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彼氏に誕生日プレゼントを買ったらあわや破局の危機だった話(彼氏の話5)

いつもありがとうございます。渋澤怜です。今回全無料回です。

おかげさまで彼氏とは円満です(おかげさまだよ! このnoteを書くことによって彼氏は「渋澤怜説明書」を得てコミュニケーションが円滑になるし、私がこのnoteを書くモチベーションは読んでくれる人だからね!)

さて、先日は「彼氏の話4.5」にて、彼氏が無事シーツを買ってくれた話をした。

でも実は私は、それに先んじて、彼氏にプレゼントをあげている。


でも彼氏にプレゼントをあげたことによって私は「素敵なプレゼントをあげられて良かった!」と満足するどころか、めちゃめちゃ不機嫌になってしまい

「あわや破局の危機!!」

という顛末だったので、そのことを書こうとおもう。



ある日、彼氏が
「そうだ、れいちゃんに早急に買ってほしいものがあるんだ」と言って、財布を見せてきた。
「元カノに貰ったものを使い続けるのは申し訳ないし、もうヤバいレベルでボロボロだから、安っっっいやつでいいから買ってほしい」
とのことだった。

確かに財布は、ヤバいレベルでボロボロだった(小銭入れに穴が空いており、財布を出すときにザコキャラみたいにコインがポロポロ落ちる)。ボロボロというか既に壊れている。長財布の小銭ゾーンから小銭が落ちて使い物にならないから、別に小銭入れを持っている、というレベルだった。

「元カノの話をされると高まる話」に書いた通り、私は彼氏が元カノのプレゼントをずっと持っていても一向に気にしないのだが、まあ、彼氏が「俺は元カノに貰った財布を使い続けるのは後ろめたい」という考えなら、そこは変える気はない。

それに滅多に彼氏が出来ない私は「彼氏に財布を買う」という行為がレアすぎて(思えば人生初だ)、「そういう、つきあってる彼氏彼女のテンプレっぽいこと、一回くらいやってみてもいいかな?!」と、ガラにもなくはしゃいだ。
で、名うてのビッチ・リナちゃん(お馴染み、レイシブサワの親友というか悪友)に、「どんなブランドが良いかな?」といそいそ相談したりしていた。

そして私は「あんまり安いやつを買うとみすぼらしいし、ちゃんとしたものをあげたいから誕生日プレゼントにするよ」という提案をした。

そして彼氏の誕生日は6月なのだが、「財布に穴が空いてて可哀相だから一刻も早く買い替えた方がいいだろう、彼氏も「早急に」って言ってたし」と思った私は「前倒しでも良いよ」と提案した。まあ1か月半の前倒しということで、許せる範囲だ。


この話をしてから1週間くらいして、実際にデパート巡りデートをして財布を購入することになるのだが、それまでに私はこのnoteの「シーツの話」「おねだりの話」を書き上げて、おねだりやプレゼントに関する考察を深めていった。そして彼もそれを読んでいた。


「シーツの話」「おねだりの話」を書く中で、私は、自分と彼のプレゼント観の共通点や相違点の理解を深めていった。

そしてその理解に照らし合わせると「どうやら、財布をあげるっておかしい気がするぞ」と、だんだんと、もやもやとした気持ちが育っていった。


「彼氏の話4.5」にも書いた通り、彼のプレゼント観は「奇跡の一致」、すなわち

「2人で時間を使う中で『こんなもの欲しい/あげたくなるなんて思わなかった!』と思うような、ネタになるプレゼントを見つける」

という「物語性」重視型だ。


(だから彼は、「私と付き合った記念」のプレゼントをすぐに買ってくれるのでなく、ゆくゆくの「奇跡待ち」として保留している。)


で、私がリクエストした投資系アイテム4つ(コンドーム、シーツ、ブラジャー、下田美咲性行為note)は、プレゼントとは別に、あくまで投資として買ってくれるとのこと。
(でも「今月はキツいから後で」ということになっている)

一方、私のプレゼント観によると、私が彼に買ってあげることになっている財布は、「決め打ち」に近くなる。

「URL」の復習として、ここでめちゃめちゃわかりやすい「おねだり」図を挿入する。どうだエクセルを駆使したぞ。すごいだろ。スクショだぞ。

この中で言うと、彼が欲しがっている財布は「決め打ち」に近いが、彼は「黒の長財布なら何でも良い」と言っており、ブランドまで指定しているわけではない。
でも私のプレゼント観によると「決め打ち」に近い。だから、
「私、もしかして彼氏に『財布』扱いされてる……?」「だからなんだかもやもやするのか……」、と、noteを書く中で自分のわだかまりの原因がだんだんクリアになっていった。

繰り返しておくが、彼氏が「安っっっいやつでいいから」と言ってきたにも関わらず、「ちゃんとしたものをあげたい」と提案したのは私だし、「急務を要するなら、一か月半前倒しして誕生日プレゼントにしてもいいよ」と提案したのも私だった。

しかし、結果として、なんだか「必要なものをすぐに買ってあげる都合の良い人」になってしまっている。

「財布」だ!!! 財布だけに!!!!!!


