【即興実験小説】まじでこの世の全ての彼女持ちに教えてあげたいんだが(15分・722字)

お題:彼女の料理  必須要素: 十字 制限時間:15分

いつも彼女の料理を「うまいうまい」と連呼しながら食ってたら、
「うまい以外言われない。悲しい。もっと何かないの?」
と言われた。
「めっちゃうまい」
「7字」
「超スーパーうまい」
「8字」
「ミラクルめちゃうま」
「9字。せめて10字以上で何か言ってよ」
「超スーパーミラクルめちゃうまい」
「……うん……」
彼女は台所でお茶を入れるふりをして俺に背を向けてしまった。
「昨日食べたの何か覚えてる?」
「んー、なんか、えーと……、超スーパーミラクルめちゃうまいやつ」
「とろけるパプリカの旨味ぎっしり生姜焼き、ね」
「うん、それそれ、それも超スーパーミラクルめちゃうまかったわ」
俺は語彙はない。料理や食材に関する知識も無い。でもだからといって、おいしさを感知する舌が鈍いとか、あまつさえ美味しい料理を作ってくれる彼女への感謝の念が薄いなんてことは絶対にない。
かと言って、毎日俺の健康にきづかい、かつ味が退屈にならないようにいろんな工夫をこらしてバリエーション豊かな食事を作ってくれる彼女を、喜ばせたい気持ちだって、ややある。
困った末俺は、インターネットを頼った。

「まじでこの世の全てのパプリカ好きに教えてあげたいんだが中野区南台×ー×ー×には全ての人間を虜にする禁断のパプリカ料理がある。
これがパプリカとろとろな上に肉もボリュームたっぷりで大満足だからぜひ全国のパプリカ好き、パプリカを愛する者たち、パプリカを憎む者たち、全てのパプリカ関係者に伝われ」

これで俺は毎日少なくとも140字は彼女の料理をほめちぎることが出来るようになった。彼女が喜んでいるししばらくはもつだろう。しかしいつかは「テンプレウザい」と言われるだろうが。でもこの構文だって世を席捲するまではそう言われなかったわけだし……。


渋澤怜(@RayShibusawa

・・・・・・・・・・・・・・・・

お題:彼女の料理  必須要素: 十字
制限時間:15分  文字数:722字
http://sokkyo-shosetsu.com/ このサイトを使っています。

・・・・・・・・・・・・・・・・

#小説
#短編小説
#芸術
#実験小説 
#前衛小説
#詩
#短編

渋澤怜のおすすめ創作群 https://note.mu/rayshibusawa/m/m70e04479475e

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

スキを押すと、短歌を1首詠みます。 サポートされると4首詠みます。

さくらさく、とかいっちゃって(笑)富士の見えない富士見町だった
18

超短編小説・実験小説・詩・純文学etc

短めの小説がたくさん入っています。実験小説、即興小説、朗読ライヴの元ネタ、文体の研究などなど。
1つのマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。