見出し画像

歩幅が変わっても

2020年3月。コロナ禍。忙しくなったほうの仕事。

地元で大失敗した私は全てを捨てて新天地で新たな仕事を始めたばかりでした。
増える仕事、疲弊する社員。毎日別の先輩が泣いている。業務が逼迫する中、自分の仕事だけでもキャパオーバーな新人の私。役に立てない。迷惑かけたくない。足引っ張りたくない。
家族にも友人にも告げず、ひっそりと無職になることを決めました。

そんな折、目にしたヒプノシスマイク無料生中継の文字。新型コロナウィルス流行の影響で無観客になってしまった5thLIVEがAbemaで無料配信されたのです。
以前から友達が面白いと言っていたのと、CreepyNutsが関わっていたため(ANNのリスナーだった)薄っすらと気になっていたヒプノシスマイク、この機会に見てみようと軽い気持ちでした。

3月29日。知らない声優さんばかりの中、出てきた一人に釘付けになりました。とても綺麗な人。キャラクターも全然知らないながら、圧巻のパフォーマンスと惹きつけられる曲のパワーにより楽しむことができました。番組を見終えて調べてみると、あの綺麗な人が演じているのは碧棺左馬刻というキャラクターだということがわかりました。サマトキサマ。聞いたことある。ヤクザ?44歳!?(演じる浅沼晋太郎さんの当時の年齢)い、妹想い!?!?!?
そこからは碧棺左馬刻に夢中です。私はギャップにめっぽう弱いのです。

退職し何も失うものがなくなった私は、最後にやり残したこととして、昔からの夢を叶えるため学校に通うことにしました。この先どうなるかわからない世の中。向いてないからと諦めていた就けるかもわからない職業。学費で減っていく貯金。収入は0。
絶望的な状況で希望もお金も無かったものの、授業以外は家に引きこもっていたため時間だけはたくさんありました。YouTubeでリリックビデオを見て、Spotifyで曲やドラマパートをひたすら聴き続けました。全て無料です。
課金していないためシャッフル再生。ドラマパートもバラバラの順番で聞いたものの、だんだんストーリーやキャラクターがわかってきました。

そうして私の生活はヒプマイ一色になりました。コロナ禍だったこともあり学校の先生以外誰とも話さずヒプマイを聴き続ける日々。
そんな時、Spotifyで再生されるなかに気になる曲がありました。Gimme  The  Mic。シャッフルで別アーティストの曲が流れてくることもあるため最初はそれかと思いましたが、調べてみると舞台版ヒプノシスマイクのテーマ曲でした。
2.5次元舞台化していることは知っていたものの、それほど興味がなく曲を聞いたことがなかったのです。

ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- Rule the Stage 、通称ヒプステ。ちょうどtrack.2の公演中だったため、8月12日夜公演の配信を購入して見てみることにしました。そこで世古口凌さんの演技に圧倒されました。キャラクターが現実で生きている…植木豪さんの演出は何もかもが新鮮でお芝居の中で披露された曲も素晴らしいものばかりでした。特に私はフリングポッセの曲Trap Of "Fling" の虜になりました。何度も曲の部分を再生し、千秋楽公演の配信チケットを購入しました。原作ドラマパートのラップに感動したことも相まって気づけばすっかりポ女(シブヤディビジョンのファン)になっていました。その結果碧棺左馬刻推しのポ女というねじれ現象により2nd D.R.Bで大いに苦しむことにもなるのですが、割愛。

こうしてヒプステが大好きになった私はもちろんすぐにtrack.1も視聴しました。これが阿部顕嵐さんとの出会いです。

碧棺左馬刻推しとして、阿部顕嵐さんの名前は聞いたことがありました。元ジャニーズらしい。そりゃそうだろう。左馬刻様は絶世の美人でまつ毛バサバサでなくてはならないのだから。(個人の見解です。)

しかし本当の意味で阿部顕嵐さんの美貌に気付くのはまだ先のことでした。

それからはより一層ヒプマイ漬けの毎日。アプリで漫画を読んだり、ニコ生を見て声優さんがどんな人なのか知ったり、ラップの知識を増やしたり。そうして学校に通いながら就活し、なんとか就職が決まりました。

10月。待ちに待ったヒプステの新作公演が発表されました。なんと4ディビジョンが集結するというもの。シブヤもヨコハマも見られる!迷わずチケットを申し込み、当選しました。

憧れの職業に就いた私は全てが新鮮で希望に溢れていたものの、やはり困難なことだらけでした。学校にも通い続けて疲弊しながら、なんとかヒプマイに支えられて乗り切る日々。

その頃、ヒプマイばかりのタイムラインにたまに流れてくるアカウントがありました。7ORDER project。なにかの企画らしい。グループのアカウントだとは露ほども思いませんでした。


ヒプステtrack.4の公演が始まる前、マツリーというウェブサイトのお祭りでヒプステの対談がありました。演出の植木豪さん、音楽監督のKEN THE 390さん、左馬刻役の阿部顕嵐さん、理鶯役のバーンズ勇気さん。初のヒプステ観劇の予習のつもりで視聴チケットを購入しました。

