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『幼なじみのオカちゃん』vol.25

僕とオカちゃんは
なんとも言えない関係性になっている。
いや そう思っていたのは僕だけかもしれない。この年の夏はほとんどをオカちゃんの家で過ごした。
もしかしたらこれは、幼い頃にやった
夫婦ごっこの延長なのかも。

人生の計画もなく
なんとかなると思っていた僕だけど
やりたいことが何となく見えてきた。
そう、クリエイターだ。
一口にクリエイターといっても 色んな職種がある。

僕はこの時 編集や映像制作に関わりたくて
都内をうろつくようになった。
もし、受かれば 都内へ引っ越す しかもほとんど地方とか局に泊まっているらしい。

それは覚悟していた。
帰宅してオカちゃんに話す。
すると 驚いた顔で
『私も行く』
と言い始めた。

「むりだよほとんど家に帰れないし 何かあっても未成年の俺には責任をとれないし 方法も分からない」

『わかった』と言い放ち ドアを思い切り閉められた。
「そっちは海外に行くくせに」
と呟き 自宅へ向かう。

まただ またこのモヤモヤだ。
何度目だろう 何度こんな気持ちになっただろう。向こうも モヤモヤしているのだろうか。
きっとこれは
現実を受け止めなければいけないモヤモヤと
悩んでもどうしようもないのに気になるモヤモヤだ。

その日の夜 徹夜でゲームをした。
一時モヤモヤを忘れるために。

『幼なじみのオカちゃん』vol.25終
著者:れい
vol.26へ続く