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好きなことをビジネス化~JAIST社会人セミナー

JAIST社会人セミナー2018 地域人材育成セミナー。
2019年2月13日に開催されたのは、

好きなことをビジネス化
 ~するための社会型キャリアプランニング~

講師は、ことばサポーターなぐね・代表の高野康夫さん。個人事業主として、北海道内で講師・通訳ガイド・翻訳など、韓国語のニーズに柔軟に応える多種多様な活動をされています。

講師:高野康夫さんの略歴

北海道出身、地元の大学を卒業後に韓国へ渡り、日本語教師を4年務められました。帰国後は私立高校教員、ウェブデザイン・翻訳会社や旅行会社の勤務を経て、フリーランスとなり「ことばサポーターなぐね」を開業されて現在に至ります。

「なぐね」とは、韓国語で「旅人」という意味だそうです。
大学卒業時の教員採用試験に失敗したことが韓国へ渡るきっかけのひとつになったこと、失敗による遠回りが自身の次のステップへつながったこと、固定的な教室を持たずにすべて自ら出向いて仕事をするというスタイルにちなんで、ご自身の屋号とされたとのことです。

好きな気持ちは変わっていく

高野さん自身、小学生の頃から大学生時代にかけて、いろいろなものが好きになっていった、自分が好きなものは変わっていったというエピソードから…

「いまの好きなことは数年後も好きでいられそうか?」を問うことが、はじめの考えどころである、という話に続いていきました。いま好きであっても、その「好き」は少し先には変わり得るということを念頭に置いて考えてみよう、想像してみよう、ということです。

「好き」を見える化

さらに「好きなもの」「好きなこと」を、わかりやすくアピールすることが大切です。例えば、資格を取得すること、SNS等で発信すること、人との出会いの場でPRすることなど、手段はいろいろとあれども…

如何にして自分の「好き」を伝えるか、認知してもらうか。見せ続けるか。広くオープンに考えていくわけです。

また、名刺は自分のショップカードだという発想も紹介されました。自分の肩書きだけではなく、「好き」や、取り組んでいることを端的に示すものとして扱うわけです。

好きなのはいいとしても…

好きなことをビジネス化する、あくまでも自分の仕事としていくとなると、単純に「好き」だけで本当にやれるものなのか?やれるはずないんじゃないの?と、なんとなく疑念が生じる人も多いのではないでしょうか?

高野さんから話されたのは、ただ好きなことがあるだけではなく、「現在自分ができること」「過去に自分がやってきたこと」を、好きなことに加えて掛け合わせて考えるということでした。

自分がこれまでにやってきたことは、良かったことであっても、そうでなかったことであっても捨ててしまわない。それらはこれからも何らかの形で活きるであろうという意識も大切というお話もありました。

仕事か?趣味か?

最後に肝心な考えどころをズバリと提示されました。

先に述べたように、「好き」が変わるのだとしたら…?

ビジネスは、すぐにやめるわけにはいきません。仕事にするにあたっては、「好き」じゃなくなってもやめずに続けられるだろうか? 趣味だったらいつでもやめられるけど…

そこを考えないわけにはいきません。

ここは、本セミナーの進行役であったJAISTの敷田さんが、セミナーの最後にコメントされたことがヒントのひとつになるでしょう。先にご紹介しておきます。

自分の一番好きなものを大事な仕事にしない。
大事な仕事にはしないことによって、自分の好きなものに対する「好き」の気持ちが削がれてしまったり、他者からコントロールされてしまうリスクを下げる(仕事は他者からコントロールされるものである)。

