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『のんびり』のこれから

一部新聞などの報道のとおり、秋田県の発行物として、丸4年間、計16号を発行してきた『のんびり』は最新号をもって一旦終了します。公の発行物であることから、これまできちんとお伝えできなかったことを申し訳なく思いつつ、でもまあ、ある意味新聞にリークしちゃって丁度良かった、とも。ていうか、あの新聞記事も『のんびり』を真剣に追いかけてくれていた記者さんが、次年度の予算情報から『のんびり』の項目がなくなってることに気付いたという、なんとも記者魂あふれた展開で、ただただ凄いなと感心するばかりでした。

とにかく『のんびり』に関しては、「ずいぶん長くやってしまった……。」というのがいまの正直な気持ち。僕のイメージではもっと早いうちに秋田県の発行物から卒業し、民間の発行物として自立している予定でした。それゆえ、「このままズルズルと続けるのはかっこわるいなあ。」そんな気持ちが僕のなかにずっとあったことをここに告白します。この際、もっと言っちゃうと、そろそろ『のんびり』は一回終了した方がいいというのを言い出したのは、他でもない、僕です。だから、なんで予算を切っちゃうんだ的な声をTwitterで見る度に、県庁職員のみなさんに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

そのあたりのことは、先日ライフハッカーさんの取材でも答えているので、よろしければご覧ください。

http://www.lifehacker.jp/2016/02/160229_akita_nonbiri.html

『のんびり』は県庁のみなさんと、本当の意味で一緒になって作ってきました。だから僕をはじめ編集部のスタッフ全員、そしてきっと県庁のみなさんも、遥か遠くの景色を見ているのだということを、ここであらためて伝えたいと思います。

しかし、今後『のんびり』をどんなカタチで発行していくか? ということに関しては、まだまだ僕のなかで明確に答えが出ていません。新聞記事では『のんびり』がWEBマガジン化するような感じで書いてありましたが、それはある意味正解で、ある意味間違っています。どういうことかというと、デジタルへの移行という単純なことではなく、デジタルはデジタルの方向性。アナログはアナログとしての方向性。双方の可能性について考えているから。それに、県の媒体としてのことを言うなら、例のごとくコンペで選ばれないといけないわけだから、そのままWEBマガジンに移行。というのはやっぱり間違いです。

そもそも『のんびり』的なるものの必要性をいろんな人に訴えていた5年前。日本全国の地方自治体から聞こえてきたのは、これからはFacebookだTwitterだといったソーシャルメディア礼讃の声でした。スマホの普及やSNSの盛り上がりを背景に、とても魅力的に映っていたデジタルメディアの世界。そんな世の中において紙媒体の強さをはっきり示したかった僕にとって、秋田県が紙媒体のコンペを実施してくれたことは、まさに希望でした。だからもし『のんびり』の提案が選ばれていなかったら、今頃僕は何をしていただろう? と、思うことがあります。僕は紙というメディアを愛しています。これまでも、これからも。けれど身体は一つ。4年間、存分に紙媒体に打ち込ませてもらった僕は、いまそこから少し離れるべきなのかもしれません。

しかしいま、周囲のwebメディアの動向を僕なりに眺めてみた率直な感想は、「紙媒体のプロフェッショナルが手がけるwebマガジンはなんだかつまらない」です。だから僕は、なんとかして自分の経験値に蓋をしたい。もしくは、自分で自分の経験値を覆したい、という欲望にかられています。妙に紙の世界で生きながらえちゃった僕が、面白いwebサイトを作るためにいま最もやらねばならないことは、思い切って活字の世界から離れることなのだと本気で考えていたりします。

そこで、

随分と前置きが長くなってしまいましたが、ここでみなさんに『のんびり』の具体的な展開を2つ発表したいと思います。

その1つ目は、

ABS秋田放送にてラジオ番組をスタートします。

『のんびリズム』

毎週日曜 午後3時半〜午後4時(初回放送は4月3日)のんびりイズムをさらに広めるべく、『のんびり』編集長の藤本智士をメインパーソナリティにお届けする、関西弁&秋田弁のハイブリッドお喋りラジオ。
[AM]秋田936kHz、大館・本荘1557kHz、浅舞1485kHz、鹿角・東成瀬801kHz
[FM]90.1MHz
※県外の方はpodcastでお聴きいただけます。

そして2つ目は、

CNA秋田ケーブルテレビにて、実験的旅ロケ番組をスタートします。

『のんびりし〜な』

4月15日パイロット版放映予定。(以降、隔週くらいで放送予定)。
秋田発のフリーマガジンとして人気を博した『のんびり』編集長の藤本智士を中心とした3人による、秋田再発見旅バラエティー。県内の各市町村をまわり、地域の人たちとの出会いやお話からその土地の観光ポスターを作ってしまおう! というコンセプトで、のんびりとした旅を繰り広げます。
※県外の方はインターネットで動画視聴いただけます。


ラジオとケーブルテレビ。『のんびり』の次のステップの足がかりとして、どうして僕がこの2つのメディアを選んだのか。その理由はとても明確です。可能性に満ちあふれている! から。東京を中心とした中央の動向に惑わされず、地元に寄り添いながら、地に足付けて、大切なことを面白みとともにお届けできるメディアとして、ラジオ放送とケーブルテレビは最高のメディアです。インターネットで広く公開することが可能ないま、ピンポイントに深く深く土地に入り込むことで、最高にグローバルなものを作ってみたいと思います。齢42にして再びゼロからのスタート。そこにデジタルの技術をほんのり活用して、思いっきり泥んこになってみたいと思います。

あ、もちろん、だからもうWEBマガジンやりませんとか、紙媒体やめましたって話じゃありません。先述のとおり、紙メディアのノウハウで偉そうにWEBメディア作っちゃったりしないように、ラジオやテレビ放送の振る舞いなんかも身につけてwebに取り組みたい。そして紙LOVEは消えないよ。という、まあ最後に煙に巻く感じですみません……。

ともかく、4年間『のんびり』を続けて来れたこと、本当に感謝しています。応援してくださったみなさん、ありがとうございました。『のんびり』の今後もどうか、のんびり温かく見守っていただけたらと思います。

さあ、次行きまっせ。

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