2021年1月30日。画面の向こうにいたのは真っ赤なチェック柄のド派手なコートを見に纏い、長めのウェーブヘアを靡かせた見目麗しい青年。ここで私は全てを悟りました。
「阿部顕嵐さん、左馬刻様のウィッグで顔の良さ全部殺されてたんだ…」

2月26日、ついに初めてヒプステを生で観ることが出来ました。フェイスシールドが入ったオーディエンスキットを受け取り席へ向かうと、なんと最前列。Toyotakaさんの圧巻の前説が終わって暗闇の中、すぐ目の前に阿部顕嵐さん、の後ろに世古口凌さん。これは現実か?と思っている間に公演は終わりました。あっという間でした。

阿部顕嵐さんのことが気になった私は彼の左馬刻様とは別の姿が見られるというYouTubeを見てみることにしました。確か、当時おすすめされていたのがこのあたり。

とても優しい人なんだなぁ。というか、ちょっと、変…?

やっぱり阿部さん、ファッションセンスも独特っぽい。とにかく仲が良さそうな人達。やたらテンポの良い会話。
田舎の人がいるらしい。

阿部さん以外の顔も覚えられないままいくつか動画を見ていき、ついにその瞬間は訪れます。

重めのイントロ。歌い出す阿部さん。え、めっちゃ歌うじゃん。歌い出す次の人。え、この子(歳下だと疑ってなかった)めっちゃジャニーズみたいな歌い方するじゃん。踊り出す7人。

めっちゃ踊るじゃん…….!


ここでやっと彼らがYouTuberではなく歌って踊るグループなのだということを認識したのでした。ただの面白いお兄さん達じゃなかったのか…。Jr界隈もYouTuber界隈も通ってこなかったが故の盛大な勘違い。

Wikipediaで7ORDERを調べ、全てが繋がりました。
あなた、あの時(5→9)(見てた)の!?あなたはあの時(いいとも観覧)(会ってた)の!?
いつかTwitterのトレンドで見た「全員退所」の文字。

これは…とんでもないところに手を出してしまったかもしれない。

私は幼少期から生粋のテレビっ子でした。家にいる間は常にテレビを付け、ドラマやバラエティをいつも見ていました。小学校時代から大学を卒業するまで、常にジャニオタの友人が側にいました。それでも私がジャニーズにハマらなかったのは、偏に意志が固かったからです。のめり込むと破滅だ(金銭的に)という確信めいたものがあったから。「ジャニーズとホストには課金しない」が私のモットーでした。

こんな形でエンカウントするとは。不覚。
もし彼らが事務所に所属したままだったら、ここで警戒し、なんとか頑張って引き返そうとしたことでしょう。
しかしくぐり抜けてしまった。油断したのです。

この辺りで新たに気付いたこと。

この人たち、楽器も演奏する!!


しかも全員歌うしサックス担当がいる。
かつて吹奏楽部でサックスを吹いていた私に刺さるには十分すぎました。

Love-tuneの映像を見始めました。どの曲のパフォーマンスもめちゃくちゃカッコ良くて、何時間も見続けて止まらなくなりました。中には知っている彼らの先輩の曲もありました。
衝撃を受けたのはCALL。Love-tune初めてのオリジナル曲。
演奏しながら曲が始まり、楽器を置いて歌って踊ったかと思えばまた楽器を手に取り歌い出す。

なんでこれを私は今まで知らなかったの?なんでここまで届いてないの?怒りすらおぼえました。(八つ当たり)

それからもYouTubeを見続け、次第にメンバーの顔も名前も分かるようになっていきました。


ある日、おすすめで自動再生されたこちら。

1時間ほど見たあたりで気がつきました。「この動画3時間ある…。」
そのまま楽しく見終えてしまった私は理解したのです。もうとっくに沼の底にいることを。


歴史を深く調べたり、曲も自作していることを知ってさらに驚愕したりしながら、4月にはFC会員になり、5月にはCDや写真集、Blu-rayを買い揃えました。8月には初めてステージで輝く彼らを目にしました。



そこからの2年間、全身で、全力で浴びた7人での40ステージ。どの瞬間も、これからずっと私を支えてくれる大切な大切な宝物です。

6人のステージを見て、やっぱり何もかも足りなかった。そんなの当たり前。抜けた穴が大きすぎるから。
それでも良いんです。彼が戻ってきても、こなくても、一度繋がった縁は切れない。
彼の事を想う度胸は苦しくなるけれど、いくつもの偶然が重なって7ORDERを見つけられたこと、絶対に後悔しない。
7ORDERの存在自体が、私にとって最高のエンターテインメントなのです。

きっといつ出逢ってもドラマ満載の(もう起伏はいらない…がproject memberの本音かもしれませんが)7ORDER、今日も誰かが見つけてHAPPYになっていますように。







あの頃、いつ切れてもおかしくなかった私の心の糸を繋ぎ止めてくれたヒプステと7ORDERに感謝を込めて。

新章と第2章の成功をお祈り申し上げます。

この記事が参加している募集

沼落ちnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?