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「まずこの本をメルカリで売れ」って書いてある本 ~~「バイトやめる学校」がアンチ「本」なヤバい本~~


Twitterでたまたま流れてきてポチった山下陽光さんの「バイトやめる学校」
という本、何もかにもがすごい本だった。


■バイトやめてー!!!!!

バイトやめる、つまり「誰かに雇われず、自分の力で、好きなことして稼ぐ」やり方についての著者のツイートがとても役立ちそうだったので、この本の購入に踏み切ったのだった。

(もう埋もれてしまったのだが確か)そのツイートは、

「『好きなこと+不便』で検索しろ。たとえば『プログレ 不便』で検索すると、『楽譜が無くて不便』という声が見つかる。そこで試しにそういう人に『楽譜起こししたら一曲いくらぐらいで買ってくれます?』と聞くと、『2万』だという。結構良い値段じゃないか」…

みたいな内容だったと思う(ズレてたらすいません)。

多くの人は「好きなことしてお金稼ぎたい!」となると、「田舎で古本カフェします」みたいな完全なドリームを発送してしまうけど、そういう「好きなこと」と「社会のニーズ」のギャップを埋めて、現実的な路線で出来る「好きなことでのお金稼ぎ」をしよう、ということである。

似たような内容が、著者のブログにも書いてある。http://blog.goo.ne.jp/bashop/e/6e6ec3dbf171f5acc6e70ff495f1756c
こちらは、「染色が好きで得意だけど需要はあまりないみたい」と悩む読者に、著者が「『カレーうどんで出来た染みを染色する』だとすごい需要あるんじゃない?!」と返してる(!)


■ぶっちゃけネットでタダで読める内容だったけど、それでも買って良かった

バイトやめる方法については、上記ツイートに集約されており、正直、本を買ってもこれ以上のことは書いてなかった。
つまり、「バイトやめる」ためなら、この本は別に買わなくても良かった、ネットの情報だけで十分事足りた、ともいえる。

しかし、私はこの本を買って良かったと思っている。なぜなら、山下氏のお金に関する考え方が面白すぎるからだ。

あー! この人は儲けようとしていない! けど楽しく暮らしてるし、めちゃめちゃアイディアマンで、話が面白い!!! と思いながら、読んだ。


■『カネがいまだに流行っているのってウケる』

山下氏は「途中でやめる」というハンドメイドの服のブランドをやっていて、webショップでは新作をアップすると30分で売り切れるほどの人気だそうだ。でも全然儲けていない。服の値段を、ものすごく安くしているからだ。(6800円のワンピースが取扱店で売れた場合、もうけはたった800円!)
「途中でやめる」は夫婦で運営しているが、夫婦で月収20万を超えないようにしているそうだ。というか超えたら経費にブッコんでいるし、自分らの儲けよりも、雇っている人に良い給料を払うことを重視しているそうだ。(「途中でやめる」が売れることで誰かが食えている状態を作れるのが面白い、そうだ)

つまり、やることが資本主義からドロップしている。ふつう資本家が儲けて被雇用者はびんぼうなはずだからな!!
でも、そこに面白さや新たな可能性を見出しているそうなのだ。

この人は、お金は持っていなくてもすごく豊かだし、お金以外のいろいろなものを持っていると思う。雇われている人は山下さんにすごく感謝しているだろうし誰かをイメージした服を作ったらその人が着て宣伝してくれたり、物々交換したりなどの良いサイクルもあるそうだ。
そういう、金もうけ以外の豊かさについて提示されている点が面白い。

「資本主義の人が見向きもしないような、敵がいなくて、稼げないけど楽しい空間を見つけて実践して拡げていく試み」をやっていきたいそうだ。


■安さはインパクト

本文で紹介されていた「新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには? 」も、読んでみた。こちらもすごく面白かった。

ベルクは、ものすごくこだわってめちゃくちゃおいしいものを出す上に、安い。あー、安さっていうのはそれだけで価値であり、インパクトであるんだなと思った。

(ベルクと「途中でやめる」は「安い」という点で共通しているけれど、ベルクは低価格と引き換えに客回転を良くしてちゃんと儲けているそうだし、バイトの時給も並のようだ。でも資本主義のルールにのっとって大手チェーン化したりしないし、バイトも大事にされているようだ。)

すごくおいしいものを低価格で提供すると「えっいいの?」「なんか悪いなあ」「ありがたいなあ」「大事にしよう」「この場所は貴重だからみんなで守ろう」という感情が、客に芽生えるらしい。

