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いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -12- #ppslgr

うごめく樹海、という物を目にしたら人間はどのような反応を取るべきだろうか。コーンで出来たゴーレムを破ってから数十分程度、密林を突き進んだ俺達が目撃した第三の新たなる植生は、まるで生き物の体内の様にありとあらゆる植物が這いずりはこびる奇怪の海だ。

もちろん一面にはあの色とりどりのトウモロコシが鈴なりになり、ツルがうごめくたびに揺さぶられて異物をあざ笑うかの如く揺れている。

「Oh……ジーザス。R・V、そろそろ俺発狂していい?」
「してもいいが、その場合は撤退せざるを得ないな」
「オーケー、もうちっと頑張る」

度重なる正気を削っていく事態に心底辟易した様子のA・Kをなだめながらも、奇怪という奇怪を煮詰めてちりばめたかの様な未知の樹海を観察する。

地面については歩けないという程ツルや草に覆われている訳ではない。ある程度の足の踏み場はあるがはこびるつる草が絡みついてくれば一瞬で拘束されてしまう危険性は否定できない。

既に空は異形の樹林の伸ばす枝葉に覆われ、わずかに日光が差し込むばかりとなっていた。それでも王子が度々高枝に登っては目指す覇王トウモロコシへと近づいている事を確認してくれているため、堂々巡りに陥っている訳ではない。

「あの巨大トウモロコシに近づく程異様な植生へと移り変わっていく訳か……」
「より防衛能力の高い環境になっている、そういう事だろうか?」
「そう思う。第一域は外部へのカモフラージュ、第二域は第三域との緩衝地帯、そしてこの第三域は本格的に防衛機構として用意されているんじゃなかろうか」

調査前段階での航空写真では密度の濃い樹林に遮られてこの様な違いが生じている事は判別できなかったが、やはり実際に歩いてみなければわからない物はあるという事だ。

「それにしても君は冷静だな。私が言うのもなんだがこの状況ではA・Kの反応の方が正常だろう、まるで君の心臓は鋼鉄で出来てるかのようだ」
「まっさか、単に普通の一般人よりほんの少し多くうろんスカムイベントに直面しているだけさ。だがまあ、鋼の心臓、Man of Steelという評価は悪くないね」

心臓に毛が生えているとか言われるよりは、という続きは飲み込んでツル触手うごめく第三域へと足を踏み込んでみる。もちろん絡みついてくればいつでも切断できる様身構えた上でだ。

だが地面に這うツルは、こちらに絡みつくどころかまるで潮が引くように樹海の奥地へと後退していく。落ち着きのない人間の様に身動ぎをやめない木々は、こちらの様子をうかがうかの如くそれまでの振舞を改める事はなかった。

「王子、引いていったつる草は一か所に集まっていないか?」
「音から察するに、そのようだ。もっともどんどん奥地に進んでいっている」
「わかった、ともあれ慎重に進もう」

ここまで植生に応じた大型の敵生体が存在したことを考えると、この異形の森にも守護者とでもいうべき存在が同様にいる可能性が高い。

「せめて調査隊の行方が確認できればいいんだが……望み薄だな」

これほどの危険性をもった空間では生き残るのもままならないだろう。当然ながら二の足を踏む事のないようにしなければならない。

【いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -12-終わり:その-13-へ続く

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