【即興実験小説】真実のボーイ、寝室の行為、淫靡、野放図、口実と構図(1時間・395字)

まだ一緒に勉強していたころ、約束したのだ。
一緒になれる日まで、互いを裏切らないと。
法や、家族や、その他の制約がなくなったら、必ず結ばれるのだと。
指きりげんまん、小指を絡めた。
でも約束は破られるためにあるとまもなく僕は知る。
社会に出て、別々の会社で働き始めた奴の小指は、女を示すために使われる。今日、これがアレなんで、お先です。

約束なんかしなければよかった。十代の頃は、約束すれば、担保すれば、たとえ言葉だけでも何かで縛り合えば、永遠が得られると思っていた。

小指なんかなければよかった。
今からでも遅くないだろうか。
昔の遊女は、男に誓いを立てた時、指を切って相手に送ったという。
小指を氷水で冷やし、完全に感覚をなくしてから、よく研いだ包丁を一気に振り落とすと、その時初めて見えた。
血しぶきではない、赤い糸を。
つまり、切ってしまったのは僕の方だったのだ。


渋澤怜(@RayShibusawa

▼ ● ▲ ▼ ● ▲

お題:真実のボーイズ  必須要素: 奴の小指
制限時間:1時間  文字数:395字
http://sokkyo-shosetsu.com/ このサイトを使っています。

▼ ● ▲ ▼ ● ▲

#小説 #短編小説
#芸術 #実験小説 
#前衛小説 #詩 #短編

渋澤怜のおすすめ創作群 https://note.mu/rayshibusawa/m/m70e04479475e

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

スキを押すと、短歌を1首詠みます。 サポートされると4首詠みます。

今日中って言ったら明日の朝までに送ればいいのは太陽のせい
8

超短編小説・実験小説・詩・純文学etc

短めの小説がたくさん入っています。実験小説、即興小説、朗読ライヴの元ネタ、文体の研究などなど。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。