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まだ言葉にならない感覚に焦点を~フォーカシング

石川県金沢市。石川県庁と金沢港の間のあたりにあるコミュニティハウス・シェアマインド金沢で、月に一度開催されているセルフケアセミナー「ゆらっく」。2018年7月開催のセミナーへ参加したときの話です。

はじめて参加してからまる1年になりました。
今回のテーマは「フォーカシング」。

案内文の中にこうありました。

今ではフォーカシングは、人の自己探索と自己発見を支援するための傾聴などの基礎トレーニングとしても重視されています。

傾聴などの基礎トレーニングとしても、と...
さらに、カウンセリングの効果についての言及もあるようだ…

…ということで、今後の重要なキャリアのひとつにするように考えているメンタルヘルスカウンセリングの勉強や実践にも取り入れられるものがあるに違いない、という期待をもって参加しました。

セミナーの流れ

セミナーのイントロ【ウォーミングアップ】
今回はいつもの「お題」のカードは登場しませんでした。カードの代わりに唯さんがおもむろに取り出したのはこういう本!

この本から気になる言葉をひとつ選んで、その言葉に対して思うこと感じることを話していくという趣向

<「日頃見聞きする言葉」が自分の思考に影響する>

ここでわたくしが本をパラパラと見て目に止まった言葉は

クララが立った!

違う!そんなセリフは書いてない!

これまでがこうだったから今これからもそうだ、ではない。
これまではともかくとして今、これからどうするかを考えて実行していくことが大切

という思いにつながる、ある哲学者の言葉でした。
昨今の自分が追い求めている意識につながる言葉を選ぶものだなあという感じでした。

うーん。常日頃からどういう言葉に触れているか。
それは人間にとってとても大切なことだな。やっぱり...
それが、知らず知らずのうちに、自分の思考や発する言葉に影響していくもの。

<自分が望むものを想う>

続いて【マインドフルネス】のひととき。
ここでも、いつもとは違った趣向が取り入れられました。

ちょっとした瞑想中に、講師の福多唯さんが発するいくつもの言葉から、今の自分にとって心地よい言葉を見つける。

その言葉のように思える「場所」はどんなところか…
そこにいると何が感じられるか…
どんな気分になるか…
身体はどんな感じか…

そういうことを覚えておけば、望めばいつでもそこへ行って、心地よさを味わえる。

ここではわたくしは…

自分の家や誰かの家、そのくらいの小さなスペース。そういう場所で、ひとりでもいいし、数人くらいの人が居て会話をしていたりそれぞれのやることをやっている、適度な距離感でそういう気配を感じられることが、自分にとって心地よい

そう連想しました。

あまり大きな、多くの人がいるスペースでは長くは心地よくいられない感じ。実際の行動でも、そういう場所が心地よくリラックスして過ごせるし、自分の持つ能力が活性化される感じがするのだな…ということもあらためて確認することにもなったのでした。

<フォーカシングを知る>

メインテーマに沿った【ワーク】へ。
フォーカシングのさわりをやってみます。

フォーカシングとは、アメリカの心理療法家であるカール・ロジャーズと共に活動していたユージン・ジェンドリンによって発見された、生活に対する前向きな変化、問題や気がかりの解決を指向するための自己発見・自己探索の方法ということです。

自分の「まだ言葉にならない何らかの感覚」に焦点を当てて、その感覚を自由に書いて(描いて)いくという試みです。

「自分の中の、何か注意を向けてもらいたがっている、迷えるひつじちゃん」そのひつじちゃんが自分の中のどこにいるかな?

それを、言葉でもいいし、絵やイメージでもいいので、書き(描き)現していく。そうしていくことで「言葉にならない何らかの感覚」に自分がすっぽりと囚われてしまう(左)のではなく、自分の中に収める(右)ことができて、落ち着きを保つことにつながるということです。

えーと。これは、講師の福多唯さんが過去に別の機会に描いたものを今回の資料に使ってみた、というひつじちゃんのイメージ。

ひつじちゃんにはみえにくいけどひつじちゃん!
ほおーら。ひつじちゃんに見えてきた...
(そういうことではない!囚われるなっ!)

<傾聴の姿勢を身に着けるためにも有意義かも>

わたくしを含めた男性参加者は「言葉」とその流れで表現していましたが、女性の参加者は「絵」で表現されていました。表現の傾向にはっきりと違いがみられたことにとても驚き、感覚の違いが新鮮で興味深く感じました。

ここで自分が最も気がかりになったのは、これからの近々の生活・生計について如何に心地よい状態を新たに築いていくのか維持していくのかということでした。今の自分のなかのひつじちゃんはそこに迷い込んでいる。

自分以外の方々が表出した感覚を見て聴いて、自分なりの感覚に落とし込むこと、講師の唯さんがある参加者に1対1で実際にフォーカシングをやってみるところも見ることができ、傾聴の姿勢としてもとても参考になりました。

フォーカシング。傾聴すること、相手へ反応を返したり相手の感覚を引き出すこと、自分自身の感覚を引き出すことにも必要な手法のように感じられました。これはとても大きな収穫。

「ゆらっく」セミナーについて

ゆらっく とは…

ゆらっく:『あなた(You)』が、『楽に』なれる場所
 「自分としっかり共にいる」
 「自分の声に耳を傾ける」
 「自分とゆっくり対話する」

講師は福多唯(ふくだゆい)さん。
女性護身術「Wen-Do(ウェンドー)」の、日本人初、かつ唯一のマスターインストラクターとして、女性専用のセルフディフェンスの普及活動に取り組んでおられます。企業や教育機関などでの教育・講演も多くの実績を残されています。

セルフディフェンスから派生した「いろんなパワー(外圧)に対する心的防御」として、日頃の自分の心持ちを整理する、また、自分の内なる声に耳を向けて、自分の思いや感覚を大切にすることが、日頃のセルフケアとしてスムーズに取り入れられるようになるためのセミナーでもある、とわたしは捉えています。

参加者数人レベルの場だからこそ、自分の思いを言葉にして話すことで、他者に共有してもらいやすい。それと同時に、自分自身にもはっきりと意識づけていくことができるようになる。そういう意義をも感じるのです。

日常のこころのセルフケアのヒントをやさしく知って体験することができる。それにはうってつけの場であると思います。

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