実際、ベルクの駅ビル立ち退き問題の時もお客さんがものすごく助けてくれたようだ。


■超前衛的だなこの本…!「読み終わったらメルカリで売れ」って書いてある。

もしかしたら山下氏は、この本も、超低価格で売りたかったのかもしれない。でも、出版とか流通の都合でこの値段に甘んじているのかもしれない(この本は1400円だ)。

そう思わせる第一の根拠は、この本のエッセンスが気前よくwebで無料で公開されていること。

第二に、本文の
「本は同じような値段で、ページ数もだいたい同じ。なんでだろうか?」
「儲けが出ないとか、書く側と売る側の都合でそのようになってしまっている。バイトやめる学校の本も、本当に必要な内容にしたら半分以下でいいはず」
という言葉。


ちなみにこの本でいうと、実践編(82~118ページ)の対談部分は、めちゃめちゃつまんなかった。これはカサ増しなのでは? と思っている。厳密には、チケット転売の話は面白かったけど、それ以外がつまんなかった。
しかしもし、この本自体によって「本っていうメディアはね、200ぺージくらい無いと体裁が保てなくてまともな値段で売れないんだよ。だからカサ増し部分があるんだよ」と身をもって提示してるとしたら、それこそメタ的にめちゃめちゃ面白い。

そして第三に、「読み終わったらこの本をメルカリで売れ」と書いてあること(!!!!)。


「メルカリでこの本の宣伝文を書いて、それを読んで購入する人が現れたら、売買の楽しさを知る一歩になるから」とのこととだけど、なんにせよ画期的すぎる。

そして第四に、「文字数等価交換がもちかけられている」こと。

すなわち、この本の感想&バイトやめられそうな自分の特技や好きなこと」を書いて、著者のメールアドレスに送ると、送った文字数~最大3000字、「バイトやめる学校2」が送られてくるそうだ。


とにかく、著者の山下さんに全然儲ける気が無いこと、この本自体を使って等価交換なりメルカリに出すなり、自分の実入り以外の良いサイクルを回そうとしていることがありありと伝わってきた。


というわけで、等価交換、させていただくしかない。


……そう、賢い読者はもうお気づきだと思うが、この記事は山下氏へ送る3000字の感想文を兼ねてるのである。

(余談ですが、この3000字システムのおかげで私は、得てして自己嫌悪とかダルさを伴いがちな下記の自己分析作業を、それなりのモチベーションでそれなりの早さでやることができました。ありがとうございます)


■バイトをやめたい私の特技、好きなこと、かつ社会に需要がありそうなこと

山下さんへ


というわけで、私の特技、好きなことを列記するので、そこからバイトやめるきっかけをアドバイスいただければ嬉しいです。

(山下さん以外のこの記事読んでる人も、「渋澤怜に仕事たのみたい」とか「こういう仕事したら渋澤はいいんじゃない?」とか思ったら、断片的なアイディアでも良いので、コメントしてもらえると幸甚です!!)

●得意なこと
◎文章系
・観たり聞いたりして思ったことを文章にまとめること。(ライヴレポ、旅行記、セミナー体験記、映画や本のレビューなど)
https://note.mu/rayshibusawa/n/n6c425236ae4a
https://note.mu/rayshibusawa/n/n4a50395997e1

・まとまった知識を他人に説明すること。
https://crmg.me/c/1055 ←これを書いた時そういわれた
・人が「何となくずっと思ってたけど言語化できない」ことを、言葉にする
https://note.mu/rayshibusawa/n/n258832aa6b98 ←この記事の感想でよくそう言われた
・言葉を使った作業(キャッチコピー、ネーミング、作詞、短歌など)。宣伝会議賞キャッチコピー一次通過)
・小説が書ける(文藝賞2次通過)

◎そのた
・絶対音感がある
・ポエトリーのライヴができる https://www.youtube.com/watch?v=cjDXTywgo9E
・英語はそこそこできる(TOEIC700点台くらい。海外旅行に支障ないくらい話せる)
・他人の悩みをきいて、整理するのが得意(らしい。人に言われた)
・筋道立てて説明する(家庭教師とか)
・SUUMOを延々と見ていられる。他人の内見に一緒についてくほど、内見が好き。今不動産屋で、空き部屋の写真を撮りSUUMOにアップする仕事をしているがかなり好み。

