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いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -17- #ppslgr

口から鼻腔へとカレースパイスの香りが吹き抜け、舌の上ではカレー特有の旨味が躍っている。食事の時間の幸福というのは重要な物だ、特に戦場下では食事の良し悪しは戦士のパフォーマンスを上下させる。

「とはいえ、二人程度じゃ持ち歩ける食材も限られているしとっとと中枢まで到達しないとならんな」

しかもあれだけ戦闘を繰り広げればその分カロリーは消費する。どう転んでも失った分のカロリーは回収しておかないと戦闘能力は維持できないだろう。つまりこの山盛りのカレーは生死を分かつ必要な要素と言う訳で決して余分な荷ではない。

「にしてもよー、お前全然動揺しないよな。王子達前にしてヨ」
「世の中何が起こってもおかしくないからな、意外と。そりゃ別キャラの分身出すヤツがいてもいいだろ」

特に害はないどころか散々助けてもらったんだし、と付け加えてスプーンに山とよそったカレーを頬張る。口いっぱいに噛み締めたスパイスの刺激を味わい咀嚼すると会話を再開した。

「それに前例が思い当たらない訳でもない」
「おいおい、俺みたいなヤツが他にもいるって冗談きついぜ。で、どんな前例?」
「例えばだ、ブッダの大悟の時は魔王マーラが妨害してきて、悟りに至ったあとはブラフマー神が教えを大衆に説くようにさとしたと言われてる」
「へ?それってブッダがそうってことか?」
「そうだ、まあ推論だけどな。とはいえ大昔、2600年以上前の事だから当時は本当にほいほい魔王も神も出てきたのかもしれない」

もっともどっちも現代でも出てこなくもない、という続きの言葉については胸にしまっておきもう一口カレーを喰らう。一方でブッダと同類扱いされて心底複雑な表情のままカレーを口に運ぶA・K。

「それにイマジナリィ持ちはA・Kだけじゃなくて確かA・ZとかT・Aもそうだったはずだし、そんな事で退いたりしないって今更」
「なんつーか、ありがとよ、うん」

視線をカレーに戻して食事に専念するA・Kにならって自分も食事を続行する。今の所コーン生物の奇襲の気配はないが、だからこそ食える時に食っておかなければならない。そして食った後は休養が必要だ。寝不足はありとあらゆる良い仕事の敵だからである。寝不足でくたばったなど笑い話にもならない。

―――――

暗い、睡眠から目を覚ました俺の第一の感想はそれであった。
昨晩、イマジナリィの存在であるがゆえに睡眠も食事も不要なエルフの王子が、引き続き見張りをかって出てくれた。その事に感謝しながら睡眠に入った俺は原因のわからない振動に目を覚ましたという訳だ。

すぐさまライトを手に取り状況を改めると、明かりの先でお手上げという感じに爽やかに肩をすくめる王子と目があった。

「やられたよR・V、どうやら彼らは随分と知恵が回るようだ」
「フムン、そういう事か」

彼の釈明にライトを出口の方へと差し向ける。案の定そこは巨大なツル玉でふさがれていた。

「王子の感知できる領域外から相手がこの玉だかを撃ち出してきて、こっちが対抗するまえに一息でこの穴を塞いでしまった、で合ってるか?」
「その通りだ、いや面目ない」
「相手が一枚上手だっただけだ、気にしないで欲しい。それにこちらにも対抗手段はあるしな」

さて、いよいよ油断ならない相手だとわかった知性コーン群にどう対抗したものか。

【いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -17-終わり:その-18-へ続く

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