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MP連載第十八回:なにはともあれリスト作り

前回佐々木さんが書かれてた「セルフマネジメントなんて、ほとんど幻想」なのかどうかはともかく、私たちは自分が思っている以上に自己制御できないことはたしかです。少なくとも、決意しただけでそれが実現できるほどの自己制御力はありません。

コップを取ろうと手を伸ばすことは簡単にできますが、自分の理想とするゴルフのスイングしようとすれば、相当な練習が必要でしょう。どちらも同じ「体を動かすこと」であっても、簡単なこととそうでないことがあるわけです。

そして多くのセルフマネジメントで人が求めるものは、パーフェクトなスイングのようなものです。つまり、簡単ではないわけです。

前提ある自己制御

もちろんそこで、「どうせ自己制御などできないのだから、自由放蕩に生きればいい」という開き直りもあることでしょうが、それはそれで現実的困難が襲いかかってきますし、むしろストレスフルな状況に追い込まれる可能性も少なくありません(社会は自分以外の多数の人間によって構成されています)。そこで、たとえわずかであっても自己制御を手にしていくことを考えたいところです。

言い換えれば、人間は自己制御が下手であるということを前提においた自己制御法です。当然そこでは、自己以外の力が求められるでしょう。それがリストです。

閑話

本当は、前段は「それが記録です」と書きたいところでした。少なくとも、私の頭の中に最初に浮かんだ文章はそうなっていました。しかし、記録という全体的な対象を元に話を進めるほど頭の中にインデックスはできあがっていないので、まずは記録の一分野を形成するリストから話を進めていきましょう。ボトムアップ・アプローチです。

リストの力

まず焦点を当てたいのは、MPの節約です。

MPを節約するために、まっさきに実行したいのは何か。それはリストを作ることです。一般的な用語ではTodoリスト、やや専門的な言い方をすればタスクリスト。それを作ることが、簡単ながらも効能高いやり方です。

簡単に定義すれば、「これからやろうとすることを箇条書きでまとめたもの」ですが、この応用範囲はすばらしく広いもので、さまざまなタスク管理・仕事術で登場しています。以下の本でも「リスト」だけで章を一つ作りました。

ここでその詳細に立ち入ることはしませんが、とりあえず「今日やること」を一枚のリストに書き込むだけで、MPの節約は実現できます。

MPを節約すること

まずリストを作れば、これからやることを覚えておくことも、強く思い出す必要もなくなります。

もちろん、大切なことはリストなど作らなくても覚えておけるとは思いますが、覚えておくことにも脳の力は使われていることは、ぜひとも覚えておきたいところです。

また、そのリストに本当に「今日やること」が記載されているならば、「これは今日やることだったっけ?」と思い悩み、判断する必要もなくなります。これも、小さいながらも立派なMPの節約です。

MPを使うこと

それだけではありません。MPを使う上でもリストは役立ちます。

具体的には、リストから行動を選択することで、衝動的な実行が避けられます。言い換えれば、行動の選択にMPを使えるようになります。

朝一まっさきに「やりたい」と感じたことが、実際にやるべきこととは限りません。人間の緊急性と重要性の判断は適切ではないので──マンモス狩猟時代の名残なのか緊急性が重要性に置き換わります──、衝動的な判断に頼り切りだと、重要なものが実行される担保が皆無となります。

つまり、タスクリストはシステム2を発揮させるための装置でもあるわけです。

さいごに

もちろん上記はあまりにも単純化した話であり、現実はこのようにスマートには流れていかないでしょう。

リストがあるからといって、想起にMPが使われることが皆無になるわけでもなく、システム2が起動して適切な選択ができるようになることを絶対に担保するわけでもありません。

そもそもの前提を思い出しましょう。人間は自己制御が下手なのです。ちょこっとツールを持ち出したからといって、物事が順風満帆、ハッピー100%に収まることはありません。それはおとぎ話です。

しかし、そうはいっても、私たちはどこかから始める必要があります。そしてリスト作りはその第一歩に最適な行動と言えます。

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