プーチン対カールソン会見の意義;言葉の綾で済ませまい

2月6日に行われた米国ジャーナリスト
(CNNより多くのフォロワーを持つ米国一の元TVアンカーマンである)
タッカー・カールソン氏と
ロシア・プーチン大統領の1対1のインタビューを見た。
プーチンが西側メディアに出演した初めてのケースになった。

元国務長官のヒラリー・クリントン女史が、この会見後に放った言葉に
(タッカー氏は)
「USEFUL IDIOTだ」がある。
さてなんと訳そうか。
役に立つお馬鹿さんが直訳だ。

英語だけでなく、スピーチの天才であるヒラリー女史の言葉であるが、
タッカー氏は、もともとFOX TVという保守系メディアのエース・
アンカーマンであり
彼女の政敵トランプ元大統領(共和党系)に近い保守派の論客である。
ヒラリー氏サイドの民主党バイデン大統領には
常に批判的なスタンスで報道しているので、
ヒラリー氏から見れば
自分の属する民主党系には応援しない、敵を利する側につくわけであるから
「米国の敵ロシアとプーチン大統領にとって
お役に立てる(米国から見れば)大バカ者」であるというアピールであろう。

その後、今や世界的に有名なコンサルタントである、ユーラシアグループの代表、イアン・ブレマー氏の本インタビュー後の感想を聞いた。
ブレマー氏はヒラリー氏と違って、タッカー批判は直接的ではなく、しかしながら間接的ではあるが今回のインタビューの価値を否定的に語っている。

政治家ヒラリー氏であれ、世界的コンサルタントのブレマー氏であれ、
タッカー・カールソン氏による初のプーチン会見を批評するのであれば、
プーチンが2時間7分というロング・インタビューで語った
西側、米国外交と戦争について話したポイントに
ついて一つ一つ反証し、具体的な反論をすべきではなかろうか。
プーチンが語ったいくつかの大きな米国外交、戦略における問題点;
例えば
2014年、2015年後のミンスク停戦条約は、西側は初めから
停戦を目指しておらず、ドイツ・メルケル元首相の告白にあったように、
ウクライナを軍事的駒として育成すべく英米の諜報機関が指導し
ロシアと対等に戦わせる、その間の時間稼ぎであったという重大なポイントについて、具体的にそうではないとヒラリー氏やブレマー氏は反論すべきではないのか?
又大問題になったドイツとロシア間天然ガス輸送パイプ・ノルドストリーム破壊は米国と西側(北欧)の仕業だと国際的に言われている問題について、プーチンは間接的に肯定したにとどまったわけで、
そうでないというなら、ヒラリー氏は元国務長官として証拠を挙げながら否定すべきではなかったか?
ただ、USEFUL IDIOTと言葉を投げつけるだけでは、
このインタビューを英語翻訳版で聞いていた米国の国民1.8-2億人は承知できまい。
他の国の本件関心持つ人たちを含めれば5億人以上が聴いた・見たであろう今回の意義深いプーチン・インタビューを、
西側各国の主流マスコミ(日本ならNHK や 朝日新聞)等はスルーすることは許されまい、
ここで語られた内容についていちいち精査する勇気をもって欲しい。
それが
ウクライナ戦争とイスラエル・ハマス戦争を止めることに繋がると思うからである。


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