノートは、当然毎日新しいものを目にすることになるので、固定したい情報を扱うには向いていないのです。

その点、「しおり紐ノート」は、現状復帰させたいときに必ず表示させることになります。たとえば、あるタグで検索した結果から、「元の場所」に戻りたいときに、command + 4 を押して、ショートカット欄の上から四番目に置いてあるこの「しおり紐ノート」を表示させるのです。すると、デイリーノートがいっぱい詰まったinbox(という名前がついているけども、ちっともinboxではないノートブック)の今日の日付あたりにスクロールが移動します。

この移動の操作のたびに、しおり紐ノートが表示され、首凝り注意の文言が私の目に入ることになります。強力なリマインダーです。

他のツールでも、たぶん似たような「場所」は設定できるでしょう。もし「肝に銘じたい」ことがあるなら、──肝に銘じる代わりに──「毎日見るノートに銘じておく」のが良いかと思います。

その際のポイントは、項目はできれば一つまで、多くても三つまでに絞ることです。たくさん書き込むと、だんだん読み飛ばすようになってしまうので。

〜〜〜献本かどうか〜〜〜

新しい本の情報をゲットする一番の場所は、書店の新刊コーナーですが、それ以外だとTwitterやFacebookが活躍します。誰かが「これ面白い」と言及していた本をチェックするわけです。

もちろん、なんでもよい・誰でもよい、というわけではなく、私と波長の合いそうな人のツイートだったら、という条件がつくわけですが、逆に言えば、波長の合いそうな人であれば、その本が献本された本なのかどうかは、ほとんど(というかまったく)気になりません。

「贈られた本だから、ちょっとは褒めないとバイアス」がかかっている懸念ももちろんあるわけですが、それを含めてのその人の評価でしょう。あとは、それを受け入れるかどうかです。

つまり、どういう動機で褒めているのかはこちらかはわからないのだからそれは気にせずに、その人が「面白い」と言った本をチェックし、それが自分と合うならよし、合わないものが多いなら、以降はその人の評価はスルーするようにする、というシンプルなスタンスなわけです。

このスタンスを取っていると、もともと自分と波長が合う人なのに、頼まれごとで本を褒めてばかりいる人というのは、徐々に私のアンテナからは外れていくことになります。

もちろん、そうすると結構な人がアンテナから外れてしまうわけですが、この世界には星の数ほど本がありますので、それくらいでまったく問題ありません。ほんとに。

〜〜〜スマートではない支払い〜〜〜

最近流行りのバーコード決済にはまったく興味がないのですが、コンビニBlogのネタになるかなと思い、ファミリマートのファミペイを使ってみました。

クレジットカードにも、銀行口座にも紐付ける必要がなく、現金で先にチャージしてその金額だけが利用可能になる、という安心設計です。

で、せっかくチャージしたのでファミリマートの支払いで使っているのですが、スマートフォンを取り出して、スマートに決済しても、発行された紙のレシートを受け取り、それを財布にしまう動作が発生するので、ぜんぜんスマートではありません。財布を出すなら、現金で支払っているのとそう代わりない感じです。

一応ファミペイのアプリには、電子レシート機能もあるので、レシートをもらう必要はぜんぜんないのですが、日常的にレシートをもらっている癖と、コンビニ時代に「レシートはお客様のものなのだから、必ず渡すこと。勝手に捨てちゃダメ」とスタッフさんに口を酸っぱくして言っていた呪いの残滓が自分の中に残っているので、レシートをスルーすることがなかなかできません。

スマートな決済は、私にはまだまだ遠い未来のようです。

〜〜〜フードコートで感じる夏休みみ〜〜〜

普段は、喫茶店やらファストフード店で作業をしているのですが、大型ショッピングモールのフードコートで作業をすることもあります。食事もいろいろ選べますし、机がたくさんあるので、「ちょっと長居しすぎかな。お店の邪魔になっていないかな」などと気兼ねしなくていいのも特徴です。

