【学振Tips】土台作り

わたしは、2023年度のDC1に採用されました。
その時に気をつけたこと、気をつければよかったことを書いてみます。

具体的な内容を考える前に、どのような目的で、どのような心持ちで申請書を書けば良いのか明確にしていきます。

質問に答えることで、自分の立場を明確にしていきます。
例として、わたしの回答を書いています。人によって異なります。


① 申請書を書く目的を考える

ここでは、自分が申請書を書く目的を明確にします。

Q. 申請書を書く目的は?

私の答え. 学振DC1を獲得する。

※ 学振、さきがけ etc. 具体的なグラント名を挙げること。個別の対応が必要。
※ 研究を理解してもらうことが目的ではない。それは手段。あくまで目的は、グラントを獲得すること、それだけです。


② グラントの特性を考える

どのようなことをアピールすべきなのかを考えます。
「〇〇という資質を持った人が欲しいな〜」と思われているのに、一生懸命「△△ができます!! 」とアピールしても無駄です。

Q. どんなことが審査項目となっているのか?

答え. 

  • 研究計画の着想及びオリジナリティ

  • 研究者としての資質
    学振HPより

もう少し深ぼる。

  • 研究計画の着想及びオリジナリティが良いとは?

    • まだ誰もやっていない、新しい
      → どう新しいのかを記載

    • 良いところに焦点を当てたな!と思わせる

    • 問題解決に一気に近づきそうな研究
      → 着想の良さを記載

  • 研究者としての資質が良いとは?

    • 日本・世界の発展に貢献する

    • 社会問題を見ている(自分の興味だけではない)
      → 社会問題の解決にどう貢献するのかを書く

    • 途中で諦めない

    • 新しいことに挑戦する

    • 自己管理能力がある
      → 行動習慣・性格としての資質も書く

    • 世界中に向けて研究を発信する
      → 国際学会・国際ジャーナルで業績が既にある or これから作る(作れる見込みはある?)

※ 具体的に何を書くのか、自分はなんと言えるのかは、今決めてもあとで決めても良いです。
※ ここでは、審査員がどんなことを書いて欲しいのかをざっくり把握する。


Q. ざっくり、どんな研究者、どんな研究を(審査員も自分も)求めているのか?

私の答え. 心理言語学の分野で、世界を代表する研究者になる。

※ 公式に載っている情報に関わらず、自分で想像してみましょう。
※ 自分が審査員だったとして、どんな研究、どんな研究者を採用したいと思うでしょうか?
※ また、どんな研究者になりたい?どんな研究がしたい?(現実は見ないでとりあえず理想!)
※ 自分が求める研究者像と、審査員が求める研究者像の共通解があれば、それがベスト。なければ自分よがりでも良いかも。
この心持ちを常に持ち続けて、申請書を書きます。すると、自ずと理想の研究者像が現実であるように申請書が書けます。個人的にはこの心持ちが結構大事だと思います。


③ 審査員を考える

審査する人がどういう人かによって、書き方は変わってきます。

Q. 誰が審査するのか?

私の答え. 文学・言語学・外国語教育学の専門家

審査区分表をチェックする。


Q. では、何に気をつける必要があるのか?

私の答え.

  • 他分野の審査員が多いので、できるだけ言語学の専門用語・専門知識を使わない。

  • 人文学系に浸透している専門知識は使ってもOK(文化と言語の関係とか、社会問題とかは分かっていそう)。文字が多いのも問題なさそう。

  • 自然科学系の専門知識を使うときは気をつける(実験や統計などは前提知識として使えない)。

  • ただし、自分野の審査員もいるので、自分野の人には専門知識をちゃんと理解していることが分かるような文章作りを心がける。専門用語を言い換えたら、どの専門用語を言い換えたのかが推測できるように書く。

  • 他分野とはいえど大学教員の方なので、論理性には厳しく。感覚的なことは書かない。また、わかりやすさを意識しすぎて稚拙な文章にならないようにする。

※ どのような内容を書いて良いのか、どのような書き方が好まれるのか?を考える。


Q. では、どんな工夫をして気をつけられるのか?

私の答え. 文学・言語学・外国語教育学の専門外の人に読んでもらう。

※ 自分が意識して気をつけるだけでは足りないこともある。特に、どれくらいの専門知識を使っていいかは、自分や研究室内では確認できない。気をつけるべきことがちゃんとできているかチェックできるシステムを作ろう。
※ わたしの場合は、フランス文学が専門の先生と、日本語学が専門の先輩に読んでいただきました(どちらも学振採用者です)。


④ 過去の申請書やTipsを見る

過去の申請書を読んで分析しました。周りに見せてくれる方がいなくても、ネットに落ちています(たとえばhttps://科研費.com/accepted-dc/)。
採用された申請書と不採用の申請書のどちらも見ると良いと思います(わたしは採用されたものしか入手できませんでした)。
ただ、落合陽一さんの学振申請書を見て、ただ呆然としたのを思い出しました笑

また、グラント獲得のためのTipsがネットに落ちています(たとえばhttps://www.slideshare.net/tonets/gakushin24pdf)。これらも役立ちます。
自分が納得したところは参考にしつつ、でも納得できないところは気にしすぎず、が良いと思います。


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