……さらに、当日、デパート巡りをしている中で、どんどんその「私、財布じゃん」感が、深まっていった。


「黒の長財布なら何でも良い」と言っていた彼は、
デパートの財布売り場に行ってもそんなに目を輝かせるわけでもなく、まるで私がPCショップに連れて行かれた時くらいの興味の持ち方だった。

私が
「『黒の長財布』以外でこだわりないの? こういうのは? こういうのは?」
と実物を指示しながら問答することで、
「外にシッパーがついてない方がいい」「ベース黒だけどちょっと色が入ってる方がいい」
くらいは分かったけど、逆に言うとそれ以上のこだわりはないみたいだった。

私が財布を選ぶとしたら、今の財布と大きさや厚さを比較したり、カード枚数や小銭の入れやすさ、手触り、重さ……あらゆることを調べるべくずっとパカパカするんだけど、彼は全然そんなことなく、
「なんか、男物の財布って見た目のバリエーション少なくて(「黒っぽくて四角いの」ばっかり)、見てても違いわかんないや~」と売り場を流す私と同じ速度で、彼はうしろをついてくるのだった。

うーん彼は「機能性にはそんなにこだわらない」と言ってたけど、本当にそうなんだな~……

別に期待の線は薄かったけど、彼のプレゼント観に基づいて「物語性を高める」ために
「忘れられない財布購入イベントにしよう!」
「よし! 今から棒を倒して倒れた方角に行って、初めに目に入った財布を買おう!」
とかいう展開も無かった(ない)。
私の方がよほど「あえて君が女物の財布持ってたらすごく面白いと思う!!」とか言ってレディースコーナーに乗り出したり、冒険を求めてたな。


まあ、あまりにこだわりが強すぎると永遠に決まらないから良いんだけど、しかし、

なんか買うテンション下がるな~~

どれでもいいんだな~~…… 

って感じ。


結局2時間程度見回ったのちに2人とも「この財布良いね!!!」と思えるものを見つけられて、晴れて購入できたものの、

でも、デパートのお店で「ハイ」とラッピングされた袋を渡した時の彼の様子や、その後一緒に私の家に帰って「開封の儀」をした時の彼の様子を見ても、残念ながら「あげてよかったな」と思えなかった。


あんまり嬉しそうじゃないのだ。(業務スーパーで買ってきた豆腐サイズのチーズケーキ(200円)を食べた時の方がよっぽど良い顔をしている)

むしろ彼からにじみ出ていたのは「はあ~~これでボロい財布から解放された~~やれやれ~~すっきり~~」という安堵だった。

あ~~ この人、財布にマジ興味ないんだな~~……

むしろ私の方が、財布を写メして名うてのビッチ・リナちゃんに「ミッションコンプリート。おかげで良いサイフが買えた」と自慢するなどしていた。


なんか変だった。
財布は文句なしに可愛かった。しかし結局、デパートに行く前から私の中で芽生えていた違和感は決定的なものとなってしまった。


そして私はその日(我々にとって初めてのデートだったその日)、わけもなくめちゃめちゃ機嫌が悪かった。
挙句の果てには彼の前で「財布あげなきゃよかった……」と、言ってはいけない類のことまで呟いていた。

