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【第3回】定期収益型でないビジネスでのカスタマーサクセス

●カスタマーサクセスが他のビジネスに応用可能な理由
企業向けSaaSでは、幅広い分野でカスタマーサクセスの考え方が重視されている。カスタマーサクセスを緊急課題として生み出し、ビジネスの心構えの一つとして高めたのも「サブスクリプションモデル」だった。では、カスタマーサクセスは他のビジネスにも応用出来るのか?答えはもちろんイエスだ。

なぜか、リピーター獲得のためには「心理ロイヤリティの創出」が必須だからである。
実際にカスタマーサクセス部門がある会社の場合、その部署の存在意義はロイヤリティを高めてリテンションと収益増につなげることだ。
ロイヤルカスタマーはより多くのモノやサービスを購入するため、あらゆる会社が顧客に求めている。

●多くの会社が「サブスクリプションモデル」が構築できるか考えている
近年、様々なサービスがサブスクリプションモデルで提供されるようになった。映画(ネットフリックス)、音楽(スポティファイ)、宅急便(アマゾンプライム)、デリバリー(UberEats)などその種類は多岐に渡る。

ではなぜ、これだけ多くの会社が「サブスクリプションモデル」にこだわるのか。明確な理由が2つある。
①予測可能な収益
②ロイヤリティ
会社は未来の業績予想の精度を高めるため予測可能な収益を好むが、顧客目線でも支出額を予想出来る方が良い。

●カスタマーサクセスの提供方法
カスタマーサクセスの理念は基本的に同じだが、提供方法は会社によって大きく異なる。下記3社は顧客数と平均販売価格の観点から大きく異なっている。
①ワークデイ:顧客数百人、100万ドル/年
②クラリゼン:顧客数千人、1万5000ドル/年
③ネットフリックス:顧客数百万人、10ドル/月

ワークデイはあらゆる顧客対応に人材を投入可能で、顧客が製品を理解して使用できるように専門家が多くの時間を費やしても良い。クラリゼンもある程度の顧客に対しては同様に人材を投入できるが、ワークデイほどではなく、価値は高くないものの手放したくはない顧客のロングテールをどう調整するかが課題となる。ネットフリックスについては完全自動化されたサービス提供となり、担当者と顧客の間で定期的な電話や打ち合わせは一切実施されない。

このように顧客価値には明確な階層があり、各階層に対応するタッチモデルがあり、これは自社の顧客基盤全体に対して適用可能だ。(下記別添)

参照:https://makitani.net/shimauma/tech-touch

・ハイタッチ
定義上最も人手が必要だが、かかった費用は顧客が製品に支払う金額で元が取れるというモデル。この種の会社の顧客はかなりの金額を支払ってくれる。

・テックタッチ
各顧客と直接話すほどの人手はかけられないが、自動化されたサービスによってちょうど良いタイミングで適切なカスタマーサクセスを届けることが要求されるモデル。

・ロータッチ
ハイタッチとテックタッチ両方の要素が混ざっているモデル。ハイタッチ顧客にしているような上質なサービスを約束するほど大規模な層ではないが、ある程度個別に対応したいと思う程度には重要である。

具体的に、ハイタッチモデルの顧客に対しては、毎月の現状確認・四半期ごとのビジネスレビュー・現場視察・定期ヘルスチェックなどを人手をかけて手厚いサービスを提供するが、ロータッチモデルでは現状確認やビジネスレビューの頻度を下げ、定期チェックを自動化するなどしてハイタッチと比較してコストを低減させる。テックタッチにおいては担当者間のやり取りは実施せず、サポート機能や定期チェックやアップデート情報の共有などあらゆる面を自動化する。
このように、顧客数と販売価格から顧客層を分別し、それぞれの顧客層に対するサービスの提供方法を変えていく必要性がある。

※表紙の本を読んだ個人的なまとめです


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