セルフブランディングのための習慣

セミナー後半は、高野さんの講義を踏まえて「自分をブランディングする大事な『習慣』」を3つ以上挙げるグループワーク。各グループから多種多様な考えが出てきました。

・いつまでも動ける身体を保つこと
・笑顔でいること
・人の話をよく聴くこと
・自分に素直であること
・常にポジティブであること(悪口を言わない)
・相手によって態度を変えないこと
・自分の価値を常に考えること
・自分の価値を分かってもらう発信をすること
・自分の発信に「好き」を盛り込むこと
・自分の仕事に誇りを持つこと
・準備をきちんとしておくこと
・仕事や発信をやりっぱなしにしないで振り返りをすること
・自分の好きなことに対する考えを深めること
・自分自身に適正価格をつけること

シンプルでありながらも深いことばかり。
いろいろな人の考えを共有できました。

「好き」とビジネスを育むために

セミナー終盤、高野さんからの講評や質疑応答の中から、「好き」をビジネスにして継続していくことの勘どころが見て取れました。基本的な心得と言ってもいいかも知れません。

・自分の心を豊かにしてくれるのは「人との出会い」
・自分と他者の「似ているけど違うところ」におもしろみを感じること
・いざビジネスにするとなったら、コツコツと準備をすること
・自分に値段をつけること(安売りをしない!)

自分の「好き」もビジネスも、人との出会いによって生じて育まれる。育まれたものが幸せをもたらす。その幸せによって、自分の「好き」とビジネスが育まれていって、人との出会いをさらにもたらす。それが自分の心を豊かにしてくれる。自分の「好き」が続いていく…

JAISTの敷田さんが最後の締めにコメントされたことが、そのような循環を連想させてくれるようにも思えます。

なにかを好きになるときには他者の存在があること
他者を幸せにする幸せがあること

所感

終始スピーディーでテンポが良く、ユーモア感溢れる講義でした。
自分もこんなふうに軽妙な語り口で話したい!笑いを取りに行きたい!そんなうらやましさをずっと感じながら講義を聴いていました。
それはさておき…

自分の好きなことに対する気持ちというものは、とかく「いま好きだ」「いまおもしろい」という、いまの自分の気持ちの盛り上がりや勢いだけで済ませてしまいがちです。

だけども、そんな「ハマっている」「マイブーム」みたいな感覚だけでは、仕事として続かない、成り立たない。言われてみたら確かにその通りで、至極当たり前にも思えるのだけども、じゃあどう考えたらいいの?というところの第一歩を示していただけたセミナーだったのではないかと感じられました。

「好き」は変わり得るもの。ビジネスはそう簡単にはやめられない。だから、何年か先も「好き」でい続けられるかを問うて、ビジネスにしていくだけの継続性が自分の中にあるかを見極める。

さらには、「好き」は変わり得るものだという意識を持つということは、「これしかない!」と、いまこのときの好きな思いだけで自分の可能性を固めてしまったり狭めてしまったりしないということでもあって、それは、柔軟な生きかたを考え続けることにもきっと通じるのでしょう。

JAIST社会人セミナーについて

JAIST(ジャイスト)とは、北陸先端科学技術大学院大学の略称です。
この大学自体は石川県能美市にありますが、金沢駅前の日航ホテルに隣接する「ポルテ金沢」のオフィス棟の中に、金沢駅前オフィスとしてやや小規模な研修スペースがあります。

JAIST社会人セミナーは、毎月後半の水曜日に開催されています。
セミナーの趣旨は「社会課題の解決をデザインする」で、以下のようなニーズに応えるための人材育成・地域貢献です。

社会から:地方創生・地域再生したい
産業から:コラボできる専門人材が必要
個人は :自己投資として学び直したい

事前の申し込みは必要ですが、受講にあたっての前提知識や資格のようなものは特にありません。誰でも無料で参加できます。

自身の業務・活動などへインプットするための学びとしてのみならず、地域人材に関するニーズ、新しい育成方法など、最新の人材育成について意見交換する場として有益なセミナー、ぜひどうぞ!

北陸先端科学技術大学院大学ホームページ:
 https://www.jaist.ac.jp/index.html

JAIST社会人セミナー案内(事前申し込みはここからできます):
 https://www.social-jaist.com/


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