一番好きで、いくらやっても苦じゃないのは「文章」なのですが、ここが鬼門でもあって、困ったことに、書きたくないことは絶対に書きたくないのです。私はそれなりの早さで理屈の通った文章を書けるので、webライター等もこなせると思うのですが、「◎◎する5つのコツ」とかいう、他所の文章をコピペして、最後「いかがでしたか?ぜひ取り入れてくださいね」みたいなシメで終わる文章を量産するくらいだったら時給1200円でバイトするほうがまだマシなのです(ちょっとだけやったことがあるのですが、かなり心がすさんですぐ辞めました)。その時、「読んでも読まなくても誰の生活もかわらないような、誰も幸せにならないような、魂のぬけてる文章は書きたくない」とハッキリ自覚しました。

文章以外の特技だとSUUMO見ることが仕事につながりそうだと思って「内見 不便」「内見 不安」でググると、「大学進学or就職を機に4月から上京するけどあわただしく1日で2,3件だけまわって内見してすぐ決めてしまったし、新生活全般不安だ…」「内見時には良いと思った物件だが、住んでみると不便な点があれこれ…」というツイートが結構ありました。私は東京に住んでいるし一人暮らしも4件くらいしているので、「こういう人の代わりor一緒に内見して物件をシビアな目でチェックする」ことは出来ると思います。

でも、それで私が楽しく稼いでいるビジョンがあまり見えない……私は時給1200円のバイトの安定性を捨てて内見同伴人になるほど、内見が好きではないのかもしれない……と思ってテンションダウンしてしまいました。

というわけで、初心に立ちかえり、やはり一番好きな「文章」をメインに、プラスアルファ何かを絡めて、仕事を作っていければよいのでは? と考えました。

私はライヴ、小説、短歌…と色々な界隈に節操なく突っ込んでるので、芸術をやっている知人も多く、そこらへんの「不便」を文章で助ける仕事は無いかな…と思いましたがうまくググれず。例えばライヴを観てライヴレポを書く、とか、バンドのキャッチコピーを考えてあげる、とかは、きっと好き&得意なのですが、それはファンだったらタダでもやるものだし(どんなに売れないバンドでも1,2人はファンや身内がいるもの)、お金払ってでもやってほしいバンドっているんだろうか……などと考えるとドン詰まってきてしまいました。

あとは、ライヴ以外だと、講座やワークショップをやっている知人は皆集客に悩んでいるので、「講座、セミナーをモニター的に受けて、すごく詳細なレポを書いてPRする」だったら楽しくできそうです。でも「講座、セミナー、ワークショップ」「集客」「モニター」とかでググると情報量が多すぎる&怪しいものが多いので、ちょっとウンザリしてきました……。

ここまで書いて気づきましたが、私は、アイディア出しが得意なので仕事案はそれなりに沢山思いつけるのですが、好き嫌いが激しくて「これは私にはできそうだけどヤダ!」というものが多いようです。(あとググるのが下手)

というか、将来的には「エッセイや小説、ライヴなどで自分の言いたいことを言って身を立てていきたい」と思っているので、なるべくそこにつながる仕事を始めるのが理想です。そうじゃないなら、時給1200円のバイトを継続するほうがマシだ……と思っているのかもしれません(バイトをする時間は本当に勿体ない、無駄だ、誰かの手足になるのではなく自分の頭でお金稼ぐことに一刻も早くチャレンジしたい、とは思っているし、短期的には実入りが減っても、その方が絶対に自分の糧になるとはわかっているのですが)…なんだか踏み出す勇気がイマイチありません…

というわけで「バイトやめる学校」の最適な受講生ではないのかもしれません…とちょっと弱気になってきてしましました…

しかし山下さんの本は衝撃的でしたので、「バイトやめる2」、ギャンギャン読みたいです。
魂のある本づくりを見せていただきありがとうございました。だから私も魂をギャン入れしたメールを書いてしまいました(4500字もある‥! すみません)
書いている間はすごく楽しかったです。やはり魂のあるものを見せられてそれに感化されて文章を書くというのはめちゃめちゃ好きだしそれが仕事になれば最高です。

8/5か6の東京のイベントに伺いますので、お話できたら嬉しいです。よろしくお願いします。


※この記事を読んでくれた人へ! 渋澤にさせたい仕事があったり、思いついたりしたら、ぜひ連絡してください。この記事にコメントでも、TwitterのリプライorDMでも! メール info@rayshibusawa.her.jp でも!
マジでバイトやめたい夏なのでよろしくお願いします。

※※「こういうのは等価交換で回していかないとな」というのがこの本から学んだことなので、逆に「私もバイトやめたいから渋澤さん一緒に考えて」「私のその本読みたい。貸して」という人いたら、コメントください! 私がバイトやめるためのアイディアやこの記事の感想コメントをちょちょっと書いてくれたら、対応します。


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