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海外PR動向レポート2022年5月:TikTok発表-93%のユーザーが動画を見た後にアクション、CarvanaがZoom、Eメールで従業員を解雇、ロシアに留まったブランドについて消費者が感じること

皆さんこんにちわ!
近年、経営層・管理職がカバーすべきコミュニケーション領域はかつてないほど多様化し、広報やマーケティング部門が果たすべき役割が増えています。
コミュニケーション戦略における効果的なアクションは、広い領域に関する深い知識が必要ですが、海外のPR動向を把握することはその手助けのひとつになります。今回は、個人的に最近気になったニュースをいくつかピックアップしてお届けしたいと思います。

①TikTokが発表した新しいレポート

TikTokが発表した新しいレポートで、テレビやSNSなどさまざまなチャンネルを組み合わせたマーケティング戦略が、効果的であると示されました。

出典:TikTok”Supercharge your video entertainment strategy”より

【要約】
・47%のユーザーがTikTokを「とても気にしている」と回答、競合プラットフォームと比較して21%増。
・93%のユーザーがTikTokの動画を見た後、何らかのアクションを起こしたことがある。
・67%のユーザーが、TikTokの広告が他のプラットフォームより10%優れていると回答。

消費者の選択肢が増えたとはいえ、従来のテレビはメディアの中で大きな影響力を持ち続け、今後もマーケティングの柱であり続けるでしょう。
しかし、消費者の関心が新しいプラットフォームに広がれば広がるほど、マーケティング戦略もまた変化するはずです。
メディアのこのような流動的な環境の進化をキャッチし、ブランドにとって最適なミックスメディアマーケティングの戦略を実践する必要がありそうです。

②CarvanaがZoom、Eメールで従業員を解雇

オンライン自動車販売会社Carvana(カーヴァナ)は、2022年に入ってから株価が87%下落したことを受け、2,500人の労働者を解雇しました。労働者の多くが電子メール、またはZoomで解雇を通知されたとしています。

出典:yahoo news "KNXV - Phoenix Scripps Carvana lays off 12% of workforce, many over Zoom"より

(CBSニュースより)
"とても無礼だった"
取材によると、このZoomによる解雇通知では、事前に用意された台本が読み上げられ、質問することは許されなかったそうです。
Carvanaのスローガンの1つは、「自分の母親を扱うように顧客を扱う」だが、従業員としてそのように扱われなかったと、解雇されたジェイ・ロメロさんは述べています。
Carvanaの広報担当は、"できる限り直接の対話を行ったが、不可能な場合は、Zoomを使用した"と述べ、"全ての会話がZoomを通して行われたわけではありません。"と付け加えました。

企業の理念と従業員への接し方が一致していないことは、ブランドにとって良いことではありません。社内コミュニケーションや従業員コミュニケーションは、広報や社外メッセージとして再利用されることが多くなってきています。従業員への配慮に欠けた対応で、会社の評判を落とすことのないよう気をつけたいものです。

③ロシアに留まったブランドについて消費者が感じること

モーニング・コンサルタントによる最新の世論調査では、ロシアに留まった企業の好感度は18%で、全面撤退(27%)や事業縮小(38%)よりは低いが、侵攻直後の2月末に測定した同指標(19%)とほぼ同じであることがわかりました。

出典:Morning Consult”For Companies That Stayed in Russia, the Risk of Reputational Blowback is Strong When and Where Awareness is High”より

ほとんどの企業にとって、ロシアのウクライナ侵攻への対応によってブランド好感度が変わることはないということが、データから読み取れます。
しかし、特定の企業に対するメディアの集中的な注目や、ロシアのウクライナ侵攻の影響をより直接的に感じている消費者グループの間で、認知度が高い場合には、評判に対するリスクは高いとしています。

グローバルカンパニーにとって、コミュニケーション戦略における効果的な予防対策は、レピュテーションコントロールに必要なことになります。
対処、回復のそれぞれに必要な機能を平時より準備し、事業継続を脅かす要因をまとめておくことは、レピュテーションコントロールを適切に実現するために必要な前提条件となります。


【書いた人】
大杉 春子/コミュニケーション戦略アドバイザー

PR会社(レイザー株式会社)代表 民間企業・地方自治体・省庁などのパートナーとして、PR戦略の策定から広報物の制作監修まで支援。SDGs/ESG視点からの「攻める」コミュニケーション戦略と、「守る」レピュテーション・リスク管理の2軸から広報の施策をサポート。2020年に専門家らとともに、日本リスクコミュニケーション協会を設立し、リスク管理から危機管理広報までを網羅した、リスクコミュニケーション人材の育成を展開。

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