便利過ぎて不便な、でかすぎる街 東京、バンコク、ホーチミンの交通と景観の比較


タイ・バンコクに行ったら、海外旅行にも関わらずテンションが上がらな過ぎてウケた。その理由は「交通」にあった。バンコクの交通は、私が感じる「東京の嫌なところ」とよく似ていた。ひるがえって、私は祖国の首都の何が嫌いか改めて把握した……という話。

みなさんは、海外旅行に行った時、「移動」にはこだわるタイプだろうか。
私はめちゃめちゃこだわる。なんなら行く場所より移動の方が大事なんじゃないかと思うことすらある。
移動手段を味わうことこそ、都市を味わうことであり、すなわち海外旅行の醍醐味なんじゃないかな? と思っている。

この記事は、ベトナム・ホーチミン在住の私が、3泊4日のタイ・バンコク旅行をした際に、電車、バイタク、トゥクトゥク、タクシーなどの移動手段を試し、感じたことをまとめたものだ。

東京に住んでる(だ)人、バンコク・ホーチミン・東南アジアに旅行予定の人、都市や景観や交通について興味がある人には、おすすめ。

■電車 ~混んだ電車の雰囲気が東京のそれに酷似

バンコクのスワンナプーム国際空港に降りてから、電車で市街地へ向かう。
「空港から30分で市街地行けちゃうの、便利~」と思って電車に揺られていたが、私は異国についたというのに全然テンションが上がっていないことに気付き、異常を感じた。

いやせっかく準備して旅行に来たのに楽しくないとか困る……もしや私がべトナム住みだから東南アジアを旅行しても「国内旅行」くらいのテンションにしかならないのだろうか……いや、にしてもまだ在住歴半年だしその境地も早いだろ……等と焦っていたが、じきに原因が分かった。

電車がいかんのだ、と。

私は東京にいる時から電車が嫌いだった。
何が嫌かと言うと、第一に乗ったり下りたり乗り換えたりがまどろっこしいところ。ドアトゥドアで移動できないし、駅からは結局歩かないといけないところ。
第二に景色が遠いこと。窓があるし、車窓からは線路沿いという限られたシチュエーションの風景しか見られないのも歯がゆい。
そして第三に、電車に乗っている「人」が嫌いと言うこと。

よく「日本人はどうして電車の中であんなにむっつりしてるの? みんな携帯ばかり見て」みたいな日本在住外国人(とそれを内部に取り込んだ日本人)の意見を目にするが、どの国の人だって、「電車」というシチュエーションに放り込まれれば、ある程度似た態度をとるような気がする。少なくとも、バンコクで何度も乗った電車の中では、そうだった。
つまり、「知らない人と近距離で逃げられない空間に押し込められる」と、ある程度みな「電車の中の日本人的な態度」をとるのでは。
そして私はこの空気が苦手で、だからいつも混んでるバンコクの電車はとても苦手だった。

ちなみにこの後、バンコクの電車を何度も利用したが、乗り換えを間違えまくって非常にストレスを感じ、初日で「もう電車乗らない!」と決意した。

電車というメディアは、「複々線化する」「切符の購入や乗り換えの動線をスムーズにする」「乗り換えの時改札を出ずに済む」という条件をクリアしないと不便だと分かった。

バンコクの電車はまだかゆいところに手が届かない感じ。
東京の電車はなんだかんだ言ってやっぱり便利だ。

■自転車 ~外国人にはハードルが高かった

さて、電車天国の東京に住んでいた私だが、電車が嫌いなのでよく自転車を使っていた。中野富士見町の自宅から渋谷まで電車でもチャリでも45分。同じ時間なら、景色が近くて、人にわずらわされなく、ドアトゥドアで移動できるチャリを、私は好んだ。
バンコクにはレンタルチャリがあるらしく、私はとても楽しみにしていたのだが、情報収集がうまくできず断念。

自転車は自分の意志で移動するから土地勘がつくし、景色も最高度に味わえるから一番乗りたかったんだけど、残念。

次候補として私が目をつけたのはバイタクだった。

■バイタク ~地上最速の移動手段、のはずが……

私はバイクの国・ベトナムに在住している。

よく知られていることだがベトナムではマジで何でもバイクだ。
客も赤子も犬も冷蔵庫も、何でもバイクで運ぶ。


サイゴン人は一人一台バイクを持ってるし、私のようにバイクを持たない在住者の足は、バイタクだ。
日本から派遣された駐在員やその家族はバイクを禁じられており、運転手付きの車なりタクシーチケットなりを渡されることもあるそうだが、もし私がバイクを禁じられたら一瞬でホーチミンを嫌いになると思う。(タクシーは遅いし、車は嫌い)

バンコクのガイドブックにも、「バイタクは事故が多いし保険もおりないから乗るな」と書いてあるが、私は東南アジア在住者用のバイク事故対応保険に入ってるので問題ない。

私がバイクを愛する理由は、景色が近いこと、ドアトゥドアで移動できること、速いこと(渋滞に強いため市街地では基本的に車より速い)、乗り心地がよく適度にスリリングなことなどだ。配車アプリを使えば行先も誤解なく告げられるし、値段も自動的に決まるのでぼったくりも無い。アプリをつけっぱなしにして乗ればどこを走っているか分かるから土地勘もつく。

