「琉球犬」の話。

羽田~石垣島のフライトで乗ったJTAの機内誌で琉球犬という在来種がいると知って、たいへん興味深く記事を読んだ。

気になって東京に戻ってもう少し深堀して調べてみると、イヌは日本人の祖先とも共通点があって面白いことがわかった。
琉球犬の祖先は東アジアから日本に渡ってきた「縄文犬」なのだという。これはおそらく黒潮に乗ってヒト(日本人の祖先)が辿り着いたのと同じタイミングなのではなかろうか。その後、縄文犬は琉球から北海道まで南北くまなく分布していった、と考えられる。

それからかなりの時間を経て、今度は朝鮮半島を経由してまたしてもヒトと一緒にイヌも渡来してきた。
これを「弥生犬」という。
そうして弥生犬と縄文犬はどんどん交わっていき、いまのイヌに繋がっているのだという。きっと土佐犬とか秋田犬とかの和犬のルーツも、たどればそこに帰結するはずだ。

けれども、海で隔たれた北海道と琉球は例外で、独自のイヌの進化があった。今は稀少となった北海道のアイヌ犬と、琉球の琉球犬には類似した縄文犬の遺伝子構成が見られるという。
いうなればガラパゴス犬ということになろうか。

これはなんともドラマチックな話だ。
日本人のルーツを論ずると「縄文人」と「弥生人」の二系統に行き着くけれど、その傍ではイヌも連綿と同様の系譜を紡いできたと考えられるからだ。そもそもイヌにも縄文・弥生の系統があること自体、知らなかった。

では日本人のルーツはどこに帰結するのだろうか。
やはりイヌと同じく、琉球人とアイヌ人は縄文人を祖とし、本土にいる日本人は縄文人と弥生人の交配種なのだろうか?  答えは「否」で、当然ながらそんなに単純な事情ではない。日本人の起源にはさまざまな説があって、北方・半島経由・南方などヒトの流入は複雑を極めているようで明確な解を導き出すには難しい(もちろんイヌも単純ではないが)。

まさかイヌを見て日本人の来処に思いを馳せるとは、考えてもなかった。
子供の頃、北海道の実家ではムックといイヌを飼っていた。雑種だが、アイヌ犬とスピッツあたりの混血で、毛がふさふさした可愛い白い雌イヌだった。彼女のDNAにも遠い昔の南洋の国の記憶が眠っていたのかもしれない。

大人になった今ではイヌにはあまり興味を抱くことはなかったが、こんど街で犬を見たら、ささやかな共感と親しみを持って接してみたいと思った。

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日の戯れ、 話の戯れ。

日々あれこれ頭の中でうつろう関心事や思考整理などを、エッセイ・コラム形式でとりとめなく備忘録のように綴ります。
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