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「意味の深みへ」を読んで

新公連の「こころざし合宿」でご一緒した藤沢 烈 さんが一時期強烈に傾倒したという井筒俊彦の本を少しずつ読み始めています。

「意味の深みへ」

老荘や易経、イスラム経などの思想の根底を流れる深層意識を考察し、言葉になりにくいその意識(「言語アラヤ識」)を丁寧かつ縦横無尽に論じた一冊でした。
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私は老子の「道(タオ)」の意味をあまり理解できていませんでした。老子を手にとって30年。ようやく謎が解け始めました。今この本を読めたことに感謝です。

(ここから脱線します)
言葉とは、不思議なものだと思います。

表面的な言葉の意味はどんどん変わっていきます。概念も変わっていきます。ソーシャルセクターでも、この10年間に「インパクト投資」「コレクティブ・インパクト」「SDGs」など様々な概念が生まれて広まってきました。

その根底に流れる意識は、人間が社会を意図的に進化させることができるという明るい自信だったように思います。また同時に、それをやらないと「やばい」という危機意識が、国境を越えて共有されてきた10年間だったとも思います。

一方でソーシャルセクターには世紀を超えて、「奉仕」という言葉と概念がありました。これは、「社会が変わる」という結果がどうであれ、人のために尽くすことそのものが価値あることだという考え方です。日本ではクリスチャンの活動において「奉仕」が体現されていることが多いように思います。ヒンズー教でも、結果については「放擲(ほうてき)する」こだわらず神への捧げものにする」という考え方があります。

過去数年間を見ると、この「奉仕」をしてきた人たちから、「インパクト」を求める人たちに対して、違和感が表明されるシーンもありました。

私たちは日本でどのような概念を生み出すべきでしょうか。災害に耐えつつ先進高齢社会に進化しようと苦闘しているこの日本で、心の底に共有している概念は何でしょうか。そしてそれをどのような言葉にして、私たちは広めるべきでしょうか。どのような行動をとることで、歴史にその言葉を刻んでいくべきでしょうか。

そんなことを考えながら、この「意味の深みへ」を読みました。

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