見出し画像

夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -48- #ppslgr

世界の在り様がまた変わる。
今度は焼却者を中心とした真球型の空間が展開されたかと思えば、その内部を取り囲む表面には種々様々な砲口と思しき筒が顔を覗かせた。

「掴まって!」

陸上走行では回避困難と見たソロモンは、咄嗟にシャンティカに対しアームを掴んでは宙へと飛翔する。本のタッチの差で表面砲台から次々と金属弾、レーザー、レールキャノン、ビーム砲と言った不統一な一撃が花火大会のそれにも似て撃ち出されていく。

「チィッ!」

こちらはこちらで呑気に僚機の様子を眺めてたわけではなく、巨大な塔めいた敵機の図体を活用して射線の盾になるように周遊回避を行う。
流石に自分の機体を透かして砲撃出来るほど器用ではないのか、俺に対してはまるで蚊でも追い払うかの様に五本の腕を振りまわして妨害を試みてきた。

「さかしい真似を!」
「戦い慣れしてないからそうやって派手さばかり気にした武装を採用しちまうのさ!」

これほどの頻繫な現実改変を行う以上、相応の機器が必要となる。
この焼却者とやらの見た目はただのこけおどしではなく、能力を発揮するのに必要なサイズという事でもあるはずだ。

「M・K!何か手立てはあるか!」
「もちろんあるとも!でももう少し注意を引き付けてくれるかな!」
「任されて!」

こっちは余裕たっぷりには振舞っている物の、純粋な状況としては不利ではある。何せ相手は三千世界のありとあらゆる存在を武器として活用できる訳で、戦い慣れていないとはいえダラダラと戦い続ければこちらが物量に擂り潰される事になるだろう。

眼前に迫った赤の星を負う腕を、竜種大剣の一撃で横薙ぎに割って地に叩き落せばそのまま胴にあたる塔部にすっ飛び切っ先を叩き込む。

やはり羽虫を叩き潰さんとはたかれるも、推進器を全開にして剣を突き入れたままに焼却者の胴部を深々と切裂きながら回避!切断面からバラバラと電子基板が砕けて舞う!

「それ以上はさせん!」

首謀者の一喝と共に、ヤツの背後より陽炎が実像を結ぶかの如く無数の軍勢が呼び出される。召喚されたるは、甲虫をずんぐりとした人型にした5Mほどの機動兵器群。異形の甲虫軍隊は一斉に飛び立つと迷うことなくこちら三機へと群がってくる!

「やはりそれなりに厄介だな!」

腕部に内蔵された機銃より弾丸を掃射する甲虫兵器をいなしながら、宙を舞って注意をこちらに引きつければ掌底よりたなびき湾曲する蒼光のレーザーを放って掃討!被弾した甲虫兵器は次々と爆破を伴って消し飛ぶ!

「おお!」

ホーミングレーザーの雨を潜り抜けて眼前に迫った一機、その頭部を掴めばスイングから焼却者の頭部、地球を模した星へと投げつける!着弾と同時に一瞬世界全体にノイズが走った!

「やはりそのたまっころがコントロールユニットか、そうとわかればきれいさっぱり両断してやる!」
「させんと言ったぞ!」

再度残った四本の手で印を組む焼却者!またも世界全体が万華鏡の様に移り変わる!

【夢に舞うは胡蝶、現に横たわるは蚕蛾 -48-:終わり:その-49-へ続く

第一話はこちらからどうぞ

まとめマガジンはこちらからどうぞ

弊アカウントゥーの投稿はほぼ毎日朝7時夕17時の二回更新!
主にロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

#小説 #パルプスリンガーズ #スーパーロボット #毎日更新

ドネートは基本おれのせいかつに使われる。 生計以上のドネートはほかのパルプ・スリンガーにドネートされたり恵まれぬ人々に寄付したりする、つもりだ。 amazonのドネートまどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL