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第一回:カラムーチョから始まるコラボ企画

コンビニで昼ご飯を探していたら、サラダチキンが目に入りました。

真っ赤なサラダチキン。

湖池屋の「カラムーチョ」とのコラボ商品です。個人的にカラムーチョは大好きなので、若干食指が動いたのですが、それ以上に気になったのは、最近のカラムーチョが頻繁にカップ麺や他のお菓子とコラボしていたことです。ほんの少し、仕事を選ばないことで有名な某マスコットキャラが頭をよぎります。

正直に言うと、5%くらいは「カラムーチョ、必死じゃん」と思いました。何もそんなにいろいろなところに顔を出さなくても、と感じた矢先に視点がぐるりと動き始めました。

別にカラムーチョだけの話ではありません。ここ最近、コンビニで見かける商品にこういうコラボ企画を多く見かけます。お菓子同士のコラボ、お菓子とカップ麺、お菓子とカウンターフーズ、エトセトラ、エトセトラ……。似たような動きはもちろん昔からありましたが、最近はそれがかなり顕著になっています。

食べ物だけではありません。スマートフォンで遊べるソーシャルゲームの多くでも、コラボ企画が頻発しています。

つい最近でも、「パズル&ドラゴンズ」(以下パズドラ)で「鋼の錬金術師コラボ」(以下ハガレン)が実施されており、ハガレン好きの私としては、手持ちの魔法石をすべて突っ込んでエド(兄さん)を狙うもののまったく当たらず、なんとかアル(弟くん)だけゲットした経験は、記憶に新しいところです。

それぞれのキャラクターやブランドは、単体でも決して弱いものではないでしょう。カラムーチョなど、安定のBP商品でコンビニやスーパーの棚で見かけないことはまずありませんし、パズドラやハガレンもそれ自身で立派なIP (知的財産) だと言えます。

しかし、それらが積極的にコラボし、またそれが成果を上げていることは、私の魔法石がすっからかんになっていることからもうかがえます。

基本的に、そうした企画では、客層の拡大が意図されているのでしょう。

ハガレンが好きな人が、パズドラに興味を持つ(そして魔法石をたくさん買う)。パズドラをやっている人がハガレンに興味を持つ(そして実写映画を観に行ったり、単行本を読んだりする)。

ポイントは、ノンカスタマーにリーチできていることです。言い換えれば、これまでの客層の範囲にいなかった人たちに届いていることです。

かのドラッカーは、顧客であっておかしくないにもかかわらず、顧客になっていない人たちをノンカスタマーと呼び、それに注目する重要性を説きました。

 あらゆる組織にとって、もっとも重要な情報は、顧客ではなくノンカスタマについてのものである。変化が起こるのは、ノンカスタマの世界においてである。
__『ネクスト・ソサエティ』 (P・F・ドラッカー)

すでにパズドラをやっている人に向けて、「パズドラって面白いよ(だからもっと魔法石使おうよ)」と言うことにももちろん効果はあるでしょうが、そこには限界もあります。だからこそ、これまでまったく触ったことのない人にアピールしたいわけですが、それは簡単ではありません。

特にネット時代では、自分の興味関心だけで構成された情報フィルターが働き、それ以外のものが目に入りにくくなっている状況が余計にそれを難しくします。

その点、コラボ企画は、その情報フィルターをすり抜けてくれます。Aという対象に興味を持つ人に向けて、まったく別の切り口であるBについての情報を届けられるようになるのです。うまく機能すれば、AとBの両方に益をもたらしてくれるでしょう。

大手の有名な商品やブランドが、こうしたコラボ企画に取り組んでいることを考えれば、あんまり大手でも有名でもない商品やブランドも、何か近しいことをやった方がいいのではないか、そうすれば「客層」を広げられるのではないかと感じ、以下のようなツイートをしました。

そうしたら、2時間後くらいに以下のようなリプライがあり、

今こうしてこの企画が始まってしまったわけです

鷹野さんの原稿に続く)



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