ダメな子ほど可愛い系お菓子

 というジャンルがある。僕のなかに。

 このジャンルの存在を最初に意識したのは青森県の下北半島だった。本州最北端、マグロで有名な大間町を歩いてたら、お土産屋の店先で『べこもち』なるものに出会った。おせち用の蒲鉾のように、カラフルな図柄が金太郎飴状態になったお餅で、その見た目の可愛さに思わず手を伸ばしたんだけど、それがなんというか、ダメな子だった

 しかしだ。これがなぜか癖になる。その後縁あって10回以上訪れることになる下北半島で、いつだって目の端であの子を探してる僕に気づいた。それはもうまるで恋。


 そして僕はまた恋をした。今度は日本の最東端で。その名は『オランダせんべい』。おそらくオランダせんべいと言えば、山形県庄内の米菓を思い浮かべる人が多いんじゃないだろうか。しかし、違う違う、そうじゃ、そうじゃない。
 僕が出会ったのは北海道根室のソウルフード的銘菓。

 素朴なパッケージに惹かれ手に取った僕は、秒で違和感を感じた。その正体は固さ。『ヤマサキ春のパンまつり』で貰える大きくも小さくもない皿くらいはある(例えがひどい)せんべいは、見た目からして歯が折れそうなのに、触ると柔らかいのだ。ゆえに僕は察した。これはせんべいと言うよりワッフル。ペシャンコのワッフルだ。そしてさらにこのせんべいを特徴づけるのは独特の食感にある。繰り返すが、せんべいという名から想像するパリパリ感はゼロ。言うならば湿気ったせんべい。どうだい? この表現からしてダメな子だろ?

 その柔らかさに油断して甘噛みした瞬間に後悔する噛みちぎれなさ。若干の格闘ののち広がる黒糖の優しい甘み。僕はもうこの子にゾッコン。しかしそれは僕だけじゃなかった。一緒に旅をしてた『北欧、暮らしの道具店』を運営するクラシコム青木さんまでも「こんなの一枚全部食べられないよね」と言いながら、いつのまにか2枚目のせんべいに手を出して、結果、2袋買って帰ってた。僕は突然現れた恋敵に嫉妬するような気持ちになった。

 「素朴」なんて言葉じゃ片付けられない、あきらかなダメさ。しかしそのダメさをこそ愛してしまうお菓子がこの世にはある。ぜひみなさんの #ダメな子ほど可愛い系お菓子 を教えてほしい。きっとその子を僕も愛せる気がするから。

さて、ここからは定期購読いただいている皆さんに、僕が全国の旅で出会った #ダメな子ほど可愛い系お菓子 をもう少しご紹介します。

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ダメな子ほど可愛い系お菓子

藤本智士(Re:S)

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Re:S note(りすノート)

2006年に創刊した雑誌「Re:S(りす)」編集長の藤本智士が、いまあらためてお届けする、あたらしい“ふつう”のnote「Re:S」。 日々のこと。旅のこと。地方のこと。編集のこと。 記事アップは月4回以上かなぁ。
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