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【N06】知らない人んち・第一話#テレ東シナリオコンテスト

note x テレビ東京の企画、『新実験ドラマ『知らない人んち(仮)』~あなたのアイデア、来週放送されます!~』に参加してみます!

第0話の続き、こんなシーンはいかがでしょうか。

〇薄暗い部屋

スマートフォンを耳に当て、真剣な顔をしているジェミのアップ。

「うん。うん。……そう。分かってる。あんたこそ、平気なの?」

途中でカメラは切り替わり、後ろから、地を這うような視点でジェミを映す。部屋の隅にうずくまり、壁に向かって喋っているジェミの姿が、だんだん大きくなっていく。

ハッとして振り向くジェミ。

「きゃあっ!」

柔らかい物と固いものがぶつかる音。床に落ちるスマートフォン。暗転。

〇和室

和室で、子どもの描いた絵を見つめているきいろ。小さく呟く。

「この絵を描いた子はどこに行ったの?ううん、この子だけじゃない。ここに描かれているのはきっとお父さん、お母さん……あとは兄弟かな。なんでもいいや。この絵に、アクさんたちはいないよね」

さらに何かを言おうとした時、玄関のチャイムが鳴る。

ピンポーン。

びくりと肩を震わせるきいろ。しばらく待ってみるが、2階から女性陣が下りてくる気配はない。

ピンポーン。

きいろは絵を裏返し、カメラを起動してYoutubeの撮影を再開しながら、おそるおそる部屋を出る。

〇玄関

「はーい?」

「宅急便でーす。ジェミさん宛のお荷物をお届けにあがりました!」

男性の声がする。きいろはまごまごしつつ、ドアのカギを開ける。

きいろの心の声(なんでこんなにロックが厳重なの?)

ドアを開けた瞬間、びっくり。目の前に台車があり、160サイズを超えるような段ボール箱が5つ積まれている。その傍らには、帽子を深々と被った男性の配達員。

「サインお願いしまーす」

「えっ、あっ、はい」

渡された伝票に、自分の名前でサインしてしまうきいろ。配達員はその署名をチラ見し、何も言わずにポケットへしまう。

「お荷物、どうしますか?玄関に入れちゃいますか?」

配達員に問われたきいろは、上の階に向けて叫ぶ。

「ジェミさーん、お荷物が届きましたけど、どうしますか?」

うんともすんとも返事がない。

「す、すみません。適当に、この辺においてください」

「はい!」

配達員は上がり框の辺りに段ボールを積んで去る。

一人になったきいろは、気を取り直す。

「わぁー…。すごい荷物。何が入っているんでしょうか」

カメラで荷物を映す。試しに一つ持ち上げようとしてみるが、よろけてしまう。

「重っ。本当に、なんなんだろう」

首をかしげながら2階へ上がる。

〇2階の廊下

きいろが階段を上りきったところで、トイレを流す音がする。トイレの扉が開き、キャンが出てくる。

「あっ、キャンさん。ジェミさんあての荷物が届いたんですけど」

「ジェミは今、暗室にこもっているよ」

暗室のドアをノックしようとして、さきほどの異様な様子を思い返すきいろ。

「……ほっとこうかな」

つぶやいた瞬間、中から奇妙な音がする。

ゴソゴソ。カリカリ。ゴソゴソ。カリカリ。

「えっ。えっ。えええええ」

青ざめるきいろ。

〇玄関

放置された段ボールの山。一番上の箱がアップになる。伝票は雨で濡れてしわしわになっている。ラベルに書かれた内容物の文字は滲んで読めない。字数は4文字。

〇外、路地裏

空の台車を押して走る男性の配達員。路地裏の日陰で帽子を脱ぐ。その正体はアク。帽子を緑の袋(0話で登場したもの)に入れ、上着のポケットから伝票を取り出す。伝票に記されたきいろの名前を確認してつぶやく。

「これがあいつの本名か……。よし」

スマートフォンに名前を打ち込み、なにやら検索をする。カメラのアングルはアクを正面から捉えているため、画面は見えない。

にやりとするアクのアップ。

通話アプリを起動し、誰かに電話をかけるアク。

「もしもし。あいつの名前と、住んでいる地域が分かった。もう大丈夫だ」


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