事故に関しては、私に起きたら100%、起こらなければ0%なので、この半年の私の事故率は0%だ。

というわけでベトナムでヘビロテしてる配車アプリ「Grab」をバンコクでも試した。のだが……

Grab……高いし遅い……

ホーチミンならどこでも2,3分で来るドライバーが、10分たっても来ない。バンコクは車とバイクが半々ぐらいで走っていてそもそもタクシードライバーが少ない上に、渋滞がすごいためだと思われる。

値段に関しては、熾烈なアプリ間価格競争が起きているベトナムに比べて、バイタク利用者が少ないバンコクでは値段も高めなのだと思われる。

なんか、タクシーと同じぐらいするんだよ……タクシーより速いのは利点だけど、冷房も効いてないし大荷物も持てないバイクで、タクシーと同じ額払うのは癪……

ということで素直に、観光客の王道の足、トゥクトゥクとタクシーを使ってみることにした。

■タクシー、トゥクトゥク ~めちゃめちゃフッかけられる


バンコクは、タクシーとトゥクトゥクが大量に流れている。
だからつかまえるのは簡単なのだが、フッカケがすごい。

だいたい、3台に2台はメーターを拒否し、相場の3倍をフッカけられた。いちいち交渉するのはしんどいし、交渉成立するタクシーを見つけるまで結局10分ぐらいかかったりして、これなら電車の駅行くのと変わらないなと思ってしまった。
バンコクは観光地として一流である分、スレたドライバーが多い印象だった。
ホーチミンは観光地として二流だが、その分ボッタクリも少ないし、そもそも2大タクシー会社に乗れば100%メーターをつけてくれる。

(バンコクも、私が知らないだけで必勝タクシー会社があるんだろうか……しかし旅行前にざっとググッてもイマイチ分からなかったのだよ……)

そんな風におそらく全ての移動手段を試した私の結論は、
「バンコク、全交通手段イマイチ」。

どれもそこそこ発達してるけど、どれも干渉しあって一長一短だ。
それはすごく東京に似てる感じがした。

ホーチミンの場合は「バイク一強」、道を走っているのもほとんどバイクなので、渋滞したところで意外と所要時間は変わらなかったりする。バンコクのように、バイクと車が混在する方が、混乱が起きやすいように思う。

そんなわけで、3泊4日で最適な移動手段を見つけられず、移動中常に「びみょーだなー」と思いながら過ごした道中であったが、それとは別に、都市の「見た目」が私に与えた影響も大きかった。

■バンコクの風景が東京に似すぎててテン下げした件

今回の旅で、交通と、それに伴う景観がいかに私のテンションに影響を与えるかが分かった。
バンコクがなんとな~く私に与えた嫌な感じが、東京が私に与えていたそれと極度に似ていたのだ。

(私、「海外ならどこでもいいから移住したれ~」って感じでホーチミンに住み始めたけど、「バンコクじゃなくてマジで良かった」と何度も思った)

初日、空港から乗った電車をマッカサン駅の乗り換える時に見た風景が日本と酷似しており著しくテン下げして、観光するMPがゼロになってしょっぱなからマッサージ屋に行くほどだった。

エアポートレールリンク (バンコク) (トリップアドバイザー提供)

バンコクの電車は一部高架なのだが、主要道路の上に高架がかぶさって景色が暗く、重くなってるのが、東京の246号線に首都高が覆いかぶさるのとそっくりであった。

そして私は車が嫌いだとはっきり知った。トゥクトゥクはマジかわいいけど、21世紀の車の見た目の大半が嫌い。

※トゥクトゥクはかわいい。

(ちなみに、バイクはどんなデザインであれそもそも形が可愛いなーと思う。)

あとバンコクには私の嫌いなショッピングモールがたくさんある。
都市として発達してるから単純にモールが多いのだが、「もう要らんだろ」ってほどある。

なんか、全体的にゴタゴタしてた。街の成長速度に比してインフラのサイズが合っていないというか、成長期の子供が成長痛にうなさなれながらバキバキ骨を大きくしてるような、そういういびつさを、街全体から感じた。もちろんどの街にもある程度のいびつさはあるものだけど、いわゆる「ゴミゴミ」具合が、本当に東京によく似ていた。

ところで私は、ホームであるホーチミンが大好きだ。
ホーチミンは、何もかも手っ取り早い。道で何でも買えるし、バイタクは秒で拾えるし、すべてがむき出しで手っ取り早い。

街の規模が大きすぎない。便利さが必要十分である。
(イオンに行けば何でも買えるが、イオンしかない、って感じ)

便利にしようと色々作って逆にごちゃごちゃして手っ取り早さを失った祖国とバンコクは、本当によく似ていた。

■エピローグ

市街に電車がまだないホーチミンだが、近いうちに地下鉄が出来る予定だ。

ベトナム人は隣国タイにライバル意識を燃やしがちなので、はやく自国にも地下鉄が欲しいらしいが、しかし私は
「うーん、一本出来ただけじゃそんなに便利じゃないよ地下鉄」
とよく思う。

バイクのドアトゥドア移動に慣れ切ったベトナム人が、駅までバイクで行って、バイク駐めて、駅まで歩いて電車乗るまどろっこしさを享受するかどうかはとても興味がある。

そして、電車に乗ったベトナム人も、日本人みたいにムッツリな態度をとるのかどうかもぜひ知りたい。

バイクで信号待ちの時に隣り合った見知らぬ人とよく会話してるサイゴン人は、電車でもそうするのだろうか。



渋澤怜(@RayShibusawa

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2018.8~ベトナム・ホーチミンで日本語教師をしています。ベトナムの言語、風俗、気候、国民性などに関する気付きを書いています。
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