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【ワーホリ@ながの】声劇・ボイスドラマ台本 〜ODDO coffee〜

皆さん、こんにちは!
ワーホリでR-DEPOTに来ている髙橋恵歩(あやほ)です。
私は長野に来てたくさんの素敵なお店や店主の方に出会いました。そこで、お店を訪れる人に今以上に愛着を持ってもらいたい、これからお店を初めてみたい人の背中を少しでも押したいという気持ちで、ご縁があった店主の方にどんな思いでお店を始めたのかをお聞きして発信することにしました。
声劇・ボイスドラマとは、映像がなく、効果音やセリフなどの音のみで構成された作品のことです。
台本制作のより詳しい経緯は前回のnoteをご覧ください!


目安6分

()描写 SE
(M)モノローグ 心の声
「」台詞

登場人物
・翔太さん
・高校の友人A
・大学の友人B
・一緒にお店を動かす友人C
・一緒にお店を動かす友人D
・一緒にお店を動かす後輩E
以下敬称略

翔太(M)「高校2年生の頃から珈琲が好きだった。おばあちゃんと行った掛川の雑貨屋さんで売られていた珈琲器具。なんかかっこよくて、うまく珈琲を淹れられるようになりたくて、器具と豆を買って帰った。最初は全然うまくいかなかったけど、焙煎からやってるお店で引き立ての珈琲を飲んでみると違いがわかった。おもしろい。
大学生になったら、カフェでバイトするぞ!」

(チャイム)

友人A「翔太はさ、大学どこにすんの?」

翔太「んー、英語好きだし、こんな田舎出て海外行きたいなーと思っててさ。私立とかは無理だけど、長野の県立大なら新しくて留学もできるっぽいんだよね。長野って程よく都会じゃないし、地震とか津波とか心配なさそうだし。ここがいいかもなー。」

◯進学後

(扉が開く音)

友人B「お邪魔します〜」

翔太「どうぞ〜。珈琲飲む?」

友人B「飲む!」

(飲む)

友人B「美味いな。バイトでもコーヒー作ってるんだっけ?」

翔太「そう。スタバ辞めて、今は内山珈琲。日本のスペシャリティコーヒーを牽引してる珈琲屋さんなんだよ。でも駅中の忙しない中で、珈琲屋さんとして出したい価値もあるっていう葛藤があってさ。バイトしてて最近辛いんだよ。辞めようかな...」

(電車の音)

友人C「せっかく4人で博多旅行だ!と思ってたのに2人か〜。」

翔太「コロナだし、自粛されても仕方ないよ。2人でコーヒー巡りも楽しいでしょ。」

友人C「まあね。」

翔太「てかさ、2年の夏に海外研修プログラム行ったじゃん。海外は学内にカフェとかバーとかあるのいいなって思ったんだよ。県立大にも作りたくね? サークルとか立ち上げてさ。」

友人C「おぉ、作りたい!トライアングルの3人も古着頑張ってるし。」

翔太「でもコロナで厳しいよな。サークルは諦めて、この4人でオンラインショップとかやってみる?」

友人C「いいね!」

(タイピング音)

友人D「あ〜、うまくいかないなぁ。」

翔太「商品の写真、一眼で撮ったやつに変えてみたんだけどな。」

後輩E「たくさん似たようなお店がある中で、顔も見えないのに選んでもらうのって難しいですよね。」

翔太「露店やってみる?やっぱ顔見て売りたいし。」

(がやがや人の声)

友人D「や〜イベント出店楽しいな。」

翔太「ね。でもやっぱ店舗ほしくない?習慣的に来てもらいたいよ。」

友人C「じゃあ、中央通りで間借りしてみる?あ、あと駅前にも珈琲屋さんできたらいいなって話があるらしくてさ、そっちも挑戦できそうだよ。」

翔太「まじか。じゃあ、間借りしつつ駅前の店舗の準備しようかな。」

友人C「その駅前の店舗で、靴屋さんがもう2月にプレオープンするみたいよ。それに合わせるなら...もうあと2ヶ月くらいだよ!」

翔太「やるしかない!とりあえず3年生終わったら休学するとして、お金のこと全然わかんないから資金はコンサルの人に伴走してもらって、信州スタートアップステーション*使って、銀行から借り入れもして...」

友人C「急に忙しくなるな...頑張ろう。」

翔太(M)「こうして4人でODDO coffeeと名付けたお店を動かしていくことにした。意見を複数人で出し合ってやった方がいいモノをつくれると思ってたんだ。でも実際は、1が集まって4になるようなチームじゃなくて、1/4が集まってやっと1になるようなチームになってしまっていた。しかもみんなちょっとずつ違う方を見ていてバラバラ。
もともと最終的には1人でやるつもりだったし、次の年の1月からは1人でやることにしたんだ。」

翔太(M)「1人になって毎日お店を見ていると、ここちょっと違うなってところが見えるようになってきた。それをひとつずつ改善していったらそれなりにお店になっていったんだ。学生だったころは身の入り方もお店と学業で五分五分になってたけど、卒業してからはお店に専念できるようになったし、コロナも収まって順調になった。」



翔太(M)「でも変えられる部分と変えられない部分が見えてきた。ここからはちょっと未来のお話。ODDO coffeeはひとつの自分の成果として幕を下ろして、移転するつもりなんだ。新しく名前も変えて、ゆったりした柳町の住宅地の中で。名前にはアウラっていう言葉を入れる。美術用語でその場にしかない一回性における価値という意味なんだ。浅煎りは分量や時間を研究して化学的に味を作り出すから、淹れる過程がこなすべきものになってる。でも、珈琲を淹れている中での香りや風景にアウラがあると思う。だからお店には珈琲を淹れているところが見えるようなカウンター席がほしい。
あぁやっと、やりたかった珈琲屋さんができそう。訪れた人がアウラを感じられるようなお店が。」

*信州スタートアップステーション


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