うーん、嫌な彼女だ。
しかし当時は機嫌悪化の原因が究明できず、こんな風に思っていた。

「彼氏に『財布』扱いされるのは嫌だ……私が昔7万のコートを男に買わせたことの報いだ……」
「形通りの幸せカップルのテンプレをなぞっても幸せになれない。既製品の幸せに安易に乗っかっちゃいけない。私は彼氏に2万の財布をあげることで幸せになれるタイプの人間ではないんだ……。テンプレデートにはしゃいだ自分がバカだった……」
「しかも割と、財布の購入をタスク化して、デパートで楽しそうにしてなかったのは私の方かもしれない……さっさと済ませてタスク消化しようっていう態度が彼にも伝播して彼もつまんなかったんだろう……」
「でもそれは財布をノリノリで買えなかったからだ。ノリノリで買えなかったのは、彼氏がまだ何も買ってくれない(投資もプレゼントも保留になっている)からだ。自分は何も買わないのに、先に私に2万の財布買わせるって……しかも誕生日前倒しで……いやでも、前倒し提案したのは私だし……うーん、私ってケチなのかな……」
「私の誕生日は11月で、それまでに別れたら私2万損じゃね?! 半年も付き合えるかな!?(私は誕生日に一度も彼氏がいたことがなく、誕生日プレゼントをもらったことが無いというトラウマがある)あ……でもこんな損得勘定をするなんてみみっちい……私、彼の事嫌いなのかな……」

そんな風に悶々として、自己嫌悪に苛まれていた。


で、翌日、私の家に泊まった彼を見送る際(多分「君の誕生日当日は何しようね?」という話をしていたんだと思う)、
玄関で靴を履く彼が
「あ、れいちゃん、靴買ってよ」
と言った。


目を落とすと彼の靴は、なんというか、ジーンズに例えるとダメージジーンズくらい負傷しており、通り魔に切り刻まれたみたいになっていた。靴と呼べるか微妙なラインの、靴としての原型をわずかに留めている代物だった。
そして彼はこう言った。


「俺、コンバースのハイカットなら何でも良いから」

またかよー!


急いで買い替えないと困るくらい、ボロボロのものを見せて、「換えはなんでもいいから」と言って要求するのはやめてくれー!! 

あわれになって、買ってしまうんだよ……! 

そしてまた「財布扱いや嫌だ……」「ヒモ予備軍だ……」「何も買ってくれないのに買わせてばかりだ……」「でもこんなこと考える私ケチだ……」って自己嫌悪に陥るの、嫌なんだよー!!

しかもコンバースって何げに凝ったら1万とかそこらするだろ。


2万の財布買ってもらった翌日に何ぬかすんだよお前は!

とめちゃめちゃ怒った。

(厳密には、その場では「ん? こいつ変?」レベルだった怒りの種が、駅まで彼を見送って、戻って来たあたりでむくむくと育ち「なんだよあいつ?! おねだり大臣か?!」レベルになって、一人で家で怒った)

「こいつ、許せねえ……ヒモだ……ヒモだ……
でも今フッたら、財布代2万損だ……絶対に何かもらってから別れよう……」

とコスいことを考えていた。で、また「私ケチだ」と自己嫌悪していた。

(ちなみに、私は元彼に6万貸しており(別れてから返してもらった)、彼氏も元カノにその何倍もの額を借りている(返してない)。つまり、お互いに「ヒモ」「ヒモ養成女」としての前科がある身なのだ……!)

だから私としてはこのヒモ疑惑は芽生えた時点でトラウマ刺激しまくり脳内アラート鳴りまくりの案件だったのだ。


……それにしても、あの人はなんであんなに気安く

「買ってー!」と言えるんだろう。口調が悪びれなすぎる。

私、あんな風におねだりなんて絶対できない……

相手を『財布』扱いすることにうしろめたさを感じてしまって……


と考えていたら、ふと気付いた。


私も、彼が私におねだりする口調とまったく同じ口調を使う時があるのだ。
それは


「洗濯機の栓つけてー!」

「家具組み立ててー!」

「パソコンつないでー!」

「ネットの調子悪いの直してー!」


と言う時だ。


私は、自分の苦手分野で、かつ「これは男の仕事だろ」ってことに世間的になっていること(力仕事やDIYやPC関連)を、男にやってもらうのが大好きなのだ。
わざわざ自分でやらず(やれず)、不便を我慢し何日間も放置して、男が家に来るのを待つほどに、好きなのだ。
ここ4年で3回引っ越ししているが、3回とも業者に頼まず、男友達に軽トラ運転や荷物運搬を頼んだほどに、好きなのだ。


割とこれは、性的嗜好だと思う。


男に家具を組み立てさせたリ洗濯機の栓を繋がせたりPCを設定させたりして、
それからずっと、家でコードを見かけては
「この線はあの男が繋いでくれたんだ……ふふふ……」
と思い出してはにやにやするのだ。

(ちなみに彼氏は、頼まれごとが好きだしPCに強いので、私のこういった頼み事を嫌な顔せず引き受けてくれる。この点相性バッチリ最高)