が、ある日の昼間フードコートに入ってみて愕然としました。あらゆる席が埋まっているのです。学生さん、学生さん、学生さん。そうです。夏休みが到来したのです。

ほとんどカレンダーと関係ない生活を送っているのですが、こういうときばかりは「夏休み」み(※)を感じます。
※「ありがたみ」とか「嬉しみ」とかの仲間です。

〜〜〜Q〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。

Q. 何か毎日見るノート(やそれに類するもの)はありますか。それはどのように利用されていますか。

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週も「考える」コンテンツをお楽しみくださいませ。

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2019/07/29 第359号の目次
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○「突然10万字の原稿を書くことになったら」 #これから本を書く人への手紙2
 突然はじまった、短期集中連載です。

○「断片的な思いつきの扱い方:ScrapboxとEvernote」 #知的生産の技術

○「新しい朝の執筆習慣を始める」 #物書きエッセイ

○「自作コマンドランチャー」 #インクリメンタルな環境改善  

※質問、ツッコミ、要望、etc.お待ちしております。

○「突然10万字の原稿を書くことになったら」 #これから本を書く人への手紙2

こんにちは。突然10万字の原稿を書かなければいけなくなったみたいですね。心中お察しします。きっと希望に燃える気持ちがあると共に、未知なる状況への不安もある。そんなミックスジュースのような気持ちではないでしょうか。

それでも、そのタスクを引き受けたのですから、何かしら思うところがあったのでしょう。断る選択があったにもかかわらず、それを引き受けた。それはあなたの選択です。だからこそ、いくらでも自分の判断で捨て去れます。そういう自由があなたにはあります。とは言え、最初にそれを選んだ気持ちも忘れないようにしておきたいところです。

さて、きっとあなたは絶望に近い気持ちを抱いていることでしょう。特に、原稿に着手し始めたら、そういう気持ちが強くなると想像します。写真で大きな壁を見せられて「これを作ってください」と言われて頷いたら、現場に行ったら万里の長城だった、みたいな感じです。さすがに、途方に暮れますよね。

でも、大丈夫です。心配ありません。あなたはきっと、その10万字の原稿を埋められます。それだけは不安になる必要はありません。

極端なことを言えば、でたらめにキーボードをタイプしても、10万字を埋めるくらいならできるのです。ランダムの文字列を出力するプログラムを10万回ループさせても構いません。それでも、ボルヘスの図書館に格納される本にはなるでしょう。

もちろん、そんなものが提出物として認められるわけはありません。これはあくまで極端な話です。とは言え、人間が読める程度の文章を10万字書くくらいなら、たいして難しいことではありません。私たちが日常的にTwitterやらなんやらで紡いでいる文字数を想像してください。それを雑多に集めれば、「文章の塊」は完成します。これが一方の極地です。

反対の極地には、緻密に計算された、シェイクスピアもびっくりの原稿があります。最高の完成度を持つ原稿。高みの中の高み。そういう原稿です。

私たちが書く原稿は、この間に位置してさえすればいいのです。もちろん、できるだけ高い方が望ましいのですが、最高点でなければ原稿ではない、とは言えません。私たちは不完全な存在であり、その私たちが紡ぐ原稿もまた不完全であることから逃れられません。だから、最初からあまり気負いすぎないようにしておきましょう。

もし気負いすぎると、まったく原稿は進まなくなります。そして、その進まないこと自体が、さらなる進捗の阻害を呼び込みます。何を言っているのかはわからないと思いますが、それについては追々説明していきます。今は、気負いすぎないことを肝に銘じておいてください。

理想を持つことは大切ですが、現実を見つめることはもっと大切です。というよりも、この二つが同時に回っているとき、望ましい出来映えが生まれてきます。

理想を持ちつつも、現実的な一歩を踏み出せること。

それが、大きな壁に一つひとつ石を埋め込んでいく作業です。それが、本を書くということです。

たぶん気になることがいくつもあると思います。私にそれがすべて答えられるとは限りませんが、またこうしてお手紙を書いてみたいと思います。

(つづく)

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