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“ペット”になるか“男”になるか


「働かざるもの食うべからず」

という言葉があるように「義務を果たす=権利を得る」という風潮が昔から(正確にはいつからでしょうね?)日本にはあります。

そもそもそれが間違いのもと。
生まれたときから誰でも持っているのが「人権」なんです。
男も女も、大人も子供も、健常者も障害者も、お年寄りも、外国の人も、異性愛者も同性愛者も。

そこを勘違いしているからこそ差別がはじまる、と個人的には考えています。


ニュースキャスター安藤優子さんが、書籍を出版されます。
今から四十年ほど前、現在よりもはるかに男社会だった報道の世界で、女性ジャーナリストの草分け的存在として第一線で戦ってきた安藤優子さんだからこそ、見える景色と、書ける言葉。
その紹介と、本を出すに至った背景についてのインタビュー記事(東京新聞web)
素晴らしい内容なので、ご紹介したいと思いました


-----<上記サイト抜粋>------

社会学のアプローチでは「認識」という言葉を使っているのですが、簡単に言えば女性に注がれている目線というか視線、「女は三歩下がって」「女は黙ってにっこり笑ってやることをやっていればいい」という認識は果たしてどこからきたのか。

 研究し始めたら、自民党の女性認識に行き当たりました。それは必然なんです。戦後の政権政党としてこれだけ長期にわたって日本の政治を牽引してくれば、自民党が持っている政治指向とか価値観がそのまま社会に反映されていくのは事の道理。
 強調したかったのは、女性への認識は、ほんわりといつのまにか自然発生的に日本社会に植え付けられたものではなくて、よくよく研究してみると、自民党の政党戦略として、戦後一度も見直されることなく、常に、戦略的に、再生産されてきた。このことを私たちは知るべきです。これがこの本に託した大きな願いです。

自民党批判ではなくて、なぜ私たちはこのような価値観とか視線に常にさらされ、戦いながら、仕事をしたり、家庭での立ち位置を決められたり、育児介護を一手に引き受けてきたのか。無償の過剰労働を当たり前として強いられてきたことをなぜ美徳としてきたのか、そこへの回答を一つ、示したかったのです。

(中略)

人権意識とは何かというと、男性でも女性でも性的少数者でもどんな生き方をしていても、その人が個人として認められる権利。それを「人権」と私は呼んでいます。その人権意識が欠落しているからああいう発言(※「同性婚によって社会が変わる」という岸田総理の発言)になったのではないでしょうか。

選択的夫婦別姓の問題も、国連では人権問題なのに、日本にその意識が希薄です。「イエが壊れる」とか「社会が壊れる」とかという問題ではないのに、根本的な誤解をしているわけです。そこをごちゃごちゃにしているということが今回露見しました。政策で多様性を重んじようとか、誰もが生きやすい社会とか言っているにもかかわらず、「生きやすい社会=誰もが働ける社会」となっている。

 そうではなくて、誰もが自分らしくいることを認めてもらえるのが人権ですから、そこを間違ってほしくない。個人の人権、生き方を尊重してほしい。母親になって、妻になって初めて一人前の女だというのはおかしいでしょう。そうならないと社会保障につながれないなんて。1人の人間が個として尊重されれば家庭だってもちろんうまくいくはずだし個が尊重されない家庭は呪縛以外の何物でもない。

(中略)

 「いき過ぎた個人主義」という言葉があるように、自民のみならず社会全体の意識として、「個の尊重」と「個人主義」をすごく混同している。個を尊重することを、個人主義=ワガママ、と捉えるのです。そうではなくて、個人の自由を尊重することが個の尊重と私はとらえている。わがままややりたい放題と「自由」をはき違えてはならないと思います。もうちょっとそこは、成熟した議論をさせてほしいと思います。

-----<記事抜粋おわり>------



先日も、とある女性経営者の「うちみたいな中小企業は、妊娠、出産の可能性がある若い女性は最初から雇用しない」という発言が炎上していました。
あれも、女性の妊娠&出産を「女個人のワガママ」と捉えているからこそ出てくる発言です。より問題なのは、そういうマインドが、労働者側にも半ば当然のように受け止められる現状です。日本の女性差別は未だ深く内在しているんだな、と感じました。

例えば“職場の既婚女性が妊娠したので、時短勤務ののち産休を取る”というときに
「これだから若い女は困る。人数も少ないのに、職場の同僚として迷惑なんだよな」と考える人がいたとして……
同じ職場で、若い男性が“親が突然、倒れて介護が必要になったので時短勤務、状況によっては退社も”となったとき、同じように「これだから若い男は困る」って思うでしょうか?むしろ「気の毒だな。でも親孝行で感心」と感じるんじゃないですかね?
さらに、ひどい場合には「彼に嫁がいたら、親の介護やってもらえたのにね」とまで考えるかもしれない。

インタビューでは、そのマインドを作ったのは、他でもない自民党なのだ。と指摘しています。
また、男社会の職場で居場所を作るために、働く女性は無意識のうちに、しばしば「ペット化または同化」する、と書かれていた部分に深く頷きました。安藤優子さん自身もそうやって報道の現場で居場所を作ってきた、とのこと。
上記の経営者女性は、まさに「(女性性を排除し男性に)同化」した方なのではないか。
noteにもいま現在、働く女性がたくさんいますが、みなさん大なり小なり思い当たると思います。私もそうでした。

インタビュー後編はこちらです↓


政治ネタは、noterさんにはウケが悪いかな、とも、正直思うんですが……
でも「政治(=生活)」「人権」について考えることが『何となく難しい、めんどくさい』っていう雰囲気がある、今の空気こそ、政権与党が意図的に作り出したものなのかもと、そして私のような中高年世代はまんまと洗脳されちゃってるんじゃないかと、最近は考えているので、それに抵抗しなきゃ!という気持ちです。

作家の灰谷健次郎さんの小説「兎の目」のなかに、こういう一節がありました。
心に刻んでいます。

「人間は抵抗、つまりレジスタンスが大切ですよ、みなさん。人間が美しくあるために抵抗の精神をわすれてはなりません」



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