対して、彼は、たぶん、女に身の回りの品のお世話をされるのが好きなんだと思う。既にボロボロの、というか、その機能を果たせないレベルで壊滅していた(けれど自分では買い替えのタイミングを失していた)財布や靴を、女に世話してもらうのが好きなんだと思う。
そういえば、「女に服を選んでもらうのも好き」と言っていた。


これまた、性的嗜好である。


女に身の回りの品を世話してもらい、財布を見るたび
「これはれいちゃんに買ってもらったんだーぐへへー」
とにやにやするのかもしれない。


そして、財布の色柄よりも、その「彼女に買ってもらったという事実」がメインなのかもしれない。ちょうど私が、どんなコード繋いでもらうかはどうでもよく、ただ「男にコード繋いでもらった」という事実ににやにやするように。


彼氏が元カノに買ってもらった財布を、壊滅状態になるまで(おそらく、3~4年?)使っていたという事実は、私が、引っ越して1週間近くしても、洗濯機の栓もTVの線も繋が(げ)ずに、プレ彼氏(当時)の来報を待っていたという事実と呼応する気がする。

そういうプレイなのだ。


……以上の推理をもって、私は彼氏にここまで書けた原稿を見せた。
「ねえねえ! この前財布買った日に私がめちゃめちゃ機嫌悪かった理由が分かったよ!」
と、プレゼンしに行ったのである

(我ながらよくプレゼンに行く彼女だなー)。


で、
「これで合ってる? あなたが悪びれずに『財布買って!』って言える理由、合ってる?」
と聞いてみたところ、しばらくの逡巡の後、彼氏のアンサーは、

「そういうシステムと思ってたから」

だった。


そういうシステム。


つまり、彼氏にとって、付き合った人が自分の財布を買ってくれるという、システムなのだと。

なあんだ、そういうことか。
そして「財布買ってくれる程好きか調べたかった」とも。

なあんだ。そんなことか。考えすぎたわ。めちゃめちゃ普通じゃん。

それって、普通の女の子が、アクセサリを彼氏にねだるのと同じ理由じゃん。
「彼氏って、そういうもんじゃん! 彼女に指輪買ってくれるもんじゃん! 買ってくれないの? 私の事好きじゃないの?」と。

なあんだ。私が何千字も、というか一万字以上もプレゼントや金銭感覚についてプレゼンしまくってるから、少しはこちらに寄せてきているのかと思いきや、
あなたは意外と普通なプレゼント感覚を維持してるのね。なあんだ。考えすぎちゃったよ。

しかし、考えすぎて良かった。と思っている。


私が財布を買った日に不機嫌になった理由を熟考し、うまく言語化できたから良いものの、
それが出来なかった場合、
「なんか彼氏といると不機嫌になるな」「私のことわかってよ」
と、相手のせいにして破局していた可能性がある。
そこまでいかずとも、破局への敷石を確実に一個敷き詰めただろう。

あるいは、彼氏も
「れいちゃんケチだな」「俺といるとれいちゃん理由なく不機嫌になるな」
と思い、破局への敷石を一個敷き詰めた可能性がある。

ああ、色気が無いけど言語化能力がある女で良かった。
「言葉で何でも言うこと」って、セクシーさの対極にあると思われがちだけど、
自分の気持ちをきっぱり言えること、してほしいこととしてほしくないことをきっぱり言えることも最高にセクシーだと思うので、私はこの路線を追求していきたいと思う。


あ、そうだ。
ところで、
私、気づいたんだよね。

彼氏が「そういうシステムだから」って言って財布をプレゼントされたんだから、
私も「そういうシステムだから」って言って、プレゼントをもらって良いってことだよね!

「付き合った記念に何か買ってくれるって言ったよね? そういうシステムなんだよね? 私、そのシステムにのっとって財布あげたよね?」って。

私は、欲しいものを決め打ちでおねだりするのにすごく罪悪感があるけど、君はそういうシステムなんだもんね? 罪悪感かんじる必要、無いよね?

と詰め寄ったところ、彼氏からOKをもらったので、
私は、欲しいものを考えてみた。
財布と同額の2万程度で、なんか「プレゼント」っぽいもの……。

特に思いつかなかったので(速い自転車は5~10万するしプレゼントっぽくない)、
「元カノはこの『システム』で何もらったの?」
と聞いたら、

「iPad」

というアンサーだった。

「じゃあわたし、kindle!」

本当に色気が無いと思う、私は。

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