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あなたは本当にエンジニアですか?海外で「私はWebエンジニアです」と名乗ると「経済学部卒なのに?」と聞かれた理由。

結論
・「私は博士です」「博士課程修めてないのに?」と言われてるようなものです。
・ 無資格だと僭称もしくは無知扱いされる可能性があるのでやめたほうがいいです
・ 日本も批准しています

エンジニア(Engineer)とは

海外のWebを仕事にする方々のTwitterの自己紹介文をみると、「Web Engineer」と書かれているのは稀で、多くは「Web Developer」「Web Programmer」と書かれています。「#駆け出しエンジニア」というハッシュタグが流行るぐらいに気軽に「エンジニア」という言葉を使うのは日本国内の事情のようです。

実際求人をみてみても「エンジニア特化求人」「【エンジニア】の派遣求人」で年収300万や時給1,000円程度のものを見つけることができます。私達が日常で使う「エンジニア」という言葉は特定の資格を示すのではなく、どうも職種というか業務内容を示しているようです。しかし、Wikipediaで「ITエンジニア」を調べると以下の表記を見つけることができます。

国ないし文化圏によっては、いわゆるギルド的な制度により専門教育の修了ないし同等と認められなければ名乗れない場合もあるほどであるが...

国ないし文化圏により「エンジニア」の意味が変わってくるとのことです。では、日本は「認められなくても名乗れる」のでしょうか。

IT業界においての世界的ギルドとして「International Engineering Alliance(IEA/国際エンジニアリング連合)」があります。高等教育機関における教育の質の保証と、国ごとに品質が変わらないこと、それによってどこの国としてもプロフェッショナルとして働けることを目的に結成されたギルドです。

そして、日本もIEA協定に署名しています。

エンジニアを名乗るために必要な資格

もう少し詳しくみていきましょう。IEAでは、「IEA Graduate Attributes and Professional Competencies(卒業生としての知識・能力と専門職としての知識・能力)」というPaperをだしています。

(noteでタイトルを取得できませんが、日本語訳のPDFファイルです)。

これによると、IEA制度で認定をうけるためには、それは教育機関により国際的に実質的な同等性が保証されていないといけないとなっています。つまりは専門機関もしくは資格がないと名乗れません。ちなみに日本の「情報処理技術者試験」や「技術士」だけでは名乗れないとのことです。

また、IEAによると「エンジニア」以外にも「テクノロジスト」「テクニシャン」があります。日本技術者教育認定機構によると、以下が定義されています。

技術を担うもの (engineering practitioner)は、知識の応用と構想力を中核能力とするエンジニアengineer、技能を中核能力とするテクニシャン technician、両者の中間的性格をもつテクノロジストtechnologistの三つの職務に分類されます。

IEAでは、以下のように区分しています。

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「エンジニア」はトップレベルの技能位置しています。JABEEN会長の大橋氏は2006年に

・ エンジニアは工学系の学士課程「以上」
・ テクノロジストは工業高等専門学校「以上」
・ テクニシャンは技能訓練学校「以上」

で、かつ検定をとった者と述べています。今だと、JABEE認定カリキュラムを持ってる大学も出てきていますね。

ちなみに工学のiNARTE PS Engineer/Technicianの試験受験資格は以下の通りです。

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メリットってなんだろう

私はWeb Engineerを名乗っていません。仕事的には、社会問題に技術でアプローチし、設計し、実装してるのでかなり近い仕事をしているはずですが、実質的同等性のある専門教育・認定を受けていないからです。そして、その上で名乗っても、僭称もしくは無知扱いされる可能性があるからです。

修士課程でてないのに修士、博士をもっていないのに博士を名乗ってたらおかしいですよね。それと同じです。IEAを知ってる人にはバックグラウンドを聞かれ、知らない人はWeb EngineerとWeb Developerを区別しないので、資格がないのに名乗ることはメリットなく、デメリットしかないと思っています。

個人的には「エンジニア」という言葉が乱用されるよりも、「エンジニア」という資格が差別化することによって、IEAが目指すような「エンジニアは高給取り」「標準化によってどこの国で就職しても同様の待遇を受けることができる」「エンジニアが憧れのポジション」になるような未来が好ましいなと思っています。

それでは、また。

追記

個人的には、JABEENの大橋前会長の「日本にエンジニアは何人いますか?」というコラム(当時会長)が好きです。ぜひこちらも合わせてご覧くださいー。

(情報処理技術者試験の主催を間違っていたので訂正しました)

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