見出し画像

MP連載第十四回:MP困窮の状況を打開するのに巨大MPを使わない

前回の佐々木さんの記事を受けて、三点だけ簡潔に補足します。

・MPは底上げできてもその量は小さい
・同じ行為では総容量アップか使用量減少かは見分けが付きにくい
・底上げできないにしても汎用的なMP使用はあるかも

まず、MPを体力的なものだと捉えれば、その底上げは容易ではないことになります。持ち上げられるバーベルを+5kgにしたり、短距離走のタイムを1秒縮めるのはすごく大変です。MPも簡単に倍になったりはしません。よって、この指針は効果があるにしても、中長期的なスパンが必要です。

次に、トレーニングしたとして、そのトレーニングによってMPの総量がアップしたのか、それともその行為あたりのMP使用量が減ったのかは、それだけではわかりません。トレーニング以外の行動において変化が生じたときに、ようやくはっきりします。この点は知能の汎用性の議論と同じです。

また、上記と関係することですが、仮にMPの底上げが不可能だとしても、セルフコントロールに関する汎用的なMPの使い方があるのではないかと想像できます。たとえば、「自分をある状態に留めておく」ための意志的努力(MPで言えば魔法)があるとすれば、それは単一の行動だけでなく、セルフコントロール全般に利いてくるでしょう。その意志的努力が減少するならば、あたかもMPが底上げされたように見えるかもしれません。

とは言え、本連載ではMPの実体を定義しないままで話を進めているので、上記の議論がきちんと決着することはありません。まあ、そういう考え方があるのか、くらいで受け止めていただければ幸いです。

自然状態からの脱出

さて、寄り道感がハンパないので、そろそろ本題に話を戻しましょう。

MP戦略として次の四つの指針を掲げました。

・MPを底上げする
・MPの無駄遣いを避ける
・適切にMPを使えるようにする
・MPを回復させる手段を持つ

このうち、二つ目がやはり重要です。私たちのMPが有限であり、自然状態でそれを無駄遣いするようにできているならば、意識的な工夫が必要でしょう。リヴァイアサンを作り上げるのです。

あまりにライフハック的な

とは言え、あまりにも大げさな行動であれば、そのこと自身に大きなMPが必要となり、結局それは取りかかれないので、永遠にスタートが切れません。メビウスの環の中を永久にうろつくことになります。

そこで利いてくるのが、いわゆるライフハック的なアプローチです。

ライフハック的なテクニックは、ときに(笑)付きで語られる簡易・簡素なものが多いのですが、むしろだからこそ取りかかれる、始められるというメリットを持ちます。

MP困窮状態であるのに、魔王のメラゾーマを唱えようとしても当然挫折するでしょう。マッチを擦って火を起こす、くらいのアプローチが現実的であり、また続けやすいものです。

ハイリスクなアプローチは避けたい

もちろん、大きな仕掛けを最初にドンっと持ってくるやり方もあるでしょう。自分のそれまでの習慣や行動をいっさい断ち切って、(なんかすごい雰囲気のする)「〜〜システム」を三日くらいのセミナーで習得するやり方です。

こうしたアプローチは、言ってしまえば、貧乏な人が借金をして事業を始めるようなものです。うまくいけば大金が転がり込んできて、借金も綺麗さっぱり返せますが、そうでなければ状況はさらに悪化します。

セルフコントロールの文脈に引き戻せば、新しい仕組みを導入してうまくいかないと、それまでうまくいっていた様々なものまで機能不全になり、さらにセルフコントロールがうまくいかなくなります。

で、そうしたときはますますMPが圧迫されてしまい、システム2が働かず、「超〜〜システム」のようなセミナーにもう一度参加することにもなりかねません。

そうしたリスクを取るのが好きで好きで仕方がない、というならともかく、そうでないならば、非常に簡単そうに思えて、実際に簡単な小さな行動からスタートを切るのがよいでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?