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言葉は所詮タダ、だけど。



『「言葉は所詮タダ」っていっつも思ってる。どんなに誠意ある言葉を練っても誠意が伝わらなければ「価値ゼロ」。逆に、ひどい言葉やクレーマーの暴言も「タダで言えてしまうんだよな―」と思えば無効化できることもある。』

上記の記事に書いたこのくだりに真っ向から相対することを言うようだけど、「言葉って、タダで人を褒めたり励ましたり出来て最高だな―」と思う。

と、この記事(↓↓)を読んで思った。

有料記事なのだけど、読んでくれた人は、多分、私がこの記事をほめそやすことに拍子抜けするだろうってくらい、あっさりとしたものなのだけど、最後の教授の言葉を読んで、「いいなあ」と思って、私はこのnoteを書き始めたんだ。(ぜひマガジンごと買ってほしい)

高石宏輔さんの文章は、「言葉は所詮タダ」という事実を受け止め、ある種の諦念ももち、しかしその事実も軽やかに扱っていて、さっぱりとしてる気がする。なんでもないのに、なんでもある文章だ。本当に不思議な文章だ。


小説の感想なんて、「おもしろーい!」だけでいい。

あるいは「この展開が良い」とか「このキャラが/セリフが/面白い」など、誉め言葉は具体的であるほど情報価値を増すけど、

自分はこうこうこうで…っていう自己語りとか、自分にとっては小説はこういうもので…というべき論とか、あくまでこの観点からですが…というエクスキューズとか、が、本人の頭の中でも整理されてないままこんがらがった状態で追加されればされるほど、初動の「おもしろーい」は伝わらなくなるし、相手に負荷を与える。

「負荷」というのは、相手に噛み砕く手間を与えるということだ。よく言われる「噛み砕いて説明して」ってやつだ。


高石さんの上記のnoteで、教授がごちゃごちゃ言わなかったところが、きっと、良かった。


自分は、良い文章を読ませてもらった時はイイネのみならずなるべく引用RTして著者に「ここが良かった!」「ここが好き!」と伝えるようにしている。そういう感想ツイートを1本書くのに平気で20分かかったりする。だから実は全然「言葉はタダじゃない」笑

ときにはこうやって「noteの感想のためのnote」を書いてしまうこともある。

(↑↑このnote、我ながらすごく良い。おすすめ。わたし、高石さんのnote読んだ直後って明らかに良い文章書けるんだよね笑)

先日は、私がすごく前途あると思ってる、文学賞の最終選考に数度残ったことがある男の子の投稿作品を読ませてもらって、1時間半で読んだものの感想を書くのに30分かかった。


それでも、まあ、だから何って話ですよね。


どうやら、自分は、言葉の毒に自分でやられてしまっていたようだ。

言葉は所詮タダ。タダだからこそ、粗製乱造して簡単に悪貨が良貨を駆逐することができる。

ここ数日、小説どころかnoteも書けなくなって、とてもしんどかった。(私は辛いことがあっても書くとスッキリするタチなので、その「書く」という手段がふさがれると心の新陳代謝が極端に悪くなり更に調子が悪くなる)。(この三日間は睡眠時間の増加、出かけるのがしんどくて毎回10分遅刻する等の「プチ鬱」症状が出ててヤバかった)

まさに自分の中で悪貨が良貨を駆逐してたんだと思う。

「言葉は所詮タダ、でも……」の「でも……」の部分をカットするような、分かりやすすぎる文章を書いていたように思う。

でも、この記事(←渋澤note史上一番読まれてます、まだの方は是非)をきっかけに多くの知らない人に自分の書きかけの小説を読んでもらい、感想メールをもらう中で、何言ってるか分かんない、散々こねくりまわした挙句に「こんだけこねくり回したんだから努力賞みとめてよー!!」と、生のパン生地を投げつけられるような自意識と甘えにまみれたメールや、自分を守ることに徹して結局なにも伝わらない、ただ鎧の分厚さのみ伝わって鎧の中身が一切見えてこない自己語りなど、にアテられて、かなりしんどくなってしまったフシもある。やはり私信でしんどい文章送られるのはキツい。(※よく誤解されますが私信じゃなきゃ何言ってもいいです)

やっぱり、正直、「噛み砕いた文章を送ってくれ」と思ってしまう。


ところがどっこい、反面、全然うまく噛み砕けてない悪文でも、メタ的に「あ、多分こいつ悪い奴じゃないな」と伝わってきて、悪い気のしないこともある。多分、彼は彼なりに私の小説のわけわからなさに対峙してくれたんだな、と分かるんだ。


こうやってキズだらけになりながら、自分を、自分の文章を、自分の小説を、しっかり人目にさらすとともに、胸の引出の一番大事な所にしまって死守しないといけない。

わけわからないことをちゃんとわけわからないままにしようね。



※2018/2/2追記

このnoteかいた数時間後にまさに『何言ってるか分かんない、散々こねくりまわした挙句に「こんだけこねくり回したんだから努力賞みとめてよー!!」と、生のパン生地を投げつけられるような自意識と甘えにまみれたメールや、自分を守ることに徹して結局なにも伝わらない、ただ鎧の分厚さのみ伝わって鎧の中身が一切見えてこない自己語り』を含んだ知らない人からのDMが、複数きまして、めちゃめちゃアテられた。

その同じ日に、友達二人から「私のメールうざかった?ごめんね!」みたいなメールが来た。

友達が私信してくるのは当然だし友達が自己語りするのも当然だから!

「知らない人からの私信で、ウザい自己語りと自意識と甘えを含んだもの」がキモいの! 普通に考えてキモいでしょ? ただの迷惑メールでしょ?


「届け」と思った相手に届かず、想定外の人が気遣ってくれている……


書けば書く程誤解される……

つらみ……